1.プロジェクトの位置づけ


 酸性雨調査プロジェクトは、1995年8月、100校プロジェクトの企画の1つとして、100校プロジェクトの参加校を中心に参加校を募集、1995年度は40校の学校の参加を得てスタートしました。事務局は広島大学附属福山中・高等学校に置き、広島大学総合科学部の中根周歩教授を中心とした指導体制のもとに、参加校には雨を集めるレインゴーランドと、pHメーターを配布し、測定内容の統一と、観測されたデータの共有化を2つの柱としてプロジェクトを組み立てました。
1995年12月、三菱総合研究所のバックアップのもと、データを蓄積するためのホームページが完成、各参加校にデータを入力するために必要なパスワードを通知しました。現在、このプロジェクトは3年目を迎え新たな参加校も含めて、47校の学校がデータの蓄積を続けています。
 プロジェクト2年目に当たる1996年度は、100校プロジェクトの共同企画の1つとしての位置づけがなされ、通常の測定に加えて、雨水に溶けているイオンの種類と量を明らかにするため、イオンクロマトグラフによる、雨水の分析が行なわれました。6校の学校が、凍結させた雨水を広島大学総合科学部に送付、1ヶ月をかけて行われた分析作業の結果、貴重なデータを得ることが出来ました。この結果は酸性雨プロジェクトのホームページに掲載してあります。
 プロジェクト3年目にあたる1997年度は、新100校プロジェクトの重点企画のなかの、定点観測データの利用というグループのなかに位置づけられ、データの蓄積がすすみました。1997年11月、これまでの活動をふりかえり、インターネットの教育利用の可能性を模索するための資料を得るため、参加校にアンケートを行い、問題点などを明らかにすることにしました。結果は酸性雨調査プロジェクトの報告書として、1998年3月にまとめられることになっています。
振り返ってみますと、このプロジェクトは2つの側面を持っていたと考えられます。1つは広域ネットワークを、学校教育の中に取り入れていくための諸問題を明らかにするための実験であり、今1つは広域ネットワークという新しい手段を使った環境教育の実験です。現段階における参加校の意識、実践の内容等から判断すると、酸性雨調査プロジェクトは、広域ネットワークの利用に力点が置かれた活動であったと、理解することが出来ます。今後学校の教育内容、この場合でいえば、環境教育の推進に力点が置かれた活動に変わっていくためには、学校教育の根本にかかわる変化が、教師や行政の中に求められるのかもしれません。今後このプロジェクトは、そのような側面を明らかにするための活動に力点をおいていきたいと考えています。