■講師:附属福山5回生 大本直宏氏 生田義和氏 ■対象:在校生4年生 ■ 10:00〜10:10 開会行事 10:10〜11:10 講話 11:10〜11:25 質問 11:25〜11:40 交流 11:40〜12:00 植樹と閉会行事 12:00〜12:40 HR ■来賓:同窓会オリーブ会 天野 肇 会長 池田潤治 副会長 5回生有志 記録:片岡博美氏・池田彩歌さん ■記念植樹:オリーブの樹一本 ■開会挨拶 副校長 竹盛浩二 今年も、「オリーブの環」の日がやってきました。 古稀70歳を迎えられた、君たちにとっては大先輩であるオリーブ5回生の、大本直宏さん、生田義和さんに今日はお話をしていただきます。どうかよろしくお願いいたします。 それぞれの道を歩んでこられたお二人のお話を聞いて、君たちはまず、これからどういう道に進むのかという、自分の進路について考えることになるでしょう。さらには、附属生大先輩の話を聞いて、附属生であることの絆、今ここにいる仲間がともに附属生であるということをあらためて考えることになるに違いありません。今日は、君たちが附属生としてこれからどのように歩むのかを考える、重要な日になる。 この「オリーブの環」は、5年前にちょうどオリーブ一回生の方が古希を迎えられるに当たり、母校の後輩にぜひ話をしたい、そういう声がきっかけとなり、同窓会オリーブ会のご支援をいただいて、同窓会と学校が共催というかたちでスタートさせたものであります。今日も、同窓会オリーブ会の会長である天野様には、お忙しい中お越しいただいています。 福山附属を巣立つ5クラスが揃うのが4年生、毎年その4年生が、古稀を迎えられる先輩の話に耳を傾け、毎年オリーブの木を植樹しています。今年で5回目。今後もずっと続けていきたいと思っています。こうして、「オリーブの環」は年毎に重ねられていき、オリーブの志はしっかりと引き継がれていくのです。 今日一日、すばらしい日となることを願って、開会の挨拶とします。 生徒の感想 ■5回生という何十年も前に卒業された大先輩のお話を聴くことで,この附属福山の伝統のすばらしさと,そして重みを改めて感じました。大本先生からは,夢・目標の大切さ,ここにいられることへの感謝を学び,お医者様である生田先生からは,人間というものを学んだように感じます。これらのことは普段の学校生活や授業では学ぶことの出来ない貴重なお話で,自分の生活や生き方,進路への心構えというのを真剣に考えさせられました。偉大な先輩方に恵まれている私たちは幸せ者だと切に感じました。 私事ではございますが,昨年電車で下校していたところ,附属の卒業生といわれる先輩と出会うことができました。何とその方も5回生だったのです!その方にも短い時間ではありましたがお話を聴くことができ,オリーブの伝統というのは本当に大切なものだと考えました。今日おみえになっている方の中に,その方はいらっしゃいませんでしたが,私はより大勢の先輩方のお話を聴くことができたのだとうれしく思っております。私もいつかこの学校のために何かしたいと思うことができました。そう思えたことにはやはり今回の「オリーブの環2008」というのがあって,それに参加することができたからだと思います。大本先生のターニングポイントは,商船大学を受けたことだとおっしゃられましたが,私のターニングポイントは今年,この時だと思います。本日は本当にありがとうございました。私たち,59回生になる予定の202人も,先輩方に負けないような立派な絆をつくりたいと思います。 ■卒業生である先輩の皆さんそれぞれがはば広い分野で活動されているこの学校で,今回のように普段聞くことのできない貴重な話をしてもらえる機会があることは,とても幸運だと思えた。お二人の話それぞれに響く言葉があったからだ。私は母校愛だとかいうのはよく分からなくて,それなりに愛着はあってもやっぱり限定された範囲であるために外の世界と違い,特殊な部分ができて,そういうのを見るたびに閉鎖的に感じたり,自分の今いるところの狭さを思ったりしていた。そのうち出て行くことになるところだし,私も出てみたらなつかしく思えるのかな,とか考えていた。でも,この機会に,私はなぜ同窓会の方々があそこまで在校生のために力を尽くしてくれるのかがやっとわかった。学校へのなつかしさだとか郷愁の気持ちではなくて,自分を育ててくれたことを忘れない感謝からしていることだった。感謝を忘れていない人々だから本当に今の私たちによくしてくれる。伝統をうけつぐ,などとずっと言われていて何が大切なのか全くわかっていなかった自分に気がついた。自分のしてもらったことを,人にもしてあげようという気持ちが見えていなかった。感謝しなさい,と大本さんがおっしゃっていて,荒っぽさを感じる口調でも,ああこの人はとても強くて優しいな,と思い,私は今日1つ新しく気付けたことがあって本当によかった。 ■リアルに世界的な外科医が先輩なのだと思うとなぜか自分も誇りに思えてくる。「自分の学校を出た人はこんなにすごいんだ」と自慢したくなる。これは皆そうだと思う。よほどのネガティヴ思考でない限り。自分の子どもが有名進学校に通っていると親が自慢したくなる現象もこれに似ている。これは,親子であれば「家族」という同胞意識,今回私が感じたものであれば「オリーブの一員」という同胞意識からつくり出されるものだと思う。「同胞意識」つまり「仲間意識」。半世紀もの幅がありながらそれがいまだ健全というのが,私たちオリーブのすごいところだと思う。そんな環の中にいるからこそ,同志にすごい人がいれば必然的に皆自分自身の可能性に期待する。「全然出過ぎたことじゃない」と自己に言い聞かせられる。私も自分の可能性を信じて,何かアクションを起こしてみようかなという気になった。 ■「夢は1つではなく,できれば2つ持ってほしい」そう聞いて,それがお2人のように人生を豊かにする1つのポイントではないかと思いました。今では,大本先生も生田先生も道一筋で,とてもうらやましいですが,人生を決める機会はいつ訪れるかわからないからこそ,幅広い視野を持つことが大切なのだと思いました。 また,現状に満足してはいけない,「改良・開発は現在を否定することから始まる」というお話では,多くのことを学んだように思います。満足することも大事ですが,そこでやめてしまうと,そこから先へ世界は広がらないし,成長も限界が来てしまいます。でもやはり進歩しようと思ったら,強い意志と大きな行動力が不可欠なのだと思います。気持ちばかりが強くて先走ってしまっても駄目であって,2つがリンクしていないと成し遂げるのは難しいのだと思います。特に生田先生の向上心はご立派ですし,出会いの大切さを強く言われていたことにも,共感です。私もまだ短い人生ですが,その中で多くの素晴らしい人々に出会ってきたと思っています。せっかくこのたくさん人類がいる地球に生まれてきたのですから,もっと人と人とのつながりを持てたらいいなと思います。 何事も努力あってのこと,大本先生もおっしゃっていたように,挫折は私たちを鍛えてくれます。私も今,挫折と戦っていますが,50年後には,自分の人生に胸を張れるよう,大きく成長していきたいなと思いました。 ■今日の日の「オリーブの環」でお話を聞いて,オリーブの伝統である「自由・自主・自律」の精神が感じられたように思います。お二人はそれぞれの人生や僕たちに対するメッセージを語られましたが,その中にも「オリーブの伝統」が入っている気がしました。目標を持ち,それに向かって精一杯進んでいくこと。出会いを大切にすること。新しいことに挑戦していくこと。きちんと記録していくこと。全て僕たちにもできそうなことでありながら,実行するのは難しいことだと思いました。また,これらは全て,僕たちが自分自身でやっていかなければならないことだと思いました。 「そんなこと,わかっている」と自分の中では思っていましたが,実際にそのように行動しているわけではありませんでした。周りからの強制がない分,「自由・自主・自律」の精神をもって進んでいかなければなりません。先輩方のお話を聞いて,まだまだ未熟な自分に気づきました。 今はまだ,僕たちは未成年で,親の保護を受けていますが,いつか,自分自身で生きていくことになります。そのときに,恥ずかしくないように,今から「オリーブの伝統」である「自由・自主・自律」の精神を日頃から大切にし,自らを磨いていこうと思います。大本先輩,生田先輩,貴重なお話を,ありがとうございました。 ■人生の選択は最終的には,自分自身で決定することになる。しかし,その選択肢は自分だけではなく,他の人がつくってもくれる。そのことをまず第一に感じました。 そして,進路選択も焦る必要はない。ゆっくりと時間をかけて自分の答えを導き出す。その過程における挫折と苦悩は自分一人で抱え込むのではなく,友人,知人にすがってみることも大切。どちらにしても,人は一人では生きてはいけない。親や仲間が必要。附属福山という自分の母校はそんな仲間をつくる場所であることも感じました。同級生がいなかったら船の道には進んでいなかったという大本先生。その同級生が創ってくれた将来の選択肢を最終的に選んだのは大本先生自身である。これも一人ではなく,他の人と共に生きていったということだと思います。指や手の再生という道を歩んだ生田先生も,目の前に救わなくてはいけない患者さんがいるからということで,その道を進まれた。これも,患者さんが生田先生の将来の選択肢を創ったということではないでしょうか。自分の進路を定めつつある今,自分一人ではなく周りに目を向け,信頼できる仲間をつくり,進路もいろんな人とともに決めていこうと思います。 ■お二人の話を聞いて,物事の道を究めるためには,現状に満足せず,いろんなことを知りたい,もっと高い技術を身につけたいといった向上心が大切なんだ,と感じました。これはよく言われることですが,実際に経験された方のお話の中で語られていたので,本当にそうなんだ,と認識できました。印象に残っていることが2つあって,1つは大本先生の「まずは生きる」ことです。何をするにしても,身体あってのものです。これはもう大原則だと思います。そして「何か辛いことがあっても,くじけずに頑張れ」といったメッセージもあったのではないか,と感じました。 もう1つは,生田先生の「集中力」についてのお話です。何か特別な秘訣があるのだろうか,と疑問に思って質問したところ,「自分では“集中しよう”として集中しているわけではない。手術の段階を踏んでいく上で気づけば集中している状態にある」とおっしゃられていました。もう「集中」は「集中」ではなく,「当然のもの」と思われているのがうかがえました。私も“集中”は当たり前のものとして身につけられるようになりたいと思いました。 他にもたくさん,というかほとんど全てがこれからの人生において重要なことで,とても勉強になりました。もし何かで迷ったとき,つまずいてしまったときは,今日学んだことを思い出して,様々なことに生かしたいです。 ■大本先生も生田先生も,御自分の仕事に対して誇りを持っている,ということを強く感じました。大本先生の場合は,「偶然」という形で行った大学ではありましたが,両先生とも大学で,今後自分たちの進む道を定めていました。だから,私も自分の将来を考えることのできる大学に行きたいと思いました。 大本先生が,自ら自分を鬼にしていて,「世の中には,鬼の立場の人も必要だ!」といわれていたことが,すごく印象に残りました。やっぱり,人は怒られることが誰であっても好きではないと思います。優しくされた方が,うれしいでしょう。でも,そうであっても,大本先生は「鬼」になっていました。それは,世に出て行くと,楽しいことばかりではなく,辛いことや苦しいこともたくさんあります。そのことを身をもって教えようとしたのかな,と思いました。本気で相手のことを考えているから,できることだと思います。 生田先生は,「友達は大切である」と繰り返しおっしゃっていました。今後,生きていく中で成功しつづけるということはまずなく,失敗の連続であり,だからこそ,その失敗したときに友達と励まし合い,助けてもらうというのは自分にとって必要であり,精神面でもとても助かることなんだと知りました。友達は大切にしようと思いました。また,私の父も意志であるので,生田先生の話を聞いて,父はどう思っているのかな?と考えることができました。生田先生が最後に言われたように,進路はよく考えて決めようと思います。今日,お話が聞けてよかったです!親に感謝することも忘れないようにしようと思いました。 ■今日のお話はとても興味深いものばかりでした。まず大本先生のお話ですが,先生の幼少期のやんちゃさは,後の先生の行動力につながっているのではないかと思います。“鬼”だと呼ばれていたそうですが,その厳しさも,先生の熱意が並々ならぬものであるからではないでしょうか。先生のお話の中で一番印象に残ったのは,「生きる」という言葉です。これから先,楽なことばかりではないと思います。辛いと感じることの方が多いかも知れません。しかし,今日の先生のお話で,人間にとって一番大切なのは“生きる力”だと思いました。今の私は“生きる力”を養うために生きなければならないのかも知れません。 次に,生田先生のお話ですが,現代の医療の進歩は,人間の好奇心,向上心,そしてあきらめの悪さ(熱意)によるものではないかと個人的に思いました。一度切断されてしまった手を再生する。昔では本当に漫画の中の話だったのではないでしょうか。それが生田先生を含め,多数の医師の手によって再生していると思うと,人間はすばらしいなと思います。先生のお話で,「顕微鏡の中の世界は美しい」という言葉がありました。自分の仕事に美を感じられるなんてすごく自分の仕事に誇りを持っていらっしゃるんだなと思いました。 また,人の心を思いやることの大切さも学びました。大本先生,生田先生,2人の先生に共通することは,それぞれ自分の仕事に熱意を持って接していらっしゃることです。私も大きな熱意を持てる仕事をしたいと思います。 ■生きることの大切さと仲間との関わり,思いやる気持ち,等々沢山のことを学びました。両先生とも「友」という言葉をよく言われていました。やはり友達というのはいつの世もどんなに年をとっても,自分を支えてくれるとても大切な人なのだと思いました。どんな方面の職業についたとしても,生きる価値みたいなものを見出してくれているのだと思います。また,人を思いやる気持ちというのは本当に大切だと思いました。大本先生だと自ら怖い存在となることで,他人への思いやる気持ちを表現し,また生田先生は,患者さんを思いやるからこそ自ら新しい医療機器を考案し,自分の持つ技術を高めることでより多くの患者さんを救っていったのだと思いました。 生きていく上では人と関わるというのは大前提であり,そのことをどう考えていくかで人の人生はこんなにも素晴らしくなるのだと思いました。自分も人のことをもっと思いやれる人間になりたいと思います。 ■閉会挨拶 副校長 三藤義郎 今年も、オリーブを校舎の正面に植えることが出来ました。講師のお二人には、本当にありがとうございました。 お話しを聞かせてもらいながら、4年生のみんなを羨ましく思いました。大本先生、生田先生のお話しには、皆さんに対する愛情が溢れていたからです。「鬼の大本」が、可愛い後輩たちの前で「仏」となってお話しくださいました。生田先生は、福山附属生限定特別バージョンの教材をご準備くださいました。 天野会長はじめ、記録係として池田副会長、片岡さん、池田さんがお見えになっているのも、同窓会オリーブ会が皆さんに注いでいる愛情の表れです。 皆さんを応援してくれる先輩たちが沢山いることを、今日植えられたオリーブを見る度に思い出してください。 皆さんはいろんな事を考えるきっかけをたくさん吸収できたことと思います。お二人からいただいた助言をいきなりすべて実行することは、簡単ではないかもしれません。ただ、すぐ実行できることがあります。お二人の講演のために駆けつけてくださった5回生同期の方々。井上さん、内海さん、信岡さん、昼田さん、森田さん。卒業後、半世紀経た同級生の絆が皆さんの目の前にあります。この絆の基礎は、福山附属での日々の高校生活です。皆さんの高校生活も、同級生との繋がりを育てている毎日でもあること。今日、あらためてこのことを意識すること。これはすぐ実行出来ますね。 以上を閉会の挨拶とします。 |
2008.11.05
広島大学附属福山中・高等学校
広島大学附属福山高等学校同窓会オリーブ会