美術科教育研究(表現する道具(素材)としてのコンピュータ)

コンピュータグラフィックスを活用した授業の実践

ペイント系のグラフィックスツールを使用した造形表現

題材のねらい

 本題材では、2Dのペイント系のソフトウェアーを使用して造形表現を試みる。特にテーマなどは設定しないで、直接コンピュータのディスプレイに向かい、その画面上において様々な発想を試み、アイデアを膨らませて作品の制作に進む。
つまり、グラフィックツールの多彩な表現機能を道具や素材としてとらえ、この素材の持つ表現の面白さを体験しながら創作に取り組み、コンピュータを生徒の主体的な表現活動を支援するものとして活用するのである。これにより生徒の意欲が向上し、自由で多彩な創造の手がかりとなることを期待する。

この題材で特に育てる能力、態度としては下記の点があげられる。

@造形的創造力(自らのアイデアを表現活動を通して具体化していく能力)
A構成力(様々な形態や画像を組み合わせ、レイアウトする能力)
B色彩計画(目的に沿った意図的な配色をする能力)
Cコンピュータを造形的な表現手段として活用する能力

作品集1 作品集2

学習指導案

学習
段階
主な学習活動 時間 指導上の工夫
導入 ○コンピュータを活用したデザインワークの事例や参考作品などを紹介する。 コンピュータを操作しながら、コンピュ ータ造形の実際を見せ、興味関心を持た せる。
○コンピュータとソフトウェアーの基本  的な操作方法を説明する。 ○作品制作のプロセスを把握する。 10 ・コンピュータやソフトウェアーの使用が初めての場合は、簡単な操作マニュアル を作成しておく。例えば、ソフトの起動と終了、データの保存と読み込み、マウス による描画など。
構想

表現
(1)様々なペンツール(ハードペン・ソフトペン・エア ーブラシ・図形ツールなど)を活用して自由に描 く

(2)描いた画像の全体や部分にいろいろな 変形や効果(カラーチェンジ・ぼかし・じみ・レリーフ な ど)を与えながら画像処理する。

本格的な作品制作よりは、色々なツール を試しながら、多様な実験や創造性の伸 張に主眼をおくため、特にテーマや題材 は設定しない。

制作した画像の任意の部分を「選択領域 の設定」により各自の意図に応じた効果 を工夫をさせる。

(3)「カットアンドペースト」の機能を使用し、複 数の画像を合成したり、全体や部分につい て、移動・変形・回転などの操作を繰り返し て美しい構成を工夫する。

○画像データは意図する大きさに拡大縮小 して保存する。また、着色や色変換など必要な加工をする。

○保存しておいた画像を読み込み、ディスプレイ上に配置してレイアウトを工夫する。

○レイアウトと並行して全体の配色を検討 しながら描画・彩色・色変換などを行う

(4)これまで試みたグラフィックツールを 総合的に活用しながら自分の意図する作品 表現に取り組む。

18 ・作成した画像や実験効果は保存させ、素材の画像として活用させる。
・処理の実行、キャンセルを繰り返しよりよいレウアウトを求めて何度も実験を試みさせる。
・ソフトウェアーに慣れた状況を見ながらしだいにそれぞれの表現の意図を明確に させる。グラフィックツールを総合的に活用しながら作品制作に進ませる。
整理
鑑賞
○仕上がった画像データを保存する。
○カラープリンタなどで印刷する。
○互いの作品を鑑賞する。
24 コンピュータ造形の特性を認識させる。
自分なりの個性的な表現ができたか、ど うのような点を工夫したのか書かせる。

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