3.研究の概要

(1)研究主題

 「地球的視野に立った環境教育へのアプローチ」

  −環境問題解決のための能力・態度の育成をめざして−

 

(2)研究のねらい

 この研究では,アイルネットの課題をもとに,普段じっくりと自然と向き合う機会の少ない当校の生徒に自然と触れ合う体験をさせ,身近な自然や環境を直接認識させることを第1の目標とする。また,地球環境の現状を自分たちの測定データをもとに考察し,あるいはインターネットを通して情報を収集し,また情報交換をおこなう中から,地球環境問題に対する考察を深め,地球環境問題に対して積極的に取り組む姿勢を身に付けさせることを目標とする。さらに,インターネットを利用して様々な人々と交流をおこない,環境保全に積極的に参加する態度及び環境問題解決のための能力を育成するための具体的な実践について考察したいと考えた。

 

(3)観測機器等の状況

当校のコンピュータネットワーク環境は,平成6年度より整備が始まり,各教官室のコンピュータがLANで結ばれ,平成7年度より文部省・通産省による「ネットワーク利用環境提供事業(通称:100校プロジェクト)」により,インターネットに接続された。

コンピュータ教室には,PCAT互換機23台が設置されており,アイルネットの活動にもこれらの環境が利用された。

 

(4)校内研究推進体制

  ア 観測や研究の実践体制

 当校では,アイルネットの観測項目の中から「酸性雨の測定とその影響」「世界の食文化」「サウンドスケープ」の3つを選択して実践を行った。

 当校では生徒の個性の多様化に対応した教育活動が行えるよう,学校裁量の時間に各学年で「課題学習」の時間を設定している。第2学年では,数学・理科から1教科を選択させ,「課題学習理科」では環境問題をテーマに取り上げている。平成7年度より継続している「GLOBEプログラム」と「酸性雨の観測」,「サウンドスケープ」については,「課題学習理科」の授業を中心として研究を行った。世界の食文化については,中学校3年の家庭科の授業において実践した。

 

  イ 研究推進体制


 

              *研究部

  研究の統括をおこなう。

              *教科主任会議

  各教科の教科主任によって構成され,研究計画全体

 を協議,推進する。

              *研究推進委員会

  各教科の研究担当者によって構成され,具体的な研

 究の推進にあたる。

              *運営指導委員会

                 広島大学教育学部,総合科学部,工学部の教官に

                よって構成され,研究の指導,助言をおこなう。

 

(5)研究内容

 第1年次の研究では,アイルネットで提案された課題の中から「酸性雨」,「サウンドスケープ」,「世界の食文化」を選び,それぞれの項目を実施してホームページ上にその成果を掲載することを,課題として設定した。また,各教科における授業の中でこれらの観測や課題の内容をどのように位置づけて利用していくか,試行を含めて研究をおこなった。

 また,グローブプログラムのサーバが提供している電子メールのシステムであるグローブメールなどを利用して,環境問題に関する情報や意見の交換を積極的におこない,日本だけでなく世界の仲間と交流を行った。そうした交流を各教科の内容にあわせて実施する中から,世界を視野に入れてグローバルな視点から地球環境問題をとらえ,さらに身近な課題を見つけて積極的に環境問題に取り組む姿勢を身に付けさせたいと考えた。

第2年次は,第1年次に選択した3つの課題の中から,「酸性雨」に重点を置いて取り組み,中央教育審議会が21世紀の新教育課程に向けて提示した,「自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能力」の育成について,課題研究としての取り組みと環境教育におけるネットワークの利用のあり方を実践をもとに研究したいと考えた。