- 3 GLOBEプログラムの成果
- GLOBEプログラムに参加して,2年が経過しようとしている。
- これまでの観測を通して,生徒は気象というあまりにも身近なテーマではあるが,今まで以上に気象の変化を敏感に捕らえ,気象現象に興味関心を抱いている。また,科学的な方法で気象を観測する体験を持つことにより,ただ漠然と捕らえてきた自然を,より具体的に捕らえる能力を身につけることができたと考えている。
- 初めて自分たちのデータがサーバ上に点として現れたとき,教室には歓喜の声がこだました。データを入力した後,自分のデータがちゃんと画面に載っているか確認するのを楽しみにしている生徒も多い。平成7年度の参加生徒の感想には,世界中から集まるデータの多さに驚き,世界のGLOBEの仲間との連帯感を感じたという内容のものが多く見られた。
- 毎日の観測は決して楽におこえるものではない。生徒は,これらの活動においても,観測そのものよりもインターネットへの興味関心の方が高かったように思う。インターネットを利用してデータを報告すること自体が,毎日の観測の励みになっていたと考えられる。また,データが手元に残るだけであれば,生徒の意欲も失われがちであろうが,自分たちと同じような思いで観測をしている多くの仲間が,これだけたくさんいる。そして,世界中の仲間が環境について考えている。そんな思いが,生徒たちの毎日の観測を支えていたと感じている。
- 当校の課題学習で環境教育の実践をおこなうにあたり,次の4つの段階を想定して授業をおこなった。
- @ 実体験をする。 A 科学的に理解する。 B 交流によって理解を深める。
- C 環境問題に対して行動する。
- インターネットでは画像や音声を含むマルチメディアによる双方向の通信が可能であり,特にBの段階では有効であったと考える。
- ホームページに掲載した生徒の環境に対する決意や思いに対して,感想を送ってもらったことがきっかけで,電子メールによる交流をおこなうことができた。大学の先生など,教育関係の人からのメールが中心であるが,インターネットの特徴を生かして,画像や音声を添付したメールもあった。大勢の人たちからの励ましや専門的な意見を頂き,生徒は大いに喜んでいた。こうしたつながりが,生徒の活力となっていたように思う。
- 生徒には,自分たちのデータが,公開されているということに対する責任感が育っている。観測をうっかり忘れる子はいるが,怠ける子は皆無である。また,同じような観測を,全国のなかまがおこなっているという連帯感も育ちつつある。雨が降るたびに,インターネットの端末に,雨の様子を楽しみに見に来る生徒も出てきた。
- 活動の成果をまとめ,こどもエコクラブの活動コンテストに応募したが,このコンテストへの応募については,強制したものではなく,生徒からの提案でおこなった。応募することを生徒たちが決めたあとも,調査やデータのまとめなど,教員主導ではなく,生徒の主体的な活動としておこなうことができた。この活動のように,生徒の環境問題に対する学習意欲の高まりは,これまで当校で実践してきた課題学習のなかでも特筆すべきことであり,GLOBEプログラムが,生徒に強い意欲を育んだ結果であると感じている。