ふくやま美術館/終了した展覧会


特別展

イサム・ノグチと北大路魯山人 展

  (福山市制施行80周年記念事業)

期間:1996年9月13日(金)−−10月20日(日)

地球を彫刻した男イサム・ノグチと生活を美に変えた魯山人の異色の交流を350点により展覧します。


魯山人「赤呉須花入」

魯山人「金彩雲錦鉢」

魯山人「於里遍青碧釉筋文長方大鉢」

イサム・ノグチ
「グレゴリー(偶像)」

イサム・ノグチ「私の無」

■新鮮な視点

イサム・ノグチ(1904年、ロサン ゼルス〜1989年、ニューヨーク)は アメリカを代表する彫刻家です。と 同時に、陶芸作家であり、環境デザ イナーであり、インテリア・デザイ ナーであり、照明デザイナーであり、 舞台美術家でもありました。ひとつ の型にはまることを避けながら、私 たちの生活と密着した芸術を追い求 めました。
一方、北大路魯山人(1883年、京 都〜1953年、鎌倉)は近代における 異色の陶芸家でありました。と同時 に、書家であり、篆刻作家であり、 画家であり、骨董屋店主であり、料 亭の料理人であり、美食家でもあり ました。亀山人は生活における美学 を徹底的に追及した耽美的な芸術家 でありました。
本展は、この二人の巨匠の、生活 のなかに耽美的で芸術的な視点を取 り入れようとした造形活動を総合的 に回顧し、芸術と生活について考え よう、という新しい試みの展覧会で あります。

■日本初公開の作品群

イサム・ノグチの作品はほとんど が日本初公開。彫刻、陶作品、環境 プロジェクト、インテリア家具、照 明、舞台デザイン、素描など約200 点が、おもにニューヨークのイサ ム・ノグチ財団などから出品されま す。
北大路魯山人の作品は、陶器、漆 器、書、篆刻、絵画など約150点で、 おもに足立美術館、東京国立近代美 術館などから出品されます。

■イサム・ノグチと広島

1950年、ノグチは建築家丹下健三 と広島平和公園のプランについて話 し合いました。
ノグチは是非そのプランに参加し たし、との意向を伝え、太田川にかか る2つの橋のデザインをしました。 それが、昇る太陽をイメージした≪つ くる≫であり、船の骨組みを思わせ る形の≪ゆく≫でありました。
そのとき、ノグチは≪広島の鐘の 塔≫と≪原爆慰霊碑≫のモデルを制 作しました。しかし、それは日系と はいえアメリカ人のプランで原爆記 念碑を造るわけにいかないという理 由もあって、実現しませんでした。
ノグチが広島に貢献したかった背 景には、日系アメリカ人として出生 し、成長した孤独な少年の思い出や 第2次世界大戦における複雑な思い などがあったものと思われます。

■二人の巨匠の出会い

イサム・ノグチと北大路魯山人は 1950年頃、日本で出会っています。 ノグチは慶応義塾大学の新萬來舎 の家具インテリアなどを、建築家谷 口吉郎とともに制作活動するところ から、日本と関わりはじめました。 当時、女優山口淑子と結婚したノグ チに対し、亀山人は北鎌倉の築二百 年の農家を提供しました。そこで、 ノグチは古い日本のスタイルとモダ ニズムを融合したアトリエを築き、 亀山人の窯を使って陶器を制作しま した。 それは、日本的なものと西欧的モ ダニズムとの出会いであり、融合で ありました。 そのとき制作したノグチの陶器、 およびノグチ所蔵の亀山人の陶器も 出品されます。

■観覧料:一般900円(700円),中高生500円(400円),小学生400円(300円) ( )内は前売りまたは20以上の団体料金

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