U.研究の概要

1研究主題
「地球的視野に立った環境教育へのアプローチ」
−環境問題解決のための能力・態度の育成をめざして−
2 校内研究推進体制
(1) 研究推進体制
初年度は,観測を軌道に乗せることを第1の目標とし,理科の教員が中心となってこの研究を推進した。教科によっては校内の設備の都合で,インターネットにアクセスできない教科もあったが,平成7年度末までにはすべての教官室からインターネットのアクセスが可能になった。そこで,GLOBEのデータも,すべての教科で利用可能な環境が整い,本格的に利用を推進していった。
観測については、理科を中心としておこなったが、生徒が最も強い関心を示したGLOBE Mailの利用では,英語科の指導のもとにおこなった。

(2) 研究のねらいと内容
酸性雨やオゾン層の破壊、地球の温暖化など、しばしばマスコミに取り上げられるこれらの問題に対して、生徒たちは非常に高い関心を示している。しかし、言葉としては知っていても、それらの原因や影響についての科学的な正しい知識を十分持っているとは言えない。また、私たちの日常生活が環境に影響を与えているといった認識は低く、地球環境を身近なものとして捉えきれていない。
この研究では、生徒が実際に様々な環境の測定をおこなう中から、自然と触れ合う体験を通して、身近な自然や環境を直接認識させることを第1の目標とした。
さらに、地球環境の現状を、自分たちの測定データをもとに考察し、あるいは、インターネットを通して世界中から情報を収集し、また世界中の人々と情報交換をおこなう中から、環境問題に対して積極的に取り組む姿勢を身に付けさせることを目標とした。
現在の地球環境は、局所的な対処療法では回復が困難な状況に向かいつつあり、全地球的な取り組みが必要とされている。インターネットを利用することで,世界のいろいろな人々と交流をおこない,環境に対する人間の責任と役割を理解し、環境保全に積極的に参加する態度及び環境問題解決のための能力を持った生徒を育成したいと考えた。
1年目は、当校で取り組んでいる、気象観測と酸性雨の研究に重点を置き、科学的な見地から地球環境を見つめ、現在の地球が直面している問題を浮き彫りにしていった。
2年目は、各教科におけるインターネットの利用を中心に研究を行った。グローブプログラムのサーバや世界中の各大学や研究所、企業などが提供しているWWWサーバから情報を収集し、また世界中の人々と電子メール(GLOBE Mail)などを通して情報交換をおこなう。そうした交流を各教科の内容にあわせて実施する中から、環境問題に対して積極的に取り組む姿勢を身に付けさせることを目標とした。

(3) 観測機器等の設置状況
<気象に関する機器>
自記温度計・自記湿度計・自記気圧計を、C棟北側の百葉箱内に設置している。また、自記雨量計を、百葉箱に隣接した場所に設置している。
酸性雨研究のためのレインゴーランドは、C棟東側の屋上に設置している。B棟の屋上には風向風速計を設置しており,記録が自動的に記録されている。
<生物学的測定>
ランドカバーや生物測定などは、当校の北側の自然林(広葉樹林)を利用して観察研究をおこなった。また,落葉の様子をこの広葉樹林のアベマキで観察した。
<地表水の測定>
当校の西側に位置する、農業用のため池で測定をおこなった。
<ネットワーク通信機器>
平成6年度より、校内のコンピュータネットワークが設置され、各教官室のコンピュータが、ネットウェアのLANで結ばれている。平成7年7月末にこの校内LANが、インターネットに接続され,各教科の教官室からインターネットへのアクセスが可能になった。
また,B棟3階のコンピュータ教室(旧地学教室)に、PC/AT互換機23台が設置されており、平成7年7月から、授業でインターネットを利用することができるようになった。
GLOBEの観測データは,このコンピュータ教室と隣接する地学準備室のコンピュータで処理され,アメリカのサーバに送っている。