期日 2007/11/05

      講演 オリーブ会4回生3氏

       河本憲三さん

       岩本公夫さん

       福田 稔さん

      来賓 オリーブ会 佐藤光正副会長

池田潤治副会長

4回生有志

記録 片岡博美氏

   池田彩歌さん

■ 記念植樹 オリーブの樹1本

 

 

 

■ 開会挨拶

副校長 竹盛浩二

 

人間の心を扱う学問分野で、脳科学や認知科学などを中心に「クオリア」という言葉が、最近よく使われます。

僕たちの体の感覚器官が、外部からの刺激・情報を捉えると、それは脳に伝達され、即座に何らかのイメージがわきあがります。たとえば「瀬戸内の島々」のイメージ。このようなイメージ、世界に対するこの「意識的な感覚・イメージ」が「クオリア」であります。「クオリア」は「クオリティー」と語源が同じですから、「質感」と言い換えてもいい。

では、福山附属の、この「クオリア」とはなにか。これを脳科学や認知科学でもってしても、なかなか明らかにはできない。しかし、附属生が附属を語るときの、「附属らしさ」とか「附属的」という言葉で語る、その附属の「質感」、その「本質」を、君たちはこの附属の「クオリア」を、身近なところに捉えているはずです。

この前、附属の大先輩の先生が、こんなことをメールで書いてこられた。「オリーブは自由の象徴という。よくよくオリーブの樹の枝振りを見ると、実に自由奔放である。ここにも、オリーブが自由の象徴である所以があるのではないか。」たしかに、規則性などないように見える。これは、附属生である君たちの姿そのもの。規則性もなく、自由奔放。でもしかし、いやいや、だからこそ、そこには共通する附属の「クオリア」がある。

さて、今日の「オリーブの環」には、古希をお迎えになられたオリーブ4回生の、河本憲三さん、岩本公夫さん、福田稔さんに、おいでいただきました。どうかよろしくお願いします。御三方の話には、間違いなく福山附属の「クオリア」がある。それを聞いて、君たちは附属の「クオリア」を再確認し、あらためて附属生であることを実感する。今日はそういう日なのだと思うのです。

「オリーブの環」は、同窓会オリーブ会と共同で開催しているものです。今日は、同窓会オリーブ会を代表して副会長の佐藤光正さんにお越しいただいています。今後とも、卒業生の皆さんと在校生との「クオリア」の絆が深まることを祈念して、「オリーブの環2007」開会の挨拶とさせていただきます。


講演を聞いての生徒の感想

 

今日来られた三人の方々は70歳。古希という年齢を迎えられているのに、とても元気そうでエネルギィに満ちていた。約50年前にお三方はこの附属という学校で僕らと同じように過ごし、その約50年という時を経て、今日に至っている。その約50年の間に三人の方々はそれぞれさまざまな困難や挫折を乗り越えて、今ではそのことを笑いながら話せるようになっている。僕らもこれから社会に出る中で、形は違えども、様々な困難や挫折を経験すると思う。それを今日来られた三人の方のように乗り越えて成功するには何が必要なのか。そのことを、今日のお話の中で受け取った彼らの「生き方」や「考えかた」、「感じた思い」などを参考に、考えていきたいと思う。

 

今日のお話を伺って思ったことは、古い教えというのは必ず残るということです。「夢、目標をもって、物事に臨みなさい。」「自分が本当にしたいことをしなさい。」「苦しいことから逃げずに自分のためになると思って成し遂げなさい。」 これらは、私が幼いころから様々な人にあらゆる場面で教えられてきたことです。今日の話の中で改めてこれらのことの普遍性、そして重要さを実感しました。

また三名の方々は古い価値観にとらわれすぎることなく、現代社会を見つめていると感じました。川本さんや福田さんの「森を見なさい」という言葉は、これからの社会で生きていくためにとても貴重なアドバイスだと思います。さらに三名の方々のそれぞれの生き方はこれから活躍を期待されている私たちにとって、非常に良いお手本、参考になると思います。本日の話を心にとどめて、将来羽ばたくことができるよう努力していきたいと思います。

 

今日の講演に来られる方はみな人生の成功者であるという予想をしていましたが、実際には三人とも挫折を経験しておられるのがわかりました。しかし三人の話される顔を見て思ったのは、とても生き生きしているということです。今が充実しているんだなと感じました。70歳という年齢を全く感じさせない若さでした。三人の話を聞いて共通しているのは、人生にはピンチ(失敗)もあればチャンス(転機)もあるんだということ。くじけず粘り強くそしていろんなことに挑戦していけば、きっと何か(個々の)満足するものが得られるような気がしました。今、私は、挫折したらすぐ落ち込んでしまうけれど、前を向いて歩かなければないと励まされました。とても貴重なお話をありがとうございました。

 

まず、皆さんがとても生き生きしている印象を受けました。16歳の自分からすると今も将来のことでウジウジしているのに、70歳で、夢や希望とか語れるのか…?と思っていました。でも先輩からの話を聞いてもっとでっかく生きなければなと思いました。岩本さんの話からもわかったように、失敗しても人生が終わるわけではなく、むしろそこからが勝負なのだと気付かされます。

今の日本は、少子化だの政治不信だとか、子供の目から見ても「大丈夫なの?」と思ってしまうほど問題が山積です。でもそんな世の中だからこそ、それをきっかけやパワーにして先輩方のように前を見て生きていきたいです。

今日の講演で、「どう生きるか」について大事なことを学べました。70歳の自分が人生を楽しんでいるような生き方ができればいいなあと思いました。

 

今日、先輩方の話を聞いて共通しているなと思ったのは、「ピンチがチャンスに変わる。そのチャンスを逃すな!」ということでした。これから大人になるにつれ、たくさんの困難に立ち向かわなければいけない。その時に必要なのは実力だという話を河本さんがされていました。その実力のために過去の経験や周りの人との信頼関係、コミュニケーションが大切になると話されていたのを聞き、今の自分これまでの自分が築き上げてきたものは、必ずこれからの自分のためになるのだ、ということがよく分かりました。また岩本さんも「真面目に目の前のことをやっていけば大丈夫」とおっしゃっていて、今目の前にある課題を一つずつこなしていくことで将来への道が開け、未来につながるんだということが分かりました。そして福田さんも私たちへのメッセージとして、「目標こそ未来を築く」ということをおっしゃっていて、今の頑張りが私たちは将来へと導いてくれるということを感じました。

最初に共通点として挙げた「チャンスを逃すな!」という一文。これは、「そのチャンスをつかめるのは今の努力があってこそ。そして、その努力が私たちを将来へと導く」という、私たちへの大きなエールに聞こえました。今日の話を自分の人生に生かし、「今」を頑張ろうと思いました。

 

今日三人の先輩方の話を聞きましたが、特に印象に残っているのは福田さんの話でした。私は工学系に将来進みたいと今思っており、その中でも飛行機や自動車に興味を持っています。今日この話を聞けたことで、自動車への興味というものがより一層強くなり、進路の参考にもなると思いました。福田さんの話の中には、さまざまなキーワードが出ていましたが、このなかでもやはり最後の「目標をこそ未来を築く」というのはだれにでも言えることだなと非常に感銘を受けました。お話の後半は、現代のマツダの様子というのを話していただきましたが、やはり自動車がこれから懸念される問題は、「環境問題」なんだろうと思います。地球温暖化を少しでも改善するには、新しいエネルギーを用いたエンジンの開発や、車体の軽量化による燃費向上が、これからの技術者には必要になってくる課題なんだなというのを改めて実感できました。本日は、本当にありがとうございました。

 

今日三人の先輩の話を聞いて、成功の裏には必ず困難があるんだと思い知らされました。河本さんが「どんな困難も試練だと思って乗り越える」と言っていたのを聞いて、様々な試練を乗り越えることで成功の喜びも大きいのだなと思いました。岩本さんは退職後に奥さんと一緒に中国へ行き、言語学校へ通い中国で水墨画を始めたり、メンドンに興味を持ち北京の街を二年半かけて回って調査をし、文化を守ったのは本当にすごいことと思いました。日本にいたら決して見つけられなかったものだと思うので、行動力って大切だと思いました。三人の先輩が共通していていたのは目標を持って生きていくことだと思ったので、私も目標もって頑張りたいと思います。50年後もずっと友達でいられるような信頼関係を築いていきたいと思います。

 

どの先輩も、この学校の校風が思考の片隅で影響していると、この講演を聞いて感じました。自由で様々な可能性を信じてそれを実行し、新たな世界へ足踏みせずに飛び込んでいける。私もそんな力が欲しいと思いました。講演をしているあいだ、ずっと楽しそうに話をされる三人の先輩を見ていると、自分の人生を後悔せず、その一瞬一点を満喫してこられたのだろう、そして70歳の今も目標を持って進みつづけている途上なのだろうと考えました。河本健三さんの話では、「持論」という言葉が出てきました。自分が持ち続け、人にそれをわかってもらうことで、人からの協力が得られ、チャンスをつかむことができるそうです。私もこれから自分の持ち続ける考えかたというものを作っていきたいです。岩本公夫さんのお話からは、新しい世界を切り開いていく勇気を知りました。そして福田稔さんの話からは、様々な考えを取り入れていろいろな思考をすることを知ることができました。これからの高校生活で、たっぷり校風を吸収し、何か自分の、跡に残すことができるような生き方をしたいと思います。

 

三人とも、多かれ少なかれ、様々なピンチやショックがあり、それらをうまく解決されていると思います。また発想が素晴らしいと思います。特に、河本さんや福田さんがおっしゃっていたことで、「ピンチはチャンス。チャンスを見逃さない。」というのが印象強かったです。あと、退職をされてから中国語を学んで中国へ実際に行っていたという岩本さんの行動力にも驚かされました。自分が行動していて、問題が発生することは、これから先、私もあると思います。このとき今までの私は、それが自然になくなるまでじっと待つということが多かったのですが、それを速くなくすために自分で素早く行動することが必要だと思います。この行動に入るとき、気持ちだけが空回りすることがないように、体力や気力はもちろん実力も確実についておかなければ、スムーズに事を運ぶことができません。色々な経験をして、いざというときにすぐ出せるように、今から準備していきます。そして卒業生に顔向けができるように、しっかり頑張りたいと思います。

 

今日の3人の卒業生の方の講演をきいて思ったことは、3人に共通していることは、どんな失敗、挫折を経験しても決して諦めようとしなかったということです。

 河本さんは、海外関係の仕事で働きたいという目標のために、真っ直ぐに前へ向かって進んでこられ、そして充実した人生を送ってこられたのだと思いました。岩本さんは、特に中国に渡ってからの、メンドンについての研究への意気込みとエネルギーは、それだけメンドンへの思いがなければ、絶対に出てこなかったものだと思います。福田さんは、マツダの中で様々なピンチ、そしてチャンスを経験されて、その中で悔しい思いや焦りもあったと思うけど、喜びや達成感もとても大きかったのではないかと思います。

 3人の方の今までの人生の中の経験、人生観などをお聞きして、これから生きていく中で必ず失敗や挫折があるけれど、それらをすべて自分の力にして生きていけるように、自分の目標設定をしっかりしていきたいと思います。

 


■ 閉会挨拶

副校長 三藤義郎

 

オリーブは,イタリアの現政権与党の名にも使われています。オリーブが,植物の育成にあまり適さない土地にも,しっかりと根を張り,必ず実を結ぶからだと言われています。

 さて,河本様,岩本様,福田様のお話しは,4年生の皆さんと50年以上の時の隔たりをもっています。皆さん方が,3人の先輩とそっくりそのまま同じように人生を歩めるはずのないことはもちろんです。ちょうど皆さんは,高校における進路選択の第一段階に立っていますね。加えて,世の中大きく変動しているといわれる真っ只中で,たくさんの不安を抱えている人も少なくないと思います。まさにこの点なのです。お三方も高校時代には,今のような自動車社会や国際環境を見通しておられたわけではない。その意味で皆さんと同じです。と同時に,変貌をとげる社会のなかで,自己を実現してこられたお手本であるのです。どのような土地でも実を結ぶオリーブ。その意味でも皆さんに勇気をくださったと思います。

また,本日はオリーブ会副会長佐藤光正様のご参加に加えて,お三方の同期4回生の折田様,広井様,天満様,磯ア様,土屋様,森田様がご参加くださいました。お三方の応援のためです。高校での絆は一生ものであることのお手本です。夢を実現する実力をたちまち身につけることは難しいことですが,今日のお話しに感謝して,直ちにできることがあります。同級生との絆の芽を大切に育て続けることです。ぜひお願いします。

最後に,ボランティアでご協力くださった4回生の皆様にあらためてお礼申し上げて,閉会の挨拶とします。


2007/11/06

広島大学附属福山中・高等学校

広島大学附属福山高等学校同窓会オリーブ会