つ た

和名:定家葛(ていかかずら).別名:まさきのかずら.
学名:Trachelospermum asiaticum Nakai (キョウチクトウ科)
万葉:つた.
本州から九州にかけての山野の林内に普通にはえるつる性常緑木.付着根をだして木や岩をはいのぼる.初夏,白色でのちに黄色に変化する芳香のある花をつける.
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… 群鳥(むらとり)の 朝(あさ)(だ)ち去(い)なば 後れたる 我(あれ)か恋(こ)ひむな
   旅なれば 君か偲(しの)はむ 言はむすべ せむすべ知らず 
   延
(は)ふつたの 行きの別れのあまた 惜(お)しきものかは …

作者不詳  『万葉集』巻十三3291長歌の一部

 (群鳥(むらとり)の)朝あなたが立ち去ってしまわれたら、後に残った私のほうが恋しく思うでしょうね。それとも、旅先だからあなたが偲んでくださるかしら。なんて言ったらいいか分からなくて、どうしようもなくて、(延(は)ふつたの)行ってしまうあなたとの別れがとても離れがたいわ。

wpe22.jpg (36460 バイト) 花


 万葉集に詠まれているツタ、ツヌ、イハツタ、イハツナはいずれも同じ植物を指していると考えられます。それらは歌の情景から「テイカカズラ」を指すものと考えられます。

 「テイカカズラ」の中には、しばしば赤変する葉がまじります。それをマサキノカズラと呼び、神聖な植物と考えられています。今日でも、伊勢神宮の大祭にはマサキノカズラの枝が使われます。

 テイカカズラは解熱、強壮の民間薬としても使われています。(薬用)

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