オリーブの環 2006


2006.11.05
■広大附属福山中・高校  同窓会オリーブ会 合同企画
■第3回生 高辻知義・小西正巳・倉橋吉敬の3氏の講演会と交流会
■出席は
4年生
■記念植樹 オリーブの樹一本

開会の挨拶 副校長 廣澤和雄

 おはようございます。今日の行事「オリーブの環」は、今年で三回目になります。
 福山附属の卒業生は、開校以来56年間で、11354名に上りますが、皆、福山附属の「自由と自主」の精神と「志」のもとに、素晴らしい人生を送っておられます。
 今日の行事「オリーブの環」は、その年に古稀を迎えられる、70歳になられる先輩方をお招きして、先輩の方々の人生観や職業観などのお話を聞き、先輩の方々と交流を持つことで、福山附属の「自由と自主」のよりよき伝統を語り継ぎ、受け継いでいこうという行事です。
 今年は、高辻知義さん、小西正巳さん、倉橋吉敬さんの3名の先輩の方々をお招きしました。生徒の皆さんは、先輩から後輩への熱いメッセージとエールを直接肌で感じ、これからの自分の生き方の参考にして頂きたいと思っています。
 考えてみれば、皆さんから見れば、先輩方は将来の自分の姿であり、自分の目標でもある存在です。先輩方にしても、後輩の皆さんは、自分の人生の出発点であり原点でもあります。つまり、共に多感な青年期に、同じ校歌を歌い、「自由と自主」の校風の中で、福山附属の空気を共有した存在として、 皆さんと先輩方はひとつの絆で結ばれ、オリーブの伝統の中に位置づけられていると思います。
 本日は、オリーブの植樹のセレモニーも予定しています。今日一日を、先輩方のお話や先輩方との対話を通して、皆さんにとっても学校にとっても、この福山附属を今以上に、夢と希望のもてる学校にしていくために、意義ある一日にしていきたいと思っています。
 高辻さん、小西さん、倉橋さん、お忙しい中、後輩達のために足を運んで頂きありがとうございます。どうかよろしくお願いいたします。



講演を聴いての生徒の感想文

■ とても役に立つ、いや人生の財産として、今日の話をこれからに生かしていこうと思いました。自分は今まで何かを勉強すればそれでそのことは十分に理解できたので終わり、と思っていたけど、「学び」にピリオドは無いのだとわかりました。教養はただ身に着けるものではなく、そこからどんどん深く追求でき、新たな発明があるということを知って、私はここで自分には新たな発明を生み出す「知」を感じました。自分は将来建築士になろうと思って日々勉強していますが、その勉強はただ免許を取得するもので終わらない、世界で通用する建築物を設計したいという夢が広がりました。まだまだ大きなことを語れる年ではりませんが、この体験は私に一歩一歩進んでいく長い道のりへの大きな白紙の地図を与えてくれたような気がします。

■ ボランティアでいらっしゃったのに、いやな顔もされず、お話しして下さってありがとうございました。これから私たちは大学進学に向けて勉強していきます。そして大学に入学できてからも勉強していかなければなりません。でもそれは大学卒業後に自分がしたいことを実現するためで、誰かに強制されるわけではありません。だから、今日話して下さった皆さんのように、自分の今までに自信を持って、そしてそれを確かに誰かに伝えられるようになりたいと思いました。大学に入って終わりにするのではなくて、自分の勉強を人に巻き込まれずに続けていきたいと思いました。相手に伝えることの難しさ、相手を理解することの難しさ、チャンスをつかみ取ることの大事さが分かりました。自分が自信が持てるほど一つの道を極めてみたいと思いました。今日の話はどれも私たちのためにというもので、とてもためになりました。すべてを理解できたわけではないけど、これから過ごしていくうちに、だんだんと教えられていたことが理解できるようになって行けばいいと思いました。

■ 今日お話をしていただいた三人の先輩方は、どなたもそれぞれの世界で華々しく活躍されている方でした。話をうかがう前からどんな方なんだろうと色々想像をめぐらしていましたが、先輩方が素晴らしい人生を送っていくための基本の部分は、それぞれのを附属生時代にはすでに出来上がっていたんだろうなと感じました。皆さん高校生の頃には自分の将来に向けて、それぞれやるべきことに気づいていて、今の自分と比べると情けなくなりました。今の私には具体的な夢や目標がまだ見えてこないのです。それは努力しないことの言い訳には決してならないということに気づかされました。夢が決まらなくてもできることはたくさんあるし、決まってないからこそ、やらなくてはいけないこともあって、今の自分の適当な、何となく過ぎてゆく日々を変えなければならないと強く感じました。附属という、とても良い環境に身を置いて過ごせる日々を、高校生という時間を、そして周りにいる人たちや自分を大切にしながら、有意義な日々を過ごせるような努力をしたいと思います。小西さんの話にもあったように文字では伝えられない部分もありますが、今日はどうもありがとうございました。

■ 何が一番印象に残ったかと問われると、なぜか何もうかんでこないのです。そうしたわけで、考えたことを書きたいと思います。まず、三方の先輩方の話を伺った後に思ったことは、どんな経歴でどんな職業に就かれても、結局考えることというのは、他人の言ってることを理解することだと思います。高辻さんの話で言うと、「他国の文化などを理解する」、小西さんで言うと、「コミュニケーションの重要さ」、そして倉橋さんで言うと「挫折などしても人を見て、そして努力する」。そういう共通点というものがある。おそらく先輩方は自分のやりたいことや自分自身のことを理解し、そして勉強して、またそのうえで他の人の意見などを理解しようと努力する。そのために高校生、そして大学生のうちに自分の本当にやりたいことを見つけ、知識などを増やしていきなさいと、ぼくたちに伝えたかったのだと思います。末筆ながら、ありがたいお話をして下さった先輩方や、企画して下さった先生方に感謝し、今日の話を踏まえて、今までの数々の恥ずかしきことを反省し、これからの奮励努力の糧にしていきたいと思います。

■ 普段は卒業された先輩の話を聞くことはあまりありませんが、今日は先輩、しかも古希を迎えられた方々の思いを知る貴重な機会となりました。3人の先輩方の講演を聞き、改めて自分と附属の関係を見直すこともできました。特に印象に残ったのは、文化とコミュニケーションのつながりについてです。何気なくかわす言葉やメールなどは本当は相手の意図している内容の30%程しか理解できていないこと知り、文明や開発がもたらした機械に頼らないで、相手と直接対話することの必要性を再認識しました。また、国際化が急速に進む今日では、海外からのモノや人が流入し、国内でも多文化が混在しています。このような状況の中で異文化の壁を越えて分かりあうためにも、自分の意思をしっかり表現することが求められると思います。こんな時、今日の話で感じたことを思い出し、相手を理解し合えるコミュニケーションを目指していきたいです。

■ 先輩方のお話は、自分の進路決定するにおいて大変参考になりました。いま、私は自分の進路に不安があったのですが、先輩に十年二十年先のことを考えるより、今できることをやれと言われ、とても気が楽になりました。それが一番うれしかったです。
また小西先輩から、幸運になるためにはという話をきいて、感動しました。幸運は人それぞれ感じ方が違うから、いろいろな幸運があるだろうけれど、その幸運をつかむためには自分がまず動かなくてはならない。そのことが、今何をやっても何の意味があるのかわからないと感じている私に、大きな影響を与えてくれました。今は意味がわからず、何も楽しくない状態かもしれないけれど、将来幸運というチャンスをつかむための準備なのだと考えると、やる気が出てきました。この先の進路選択に、希望が見えたと思います。
本日の話はとても興味深いものでした。先輩方が多方面で活躍されているのを見ると、自分も何かできるのではないかという気持ちにさせられました。本当にありがとうございました。

■ この学校に来ていなければ、聞けなかったであろう貴重なお話を聞けて、とてもいい機会だったと思います。皆さんの話を聞いていて、自分から行動するということがいかに大切なのかということが印象に残りました。人とたくさんコミュニケーションをとることも大切なのですね。自分で行動する努力するということは、すぐできることでもあり、難しいことでもあると思います。でも、行動するからこそチャンスがものにできたり、幸せな方向へと進んでゆけるということも分かっています。私はとにかく今できること、勉強や部活や友だちとのつながり、そういったことを一つ一つを大事にしてことから始めようと思います。私たちが70歳になったとき、みなさんのように立派な附属の卒業生になれているのかと思うと、少し不安です。正直考えもできません。でも、同級生の方々も今日来て下さったのを見て、人とのつながりを大切にできていたら大丈夫だ、という気もします。附属での今までの、そしてこれからの思い出を大切にしていこうと思います。

■ 非常に貴重な経験になったと思います。特に、外国と日本の大学生や学習意欲の違いの話が印象に残りました。アジアからの留学生は、自分の国をよくするために必死で学習している。しかし私たち日本人の現在はどうかと、とても考えさせられました。ゆとり教育ということを最近よく耳にしますが、三人の先輩方の時代にはもちろんそんな言葉や考え方はなく、与えられた、もしくはそれ以上の勉強をやっていたのだろうと思います。また、私たちと違って、自分の興味関心から始まって、自ら進んで学習をしていたのだと感じました。私たちも、自分のためにも、未来の社会のためにも、積極的に学習に取り組んでいこうと思います。三人の先輩方の話は、内容は共通する部分も異なる部分もあったけれど、高校・大学時代の、自分の努力から生まれた人生を語っていただいたということについては同じです。これから私たちの高校生活にかかわる話でもあったので、とてもためになりました。お忙しい中わざわざお話に来て下さって、本当に感謝しています。ありがとうございました。

■ 高辻さんの話をうかがって、日本という小さな世界にとらわれることなく地球全体、視点に立とうと思いました。そして相手の国の文化などを事前に学び、それを踏まえたうえで日本の文化を発信していきたいと思いました。現在日本の国際社会における語学力の低さが目につきます。技術だけでなく、人とかかわる上での当然のことをしっかりとしていきたいです。
小西さんの話から。僕も「メール」の不便さを実感することが時々あります。同じ生活背景にある今でも伝わらない事があるのだから、将来社会に出たときそれは本当によく起こるだろうと思います。面と向かっての会話の大事さを、あらためて感じさせられました。また「チャンス」というものは意外な時にやってきて、あっという間に去っていくものです。「人事を尽くして天命を待つ」、この言葉を胸に生活していきたいと思います。チャンスのたとえ話、おもしろかったです。
倉橋さんの話から。今の小学生は半分以上は地動説でなく、天動説を信じているというのを聞いたことがあります。今この豊かな日本において、勉強しなくても生きていける。これが日本での学習意欲停滞の一因であると思います。例えばアジア諸国にしても、自分が勉強し、自分でカネを稼ぎ、自分で家族を養わなければならない。アジア諸国にとって、学習とは生きる術であり、命だけだと思います。その気持ちを、気迫を、もう一度日本人も持てたらと思います。

■ 私なりに三人の先輩のお話を解釈すると、「努力すれば必ず結果につながる」ということじゃないのかなと思いました。それは、先輩方の言葉だけでなく、姿からもわかりました。先輩の姿は努力した姿だから、すごく立派なんだと思いました。私も、あんなふうに、努力して一つずつ確実に成功していって、また胸を張って母校に戻りたいと思いました。高辻先輩の話は、ドイツ語とかが、すごく遠いもののように感じたけれど、すごく具体的に話して下さったので興味を持ちました。小西先輩の話は、人と人とのコミュニケーションのこととか、自分が知らないことばかりで、なるほどと思いました。倉橋先輩は、附属をとてもいい学校だとおっしゃっていて、自分の置かれた境遇が幸運だと再認識させられた話でした。「正直者は馬鹿を見る」といますが、私は最近努力して損をすることが多かったんです。でも正直に努力して三人の先輩方のようになれるのなら、努力することはいいことだと思いました。先輩方の姿を見て、努力の意味を知りました。ありがとうございました。

■ 高辻さんのおっしゃっていた「グローバル」について、印象に残った。日本はもっと世界とのつながりを持っていかなければならないというようなことをおっしゃっていたと思うが、この「グローバル」とか、「つながり」ということは、世界とのつながり以外にも人と人との関係とか、学問のつながり、技術のつながりという意味で、小西さんや倉橋さんのおっしゃっていたこととつながると思う。考えてみると、もともと人間は一人で生きていけないのだから、他の人とのつながりがあるはずだし、学問その他も人間の役に立つために作られたのだから、根源的に「つながり」を持っている筈だ。しかし、この「つながり」がなくなってしまうからこそ、現代社会の混乱があるのだと思う。三人が三人、それぞれ専門的な経験談を話しているようで、実は大体同じようなことを話している「つながり」はとても勉強になった。僕が社会に出たときに、いろんな分野で「つながり」を持っていたいし、また人と人とをつなげる存在でもありたい。

■ 私は今日の話を伺って、努力することってやっぱりとても大切で、欠かさず毎日していくべきものなんだなあと、改めて感じました。今日お話をして下さった高辻さん、小西さん、倉橋さんは、今までずっと努力して頑張ってこられたのだなと思いました。お話の中で特に印象に残ったのは、小西さんの話の「運」の話です。私は「幸運」をつかむ方法の内容の本を読んだことがありましたが、小西さんの話している内容と似たことが書いてあり、とても驚きました。私は「そうか、幸運を掴むにはさまざまなチャンスを逃すことなく、見つけることが大切なのだなあ」と思いました。私は、どちらかというと引っ込み思案で、マイナス思考な部分があるので、いろんなチャンスがあっても今までは逃していたし、行事などにもあまり積極的ではありませんでした。ですが、三人の方からお話を聞き、いろんな役立つことを学ばせてもらいました。これからはいろんなことに積極的にチャレンジしたり、参加したりできるようにしたいです。そして毎日こつこつ努力していきたいです。今日は、本当にありがとうございました。

■ 私は、小西さんがしてくださった、人と人とのコミュニケーションについての話が一番印象に残っています。顔を合わせて向き合って話をすることの大切さを改めて感じさせられました。そして自分を振り返ってみると重要な話でもメールなどで済ましてしまっていたことがあったと気づき、改めようと深く感じました。また声のトーンや身ぶりいてぶりのあるなしで内容の伝わり方に大きな違いがあると知り、とても驚かされました。これらのことは、学校生活ではもちろんのこと、私が社会に出てからもとても役立つお話でした。
高辻さんの、ヨーロッパへの船旅のお話では、早く移動できるようになったいま、私たちは損をしているということを聞いて、たしかにその通りだと感じました。一つの目的だけを目指していても、そこへたどり着くまでの過程によって、見え方・感じ方が変わってくるというのは、勉強や芸術、人生においても言えることで、この高辻さんの話はまた一つ私の知識を高めてくれました。倉橋さんのおっしゃった「時代と共に変わりゆく環境には対処するが、物事の根底にある普遍のことは守っていくのがよい」という言葉には強い共感を覚えました。臨機応変に生きていけることも大事だけれど、何もかも変ってしまうのはとても寂しいことで、やはり何か一本自分の柱となるものを持って生きていきたいと思いました。今日の三人の方々の話はこれからの私の生き方を考えていくうえでも、とてもよい影響を与えてくれるものでした。



閉会の挨拶 副校長 竹盛浩二

 今日は、大先輩の高辻さん、小西さん、倉橋さんには、ほんとうに素晴らしい話をしていただきました。
 二年前から始まった「オリーブの環」は今年で3回目を迎えました。2006年度4年生の諸君にとって、新たに高校から入学した者を加えての5クラスが揃い、学年としての絆が深まった今、その君たちにとってためになる話、いやいやそんなものではない、70歳を迎えたオリーブ3回生の先輩と君たち4年生との間に、激しくスパークするものがあった。オリーブの絆を確かめ合う、ほんとうに掛け替えのない時間を、今日一日共有できたのだと思うのです。この一瞬一瞬を積み重ねつつ、福山附属の君たちは成長していくのだと思います。
 今日は、同窓会オリーブ会会長の天野さんにもご出席いただいて、この青空のもと、今日の感動を、このオリーブの樹一本に託し、記念植樹を行い、テープカットがなされました。4年生の諸君、今日からこのオリーブの樹は、君たちの樹なのですよ。
 皆さん、今日は本当にありがとうございました。これをもって、「オリーブの環2006」閉会の挨拶といたします。



広島大学附属福山中・高等学校
広島大学附属福山高等学校同窓会オリーブ会