2 インターネットを活用した教育実践
(1) 理科「気象」単元におけるGLOBEプログラムの利用
GLOBEプログラムは,WWWサーバの画像データにその特徴がある。
そこで,現在の教育課程の中でGLOBEの観測に最も深いつながりのある,理科2分野の気象単元の中で,GLOBEデータサーバなどのインターネットのデータを利用して雲の動きと天気図との関係を考えさせる授業を展開した。
GLOBEデータサーバでは,NASAが提供する人工衛星からのリモートセンシング画像と,生徒の観測データを瞬時に比較できる点が,理科の授業に有効であると考えた。例えば地上からの雲の観測によって,刻々と変化する雲の種類や量(生徒の観測データ)が,宇宙からの画像では,大きな雲の動きとして捉えることができる。
また,日本付近の天気図は,毎日新聞のWWWサーバなどから入手が可能である。このデータを1週間分蓄えておき,天気図の変化(低気圧の通過)と雲の移り変わりについて学習した。
Windowsの画面では,画像を同時にいくつも開くことができるので,必要なデータを自分で取り出して,教員の示したワークシートにしたがって自主的に学習を進めるように授業を組み立てた。
一般の教科の授業では,コンピュータに慣れていない生徒が多いので,思い通りにデータを扱うところまではいかないが,コンピュータが得意な生徒は画像をアニメーション化したり,積極的にデータを利用していた。
ひまわりの画像や天気図など,最近の天気予報などで生徒にとっても見慣れたものになっているが,画像1枚1枚を,雲の動きなどテーマを絞って細かく見ることで,いままで気付かなかったことを知ることができて,楽しかったという生徒もいた。また,多くの生徒は,アニメーション化した画像など,動きのあるものに特に関心が高く,GLOBEのデータや天気図,ひまわりの画像など,あらゆるものをアニメーション化してみたいという希望がでた。
インターネットのWWWサーバでは,教材として,格好のデータを提供しているものも多い。インターネット上には,気象データを提供しているWWWサーバも増え,データの質も向上してきている。地域ごとのローカルな予報を出したり,解説をしているサーバもある。自分で観測したデータを他の地域のデータとリアルタイムに比較し,天気の変化を予想したり,天気予報を作成したりすることのできる意義は大きい。
天気の変化のように,自分の観測をもとに地域のことを,ひいては地球をグローバルに捉えることは,これからの地球を支える人類の一員として,地球環境を考える上でも貴重な体験となったと考えている。

(2) 酸性雨調査プロジェクト
環境学習の授業では、広島大学のバックアップのもとに雨水の酸性度(pH)の測定による環境調査もおこなっている。1995年度には,ネットワーク利用環境提供事業(通称100校プロジェクト)へ当校が参加したのを機会に,酸性雨調査をネットワーク環境を利用して全国規模のものにしてはどうかと考え、100校プロジェクトの共同企画として提案をおこなった。日本全国から40校の参加を得て,観測が行われている。酸性雨調査プロジェクトのホームページもでき,インターネットのWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)上でデータの登録や,参加校のデータの参照が可能である。