4.観測データに対する評価
 登録されているデータについて、中根教授は1996年2月の段階で、次のように述べ
ている。1997年12月の段階でのデータの解釈については、各学校の活動報告を通し
て示すことにしたい。


[中根教授の見解]
平成7年10月から調査を開始して、現在(平成8年2月)までにホームページにデ ータを登
録しているのは40校のうち約半数の20数校であるが、残り10数校もデータ登録は出来てい
ないが実際に測定を実施しているものと思われる。それでも、現在登録されているだけで
も北は北海道から南は沖縄までほぼ日本列島全体にデータが蓄積されつつある。しかし、
測定の足並みが揃い始めたのが今年に入ってからであるから、集約されたデータについて
論評する段階には無いと思われる。
 ただ、限られたデータから敢えて論評するならば、沖縄、北海道地域は比較的雨水また
は雪の酸性度はさほど高くはない。北海道の二地点(旭川凌雲高校と歌志内中学校)は距
離的に近いので、両者に差異があるとすればローカルな大気汚染が影響していよう。
 これに対して、瀬戸内海沿岸部での酸性度は比較的強い傾向が見られる。また、東海地
方の清水市でかなり強い酸性雨が観測されている。これは瀬戸内地方と同様に、ローカル
な大気汚染が周辺の山々で拡散するのが妨げられている可能性がある。日本海沿岸部の石
川県で、冬期にペーハー4.0といった強い酸性雨が観測されているが、大陸からの影響に
ついて、今後注目する必要があろう。
 一方、初期降雨が必ずしもペーハーが低いわけではない。それは、初期降雨が大気中の
汚染物質を大量に吸着する際、酸性物質と共に大量のアルカリ性物質(例えば、コンクリ
ートやアンモニア性風塵)も吸着するからで、雨水が清浄であるということではない。実
際に電気伝導度を併せて測定するば明きらかで、間違いなく初期降雨は高い伝導度を示す。
 酸性雨というよりも、ペーハー7に近いアルカリ性物質を多く含んだ降水が時々、幾つ
かの地点で観測されているが、この様な降水をサンプルとして化学分析する必要もあろう
。多分に、石灰やアンモニア性物質の風塵の汚染の影響と思われる。また、太平洋上で形
成された雨雲(例えば、熱帯低気圧)などの場合は、形成時において大気汚染物質の吸着
が少なく、観測地点近辺での海水成分の混入などで中性またはアルカリ性の降水となるこ
とは良く知られたことである。
 以上、今後データの蓄積を待って、降水量と酸性度、同一雨雲による降水中の酸性度の
地理的推移、雨雲の形成地域と雨水の酸性度、またローカルな汚染と広域的汚染の状況把
握など、気象データ、天気図などと照合させながら解析することが求められよう。