T.学校の概要

1 学校教育目標
当校は、自由・自主の伝統的校風の中で、生徒の個性を尊重し、学力を伸ばし、人権感覚を持って自らの進路を主体的に切り拓いてゆく生徒の育成を教育方針として、創立以来教育実践を続けてきた。
また、当校は昭和37年度より中・高6カ年一貫教育を実施し、教育研究の面でも先導的な試行を重ねてきた。中・高にまたがるカリキュラムの構成や総合的な科目の研究、マルチメディアによる授業の構成などが研究の内容としてあげられる。
2 地域の状況と当校における環境教育
福山市は、広島県の東部に位置し、製鉄所などを有する工業都市である。当校は、工業地帯や交通量の多い国道2号線の北に位置し、また西には国道182号線、北には山陽自動車道が通っている。市民の環境問題に対する関心は高く、当校の生徒も環境学習に、きわめて熱心に取り組んでいる。
高度経済成長の時代には公害問題が発生し、その状況の改善に多くの努力がおこなわれた。福山の製鉄所でも煤煙など極力減らすように厳重な管理が行われ,福山の大気も光化学スモッグ注意報の発令日数などから見ると,一時よりは改善の兆しが見られるという。
しかし、地球規模での汚染が進行しているという認識はまだまだ低く、地球全体に対する抜本的な対策は打ち出されないままである。現在の地球環境は、局所的な対処療法では回復が困難な状況に向かいつつあり、全地球的な取り組みが必要とされている。
このような現状の中,世界的な環境教育の必要性が叫ばれている。特に学校教育には大きな期待が寄せられている。環境に対する人類の責任と役割を理解し、環境保全に積極的に参加する態度や環境問題解決のための能力を持った生徒の育成が急務である。
当校では、中学校学習指導要領に沿い、生徒の個性の多様化に対応した教育活動が行えるよう、課題学習という枠組が設けられている。第2学年では、平成7年度は数学・社会・理科から1教科、平成8年度は数学・理科から1教科を選択させ週1時間の課題学習を実施している。この課題学習の理科の授業のテーマとして環境問題を取り上げ、特に気象および酸性雨の継続的な観測を行っている。
また、平成6年度より、広島大学中央廃水処理センターより講師を迎え、講演学習会を行っている。
平成7年度からは、広島大学工学部・総合科学部・教育学部など他学部にまたがるプロジェクト「自然環境の蘇生・創造と保護に関する研究」の一員として、気象観測や酸性雨の研究に取り組んでいる。