4 GLOBEを学校教育で実践する上での課題
当校は,GLOBEプログラムを実践する上で,いくつかの条件面で恵まれた状況にあったことを痛感している。
その第1は,当校の教育課程の中で課題学習の時間が確保され,GLOBEプログラムを正規の教育課程の中で実践することができたことである。毎日の観測は生徒に多くの負担をかける。例えばクラブ活動や生徒会活動としてGLOBEを運営することも可能かもしれないが,当校における観測への参加人数(平成7年度28名,平成8年度36名)は,観測の頻度やその他の条件から考えて適正な規模でおこなうことができたと思う。GLOBEの観測を,学校教育の中でどのように位置付けていくか,毎日の継続が必要なことだけに,ここがGLOBEの観測がスムーズに運営できるかどうかのポイントであると思う。
第2には,100校プロジェクトによりインターネットを利用できる環境が整備され,文部省・通産省をはじめ、直接100校プロジェクトの運営をおこなわれたCEC(財団法人コンピュータ教育開発センター)やIPA(情報処理振興事業協会)などの支援のおかげで大きな苦労なくインターネットを利用できたことである。インターネットは現在の状況では学校が専用線で接続するには,回線費用の負担やネットワーク管理の技術的な問題など,多くの課題が存在している。特にネットワークの技術的な問題は,一般のコンピュータに習熟した者でも,使いこなすにはかなりの時間と労力を必要とする。当校においても,校内のネットワーク接続や機器の保守管理に多くの難問を抱えながら,何とかそれを乗り切ってきたといった状況である。今後多くの学校がGLOBEプログラムに参加していくためには,ネットワーク接続のための予算措置と,教員のための技術支援が不可欠であると考える。また,当校では観測データを直接アメリカのサーバに送ると同時に,校内のコンピュータにデータベースとして蓄積し,GLOBE JAPANへは電子メールを利用して1〜2週間ごとにまとめてデータを送信した。できれば,日本のサーバに登録したデータが同時にアメリカのサーバへも登録されるシステムができれば,利用しやすいと思う。
そして第3は,多くの支援していただける方々に恵まれたことである。教員の技術的な疑問に答えていただいた中央センターの先生方をはじめ,ネットワーク上で出会った方からのあたたかい励ましにより,生徒たちも支えられてきた。GLOBE日本サーバの掲示板のコーナーも,生徒だけでなく中央センターの方からの投稿に,生徒も感激していた。教員間のメーリングリストは,活発に機能するところまで至らなかったが,GLOBEに携わる教員同士,得意な分野で他の学校をサポートできるよう,こうした交流をより活発にすることが重要であると考える。そのためには,参加校全部が集まる機会だけでなく,例えば地域ごとに教員や生徒が交流のために集まる機会をできるだけ多く作り,顔をあわせた上で交流することが望ましいと思う。