ふくやま美術館/終了した展覧会


特別展

フランス絵画と浮世絵

−東西文化の架け橋 林忠正の眼−

期間:1996年11月2日(土)−−12月1日(日)


葛飾北斎「琉球百景、城獄霊泉」
ベルリン東洋美術館蔵

シスレー「マロニエの小路」
メトロポリタン美術館蔵

鳥居清長「三代目沢村宗十郎の治兵衛と四代目岩井半四郎の小春」(左図)
喜多川歌麿「北国五色墨・切の娘」(右図)

カミーユ・コロー「ヴィル・ダブレー」(左図)
久米桂一郎「林檎拾い」(右図)

■東西文化の架け橋 林忠正の眼

19世紀末のパリにひとりの偉人な日本人がいました。
その名は林忠正。
林忠正は、世界で最も活気のあったパリの美術界で、芸術 家や美術評論家、コレクターたちと、その流暢なフランス語を 駆使して交流し、また1900年パリ万国博覧会日本館の成功に 尽力した、東西文化を繋ぐ役割を果たした明治期の先覚者で あります。
林忠正は富山県高岡市に生まれ、明治11年(1878)卒業間 近かの東京大学を中退し、国策貿易会社である起立工商会 社に入社してパリ万国博覧会の通訳としてフランスに渡りまし た。後には独立して美術店を開き、印象派の画家モネやドガを はじめ、文学者のゴンクールやゴンスらとも深く交友しました。 フランスと日本を行き来しながら美術商として、あるいは評論家 として活躍し、印象派の発展に寄与しました。
一方、日本における国粋主義的な日本画擁護運動に対抗し て西洋画の啓蒙と発展に心を砕いて、明治美術会や黒田清 輝らの活躍を援護したり、明治33年(1900)にはパリ万国博覧会 の事務官長に就任し、日本文化を系統的に紹介した功 績によりフランス政府よりレジョン・ドヌール勲章を授与されたりし ました。
本展は、林忠正と彼が関わった東西文化の交流を本格的 に紹介する初めての展覧会であり、発展途上にあった日本の 国際化の先駆けとなった林忠正の生涯とその意義を明らかにし ようというものです。

■「展示内容」総数約150点

(1)欧米への日本美術の紹介とジャポニスムの版画家たち

ベルリン東洋美術館の日本、中国、朝鮮の15〜19世紀の 陶器、絵画や北斎などの浮世絵、メトロポリタン美術館の歌 麿、清長などの浮世絵、またジェームズ・ティソなどジャポニスム の版画。

(2)日本へのフランス近代絵画の紹介と日本の近代絵画の振興 への貢献

林忠正が日本にもたらしたコロー、ピサロ、シスレー、 マネ、ギヨーマン、ブータンなどのフランス近代絵画。パ リで交流のあった黒田清輝、久米桂一郎、山本芳翠や林が 後援した明治美術会の浅井忠、小山正太郎、松岡寿、原田 直次郎などの日本近代絵画。

(3)万国博覧会を中心とした諸工芸への貢献

林忠正が事務官長として関わった万国博覧会出品の横 山弥左衛門(二代)、鈴木長吉などの工芸品、および起立 工商会社関連資料。

■「記念講演会」

日時:11月2日(土)午後2時より
演題:「ベルリン東洋美術館の 日本美術コレクションについて」
講師:ヴィリバルド・ファイト博士 (ベルリン東洋美術館館長)

■観覧料:一般1000円(800円),中高生500円(400円),小学生400円(300円) ( )内は前売りまたは20以上の団体料金

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