Science Partnership Project

2008

 

広島大学附属福山中・高等学校

 

 

1. 喜怒哀楽の秘密  −心を司るものは何か−

就実大学薬学部薬学科

713日(日)

中学23年選択理科対象

ヒトの脳は喜怒哀楽などの感情、視覚・聴覚をはじめとする種々の感覚、本能行動・知能行動などの複雑な行動、ヒトにおける事象のすべてを司っていると言っても過言ではない。しかしこのように複雑な事象も、究極的には化学物質を介した神経細胞(ニューロン)どうしの相互作用の連鎖に還元できると考えられている。本講座では、ヒトに言語を操らせ道具を使わせることで文明社会を築かせた脳の働きが薬学の立場からどのように理解できるかを学び、実習を通じて脳の働きに関する薬学的アプローチの一端にふれることを目的としている。またキャリア教育の視点から、医療系への進路に対する意識を高めることもねらいとしている。

 

 

2. 自分のからだを探る  −走る・投げる・跳ぶの体の仕組みを解明する−

福山平成大学福祉健康学部健康スポーツ科学科

未定

中学・高校生対象

この講座では、わたしたちの「走る」「投げる」「跳ぶ」「打つ」などの運動の基本動作において、筋肉、骨、神経を中心に体の中の動きを理解するとともに、合理的な動きや大きなパワーを生み出す仕組みを解明する。

わたしたちは日常の生活や、スポーツの場面で、走る、投げるといった様々な動きを行っている。それらの、動きは一人ひとり少しずつ違っている。熟練したスポーツ選手はその動きに無駄がないし、洗練された動きは同じような動きになってくる。そうした体の動きの仕組みを、生理学的な視点から解明するとともに、各自の基本動作における能力の測定から、自己の体の動きがどうなっているかを解明する。また、その結果から効果的な動きやパワー発揮のための筋肉や骨格の使い方を実験しながら探求していく。これまでは、そうした体の動きは運動の結果としてからしか解明されていないが、生物としての体の内部の動きとしてとらえ解明していきたい。人体の仕組みへの興味関心を高めるとともに、体育の授業やクラブ活動のスポーツを行う際の自己の体のコントロールがより意識的にできるようになり、大きなパワーが発揮できるようにしたい。

 

 

3. 新しい医薬品の開発を支える基礎研究の世界  −薬用植物に秘められた可能性−

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 創薬生命科学専攻

821(木)22日(金)

高校生対象

植物は種々の生物活性物質を含み,新たな医薬品を開発できる可能性を秘めた宝庫である。それは古くから,漢方医学として伝統的に種々の薬用植物が組み合わせて使用され,処方(薬方)として効果的な治療方法が工夫されてきた歴史からも明らかである。しかしながら,その一方で多くの成分がどのように薬効に関与しているのか,人体への作用に最終的に関与している物質は何か,成分間でどのような相互作用がおこっているのか等,未だに解明されていないことも多い。今回は,薬学でも特に「薬用植物」をテーマとして,新しい医薬品の開発を支える基礎研究がどのように行われ,また,それらがどのように活用されているのかを生徒たちが学び,薬学に対する興味・関心を高めることを目的とする。本講座では,実際に生徒たちが緑茶,紅茶の薬やコーヒーからカフェインを単離する実験・実習を通して,新医薬品の基礎となる活性物質の開発研究の初歩を学び習得するとともに,キャリア教育の視点から医療系への進路に対する意識を高めることもねらいとしている。

 

 

4. 見る・聞く・探る  −未来の生活を支えるロボット技術−

岡山大学大学院自然科学研究科産業創成工学専攻知能機械システム学講座

927(土)28日(日)

高校生対象

現在,ロボット技術は工業の自動化だけにとどまらず危険な場所での調査(探査)や人命救助,また介護の分野まで,私たちの日常生活に近いところで多く活用されている。このようなロボット技術には,機器の小型化・高出力化・高精度化というハード面の技術とともに,それらを制御するソフト面の開発が必要である。生徒たちはこのようなロボット技術に対して関心が高く,工学系への進路希望を持つ生徒も多い。しかし,中学校高等学校の段階ではこれらの技術について学ぶ機会はほとんどないのが実情となっている。

今回のプログラムでは,興味を持つ生徒(希望者)を対象とし,ロボット技術の最先端を研究する先生方のお話を聞くとともに,実際にロボットに触れ,その技術の高さを体験することで,興味・関心をさらに高めるとともに,ロボット技術のさらなる利用や社会への貢献について考えさせることをねらいとする。また,実習を通して,ロボット技術に関する知識を深め,その基礎となる科学への関心も高めていきたい。このことはキャリア教育の視点からも重要であり,工学系へと進路を希望する生徒たちにさらに意欲を高めさせることができると考える。

 

 

5. 天文学とは何か −星を観測してわかること−

香川大学教育学部(理科教育)

1011(土)

中学生対象

本講座では,主として中学生を対象に,天文学とはどのような学問かを体験を通して学ぶ。講師の松村雅文先生は,星の周囲や星間空間に分布する、塵粒子・電子など、天体からの光を遮ったり散乱したりする物質による、偏光という現象を使って宇宙の謎を解明してこられた。偏光は,液晶ディスプレイの原理にも関わる光の性質であり,たとえば星の周りの塵粒子・電子の分布、星間空間の磁場の方向など、他の観測手法では得がたい貴重な情報を得ることができる。偏光やスペクトルなど,身近な光の特徴を,実験を通して学び,さらにそれを使って天体を観測することでどのようなことが解明できるか,天文学の手法を学ぶ。また,天文学という学問を通して,キャリア教育の視点から理科系研究者への進路に対する意識を高めることもねらいとしている。