■科学的思考力教育研究会とは・・・

 次代の科学の発展を担う人材を育成するためには,理数科目の強化だけでは充分とは言えないと考えます。科学・技術の基盤となる能力,すなわち,自然や社会の事象を,様々な体験や探究をとおして見つめ,感じ取り,論理的に思考するといった総合的な能力を高める必要があります。このためにはすべての教科が共通の視点を持って,この能力を高める教材開発や教育方法の開発を行うことが重要であると考えました。

  また,すべての生徒に対して,科学的思考力や論理的に物事を処理する力を高めることは,21世紀における社会生活において求められる能力を育成するという課題に応えられる研究になると考えています。

 この研究会は,学校教育の中で「科学的な思考力」をどのようにして育むことができるか,日々の実践の中でのアイデアや試行,評価等について交流することをねらいとして設立しました。

■私たちと一緒に研究活動に取り組みませんか・・・

科学技術立国

  昨今,わが国では,青少年をはじめとする国民の「科学技術離れ」「理科離れ」が指摘されています。文部科学省では,平成14年度より「科学技術・理科大好きプラン」を開始しました。その中にはいくつかの施策がありますが,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定もその一つです。SSHでは,理科・数学に重点を置いたカリキュラム開発や大学や研究機関等との効果的な連携方策についての研究を実施し,科学技術・理科・数学教育を重点的に行います。これにより,子どもたちが科学技術に夢と希望を傾け,科学技術に対する志向を高めていき,次代の科学技術を担う人材が育っていくことが期待されています。

戦後の科学教育

  かつて日本の科学教育は,現代の日本社会形成に大きな貢献をはたしてきました。国民すべてに共通で,しかもハイレベルな教育を施してきた事が高度経済成長を支えました。それは,少数の人材によって開発されるハイテクノロジーだけでなく,町工場における精密な部品の製造にまで,あらゆる領域で他の国の技術力を圧倒してきたことに端的に現れていると考えられます。

科学教育に求められる2つの側面

  確かにSSHは,大学や研究所との連携を密にし高度な内容を導入することを中心にした実践で,これからの科学技術を支える人材を育成することを期待できるでしょう。しかし,「科学技術立国」日本を支えてきたのは,最先端の科学技術者だけではなく,生産を支える多くの優秀な人材であったことを忘れてはいけません。当校の目指す科学教育プログラムは,理科や数学の授業時数や内容が減少し,特に理科においては,すべての生徒が履修する必修科目がない現在の高等学校普通科の教育課程の中で,どのような工夫によって科学や技術に対する興味・関心を高め,科学的な能力を育成することができるかを提案しています。

当校の科学教育

  当校の科学教育「サイエンスプログラム」は,普通科の高等学校において,どの学校でも少しの工夫で実践可能な内容だと考えています。科学や技術に興味・関心を持つ生徒や,将来科学者や技術者になることを希望する生徒には,子どもたちの持つ資質を大きく育てるプログラムとなるでしょう。また,社会の中で科学技術に興味関心を持ち,これからの日本の生産を支え,科学技術の発展に貢献したり,その暴走を監視することのできる国民を育てるために,広く社会の中で必要とされる科学的な能力や技能を育むことにもつながる,そうした科学教育を創造することができるのではないかと考えています。

科学的思考力

  特に,主題としては「科学的思考力」に焦点を当てています。例えば,自然や社会の事象を様々な体験や探究を通して見つめ感じ取り,その認知した情報をもとに論理的に思考し判断するといった,総合的な能力を育成していきます。科学的思考力にもさまざまな側面があり,それは数学や理科だけでのみ育まれるとは考えにくいでしょう。すべての教科を通して,科学的思考力の育成をおこなうことで,幅が広く,いろいろな場面で活用が可能なものとなることを期待しています。すべての教科を通して実践することが,当校の科学教育「サイエンスプログラム」の大きな特徴です。また,こうした広がりを持った科学的な思考力の育成は,科学者や技術者を目指す生徒にとっても,また,科学や技術とは別の方面に進む生徒たちにとっても,さまざまな場面で生かすことのできる能力になると考えています。

 

 科学的思考力教育研究会は,こうした考え方にご賛同いただける方でしたら,どなたでもご参加いただける研究会(ワーキング)です。

 遠方のかたでもメール(メーリングリスト)等を通して,いろいろな情報や意見を交流できるものと考えています。

 この研究会への参加者を募集しています。

 参加ご希望の方は,下記まで,「お名前,所属,メール以外の連絡先,電子メールアドレス」をご連絡下さい。

 

  連絡先 〒721−8551 広島県福山市春日町五丁目14−1 広島大学附属福山中・高等学校 研究部内

                  科学的思考力教育研究会 事務局

       sci@@fukuyama.hiroshima-u.ac.jp : 迷惑メール防止のため,「@」が全角で2個入っています。

       実際にメールを出される場合は,「@@」を半角の「@」に変えてお出しください。