広島大学附属福山中・高等学校 Page2/2

100校プロジェクト 平成8年度実施状況 【2/2】


◇ 先進的教育システムPlessui実験への参加
 ネットワークを利用した先進的教育システム「Plessui」を利用して,本校が環境教育で取り
組んでいる酸性雨の問題に関する授業を行った。「Plessui」はWWWブラウザを利用したプレ
ゼンテーションとチャット機能などを融合させた,画期的な教育システムである。実証実験に参加した
本校の生徒も,強い関心を示した。

◇ 中・高校生のためのスーパーコンピューティング
 広島大学附属福山中・高等学校と広島大学大規模非線形数値実験室が共同で平成8年7月から始めた
プロジェクトである。中学生・高校生が広島大学理学部のスーパーコンピュータPARAGONを利用
して知的な興味をのばし,独自の発想によるプログラム作りを目指している。

○平成8年度の成果と課題

 100校プロジェクトも2年目を迎え,本校ではより多くの教職員や生徒に利用の輪が広がった。ま
た,教員間でネットワークへの認識が深まり,ホームページに研究成果などを公開する教科も増えた。
ネットワークを利用した教育では,昨年度に続き環境教育への取り組みや美術教育への利用をおこない,
また新たにスーパーコンピュータの教育利用に取り組むなど,広く可能性を追求してきた。
 来年度は,生徒のネットワークを利用した学習の拡大と内容の充実を図りたい。また,生徒に基本的
なリテラシーの育成を目指し,中学校1年生に年間を通して週1時間の学習を予定している。

○プロジェクトに参加して

 2年間にわたり,広域ネットワークの教育利用について,実験的な試行に取り組むことが出来たこと
を,深く感謝しています。当校での取り組みは,広域ネットワークの環境教育への活用を図りたい,と
いうことで始まりました。酸性雨調査プロジェクトの全国的な展開が,予想を上回る成果を収めたこと
もあり,環境教育の分野でネットワークが有効な手法になりうることを,十分実証できたように思いま
す。ホームページの作成や,卒業生のページの開設,ネットワークを利用しての,高校生のスーパーコ
ンピュータへの挑戦など,ネットワークの持つ可能性の大きさに,胸をおどらせたこともたびたびあり
ました。
 多くの実践をとおして,ネットワークの教育利用についての検証が,不十分だったと思われるところ
があります。それは100校プロジェクトの2年間の実践が,特別活動の領域ではかなりの成果を上げ
ることが出来たものの,学校教育の基盤である教科教育の領域,教科の授業の中にほとんど入り込めな
かったということにつきると思います。
 今後の学校におけるネットワークの利用について,不安がないわけではありません。ネットワークの
利用が拡がっていくにつれ,教育界での議論は,「学校で安心して使えるインターネットとは」とか,
「好ましいホームページのありかた」とか,「ホームページの内容の精選による教材化」など,ネット
ワークの利用を視聴覚教育の一分野としてとらえたり,現在の学校の枠の中でのネットワークの有効利
用を図ろうとする方向に,急速に傾斜しつつあるように思えるからです。
 もちろんそのような利用方法を,否定するものではありませんが,ネットワーク本来の,自由でのび
のびとした環境の中での利用,ネットワークを直接的に生徒が利用することのすばらしさを大切にする
ための研究が,100校プロジェクト参加校のこれからの課題となると考えています。 (長澤 武)


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