2002年度公開教育研究会研究会全体テーマ
確かな学力を育てる教育課程の創造 − 問題解決力や科学的思考力を高めるための研究実践 −
期日 2002年9月2 7日(金)
主な内容
◆午前:公開授業(中学校・高等学校)
・教科学習
・総合的な学習
◆午後:分科会
・各教科および総合的な学習
◆シンポジウム
「テーマ」 総合的な学習のデザインと評価
コーディネーター 広島大学教授 角屋重樹 パネラー 広島大学教授 小原友行 三重県立桑名北高等学校 坂田広峰 東広島市立高美が丘中学校 寳崎久恵 当校カリキュラム開発委員 平賀博之 ◆日程:2002年9月27日(金)
受 付 9:20〜9:50 公開授業T(各教科および総合学習) 9:50〜10:40 公開授業U(各教科および総合学習) 11:00〜11:50 昼食・休憩 11:50〜12:50 分科会(各教科および総合学習) 12:50〜14:10 シンポジウム 14:30〜16:10
公開授業一覧
※当校は中学校・高等学校6カ年一貫教育を実践しており,中学校を1〜3年,高等学校を4〜6年と呼んでいます。
教科等
公 開 授 業
時限
学年・クラス
授 業 内 容
授業者
国 語
T
3・C
「魯迅を読む」
金尾茂樹
U
4・B
言説を問題化する学習 −古文教材のばあい−
信木伸一
社 会
T
2・A
「室町時代の商業と人々のくらし」
山名敏弘
U
5・A
「地方自治について」
樋口雅夫
数 学
T 3・B 三平方の定理より
清水浩士U 5・C 三角関数による具体的な事象の考察
釜木一行
理 科
T
5・選択
「気体の分子運動」の探究活動
呉屋 博
U
1・A
血液の循環 −心臓−
林 靖弘
保 健
体 育
T
4・DE男子
『打突機会を捉えた基本動作』を考える剣道
房前浩二
U
3・選択
見つめよう!こころとからだ。高めよう!体力。 生かそう!生活に。
高田光代
家 庭
U
5・B
乳幼児とのふれあい体験を軸にした保育の授業
高橋美与子
美 術
U
3・選択
3Dコンピュータグラフィックス「立体を創る」
高地秀明
英 語
T
2・C
Sunshine 2 Program 6
池岡 慎
U
4・C
Sunshine English Course T Lesson 6 Computers and Common Sense
幸 建志
総合的
な学習
T
2・B
環境としての「食」を考える −砂糖について−
三宅幸信
3・A
「沖縄から眺める」
森 才三
5・A
探究活動の成果を発表しよう
−効果的なプレゼンテーションを考える−
柄本正勝
U
4・A
ヒット曲の秘密をさぐる−音楽を数理的な耳で聞こう−
村上和男
4・D
文字の歴史を考えよう
江草洋和
分科会一覧
公開研究授業の合評会は,分科会に含まれています。
教科等
部会別研究主題
分 科 会
内 容
指導助言者
国 語
どんな「ことばの力」の学びをめざすのか
授業反省および研究協議
広島大学助教授 竹村信治
広島大学助教授 山元隆春
社 会
身近な資料や問題を教材とした授業研究
授業反省および研究協議
広島大学教授 森分孝治
数 学
数学的な観点に立ち考える力を高める授業
授業反省および研究協議
広島大学助教授 小山正孝
理 科
問題解決力や科学的思考力を高める理科授業
<研究発表>理科総合の課題とカリキュラム開発
発表者 畦 浩二
<講演>「問題解決力・科学的思考力とは? −アメリカの 科学教育改革を参考にして考える−」
講演者 広島大学教授 池田秀雄
広島大学教授 池田秀雄
広島大学教授 前原俊信
保 健
体 育
守・破・離をめざした体育
授業反省および研究協議
広島大学助教授 草間益良夫
広島県教育委員会指導主事
湯元清治
家 庭
問題解決力を養う体験学習
<研究発表>「食」の果たす意義を考える
− 三日間の食事作りから −
発表者 小林京子広島大学教授 福田公子
社会福祉法人愛育会桃山保育園園長 中川久美子
美 術
造形的思考力と問題解決力を高める
<研究発表>映像メディア表現の教材開発
発表者 高地秀明
<研究発表>パソコンルームでのビジュアルデザインの試み
発表者 福山明王台高校 和田道雄
広島大学助教授 三根和浪
英 語
実践的コミュニケーション能力の育成をめざして:指導と評価の一体化
授業反省および研究協議
広島大学教授 三浦省五
広島大学助教授 松浦伸和
総合的
な学習
教科とリンクする「総合的な学習」,学びの拡がりとつながりをめざして
<研究協議>
総合的な学習の評価とカリキュラム評価
広島大学教授 角屋重樹
広島大学教授 小原友行
各教科の公開授業および分科会の内容
国語科
本研究会での国語科のテーマは,国語の授業でめざす学力=「ことばの力」を,生徒自身の「生きていくことにかかわる学力」という観点からとらえ返すことです。
中学三年生の研究授業では,魯迅の作品を扱います。生徒が,魯迅の文章を読み,魯迅が問題提起したことをつかみながら,「社会」の中での「人間」や「個人」のあり方について,さらには「私」のあり方について考える授業をしていきたいと思います。
高校一年生での研究授業では,〈他者〉と向き合う力を学力と認め,その形成を目指してものの見方そのものを問う学習を提案します。〈他者〉に向き合うことができるということは,我々が〈他者〉と共に生きて行かなくてはならない以上,「生きていくことにかかわる学力」の一つだと言えます。言葉を介して他者同士が向き合うことが成立するためには,どういう言葉についての理解があれば,それができるのでしょうか。それは,どんな言葉の使い手になることを目標とすることなのでしょうか。今回は,古文教材をもちいた「読み」の学習を通して,これらの問いへの考察を深めたいと考えています。
社会科
「身近な資料・問題を題材にした授業」の実践をめざしています。その試みとして中学校では,2年生の歴史的分野で「室町時代の商業と人々のくらし」を主題とした研究授業を行います。身近な地域の遺跡についての資料を通して,当時の人々の生活や商品流通を明らかにしていきます。
高等学校では,2年生の政治経済で「地方自治について」の研究授業を行います。地方自治の本旨に基づいて認められている地方分権は,どのような方向に向かっているのか。地域における身近な問題を取り上げ,探求します。
数学科
「数学における問題解決力,科学的思考力とは」と考えたとき,物事を数学という観点から眺め分析し考察していくこと,さらにそこから考えを広げていったり応用していく力が必要になってきます。
中学校3年生では既習の「三平方の定理」をさらに発展させることを目指します。高校2年生では生活や自然の中での様々な事象を三角関数という観点から考察し分析することで,数学的な観点から見た事象を考えさせます。
理 科
「問題解決力や科学的思考力を高める理科授業」をテーマに,公開授業T(高2物理)では気体の分子運動についての探究活動を行い,公開授業U(中1理科2分野)では動物の体のつくりと働きについて,実際にニワトリの心臓を観察することで理解を深める授業を計画しています。理科の分科会では,「理科総合の課題とカリキュラム開発」についての研究発表と,「問題解決力・科学的思考力とは?〜アメリカの科学教育改革を参考にして考える〜」と題した広島大学教育学部の池田秀雄教授のご講演を予定しています。
保健体育科
「守・破・離」をめざした体育
確かな学力を身につけさせるためには,原理・原則を理解した上で,自分の課題に応じた解決方法を工夫し,さらに自分が学んだ内容の発展を試みることができるような力を育てることが大切です。
今回は,中学3年生の選択Uの授業では「見つめよう!こころとからだ。高めよう!体力。生かそう!生活に。」というテーマで,まず自分の「体力」を知り,基本的なトレーニングの方法を理解した上で,主体的に自分なりのトレーニングメニューをつくり実践していきたいと思います。また,高校1年生の授業では,「『打突機会を捉えた基本動作』を考える剣道」というテーマで,「基本」それ自体を実践的に捉え直すことを試みたいと思っています。
家 庭
保育の授業の一環として近くの保育園に出かけていき,生徒たちが乳幼児とふれあう時間を持つようになって,10年近くになります。乳幼児と接する生徒たちの生き生きした優しい表情を見る度に,また,「かわいくてかわいくて, また行きたい」という感想を聞くにつけ, 彼らの情緒面の発達にとても大切な役割を果たしてくれる体験であると,実感させられます。今回はこのふれあい体験を授業の中でどう位置づけていくのかということを, テ−マとして取り上げ,一時間の授業を公開したいと考えています。
美 術
公開授業では,「立体を創る」をテーマに,3Dのコンピュータソフトウェアを活用した映像メディア表現の学習活動をおこないます。生徒たちが自ら主題を決め,モデリングをおこない,レンダリングやアニメーションなどの効果を加えながら,主題を生成していく過程をとおして,造形的思考力や問題解決能力を高めることをねらいとしています。
分科会では,新学習指導要領に対応した「映像メディア表現」について,様々な事例を紹介しながら研究協議をおこないます。
英 語
中学校では,授業を通して,「実践的コミュニケーション能力の基礎」を養い,絶対評価につながるクラスルームマネジメントのあり方を提案したいと思います。高校では英語Tの授業を通して,「実践的コミュニケーション能力の育成」をめざした指導のあり方を提案したいと思います。
分科会では,中学・高校での新しい評価のあり方の現状と課題について,協議をしていきたいと思います。
総合的な学習LIFE
◆中学校2年 「環境としての『食』を考える」
総合的な学習では,個人がもてる知識をはじめとする様々な力を統合し,「知恵」として有機的に機能する形に昇華してこそ十分な成果を上げることができると考えます。今回は,砂糖がもつ問題を,生活の中から生徒自身が実感として導き出し,生きることにどのように結びつけられるようになるか,ということに焦点を当て,生徒の内面的な動きを大切にしながら授業を展開します。
◆中学校3年 「沖縄から眺める」
3年生のLIFEは,地域を様々な視点から考える学習を展開しています。一学期の「長崎」に引き続いて,二学期は「沖縄」を取り上げます。その地域を知り,その地域から眺めると,今まで見えなかったことが見えて来ます。何が見えて来るのか,「沖縄」から眺めます。
◆高等学校1年 「ヒット曲の秘密をさぐる」
曲について,出現する音階の確率分布を作り,それを元にしてその曲の印象度を定義する。その大小と,曲がヒットしたかどうかの関連等について発表する。
◆高等学校1年 「文字の歴史を考えよう」
古代の文字を書いたり,いろいろな(筆記)用具を使うという体験をとおして,文字の生まれた文化を探ります。さらに,西洋と東洋の文化の違いなどについて考えていきます。
◆高等学校2年 「探究活動の成果を発表しよう」
5年生(高校2年)のLIFEでは,海外の高校生とインターネットを通して国際交流することを想定し,自分たちの考えをまとめて発表するという学習活動を行っています。研究授業では,グループの代表が自分たちのまとめた成果をビデオを通して紹介します。
◆お問い合わせ先
広島大学附属福山中・高等学校 研究部
〒721-8551 広島県福山市春日町5丁目14番1号
E-mail fkenkyu@fukuyama.hiroshima-u.ac.jp
TEL 0849-41-8424 FAX0849-41-8356