◆広島大学附属福山中・高等学校の教育実習支援システム◆
教育実習の心構え
「回顧すれば,私の生涯は極めて簡単なものであった。その前半は黒板を前にして座した,後半は黒板を後ろにして立った。」という西田幾多郎の言葉があるが,今まで黒板を前にして座っていた者が,黒板を後にして立つのが教育実習である。教えられていた者が教える立場に立つ。授業で教壇に立ったはじめに「先生」と呼ばれ,生徒は「先生」の言葉をきき,行動をみている。授業以外の時間でも生徒にとっては教える人である。HR観察をすれば「先生」であり,廊下ですれ違っても「先生」である。生徒にとっては「教育実習の」という限定はない。それだけ,授業で教える授業内容,生徒に見せる学校での生活態度は大事なのである。
生徒に対しては先生であるが,大学と附属学校との教職員に対しては学ぶ者,教えられる者である。生徒に対する最終的な責任をとることのできるのは教員であって,教育実習生は責任をとることができない。指導教員のもとで,生徒に対して指導するのである。
学校は教育のための枠組みによって成り立っている。教育の「場」といってもいいし,「制度」ともいえる。学校という枠組みに支えられて教えている。学生であっても広島大学という枠組みによって支えられているのだが,教育実習は広島大学とその附属校という組織の中で履修を保証されている。枠組みの内実を高めているかどうか,自分の教育実習の内実を高めることが広島大学の教育実習の全体を高めることになる。そこに伝統とか校風とか呼ばれるものが生きているということになる。附属福山中・高等学校の生徒は教育実習生の授業において協力的である。それは生徒にとって自然なことだと思われているであろうが,当校の努力によるものであり,当校にきた教育実習生たちの真摯な態度がつくってきたものである。その伝統を享受してほしいし,また,育てていってほしい。
教育実習のために前から心がけておくこととして,当たり前のことであるが,教えるための学力を身につけておくことが大切である。生活態度も教えるものにふさわしいものでなくてはならない。直前では,なによりも健康に気をつけて,全力で実習に向かうことができるようにしてもらいたい。体調をくずせば,自分の力を発揮できないだけでなく他の人にも大きな迷惑をかけることになる。
教育実習は厳しいものであるが,ただに苦しいだけのものではない。教える喜びを体験することができる。苦労して指導計画を立て生徒を充実した学習に導くことができた,授業のひとこまで生徒の輝く目にふれる,予想していなかった生徒のゆたかな発言に驚かされる。そういう喜びを体験すれば,それはこれからの大きな糧となるであろう。
(1) 勤務について
・出勤すべき日数は1週5日とする。 ・1日の勤務時間は教員に準じる。(8:30〜17:00) ・毎朝出校時に配属教科の指導教員のもとで出勤簿に押印し,その日の指示を受ける。 ・出勤日数は出勤すべき日数の4/5以上なければならない。 ・やむを得ず欠勤する場合は以下の手続きを取ること。 実習前…実習生が大学の指導教員,当該学部学生支援室に連絡する。 実習中…実習生が実習校の実習係に連絡する。 ・勤務時間中は,配属教科の指導教員と絶えず連絡を緊密にし,所在を明らかにしておく。 ・教科ごとに2名(正・副)の連絡委員を選出する。連絡委員は,教育実習係との連絡に留意する。 ・必ず参加すべき日々の教育活動は次のとおりとする。 *配属HRの生徒観察 *配属教科の指導教員による授業の観察 *配属教科の実習生による実習授業,研究授業の観察 *配属教科の実習授業
*実習授業,研究授業の批評会
・昼食は校内(控室またはオリーブ)で食べること。時間帯は,時差をつけてもよい(3限から可)が,
オリーブで食べる場合は13:50までに済ませること。
(2)
服装・健康・禁煙・言動等について
・服装は,派手なものや流行を追ったものは避け,清潔なものを着用すること。(スーツの着用が一般的)
・実習は,肉体的・精神的に疲労を伴う。実習前から健全な生活を心がけ,健康管理に留意すること。
・校内(オリーブ,記念館を含む)は,禁煙とする。
・教師(社会人)としての自覚を持ち,時間や言動に十分注意すること。
・校舎内は土足禁止である。必ず上履きを使用すること。体育館は,専用シューズを使用すること。
(3) 教育実習生と生徒との関係(厳守)
・教育実習生は指導教員の指示なしに授業以外で生徒と接触してはならない。
[例]*授業以外で生徒にむやみに声を掛けてはならない。
*生徒の写真を撮ってはならない。
*実習の様子などをブログ等に公開してはならない。
*教育実習生の自宅・宿舎等を訪問させてはならない。
*生徒と一緒に,校外の喫茶店・食堂等に行ってはならない。
*教育実習生のバイク・自動車等に同乗させてはならない。
・教育実習生とHR生徒の合同解散会(打ち上げ会)等は厳禁である。
・教育実習生が飲食代を出したり,金銭を貸したりすることは厳禁である。
・教育実習生として言動に注意し,「先生」と「生徒」との関係で対応する。
(4) 諸注意
(A) セキュリティ対策について
・校内・校外を問わず個人のパソコンを利用する場合は,以下の条件全てを満たさなければ利用を認めない。(校外のみの利用でもUSBからのウイルス感染の可能性がある)
条件:大学で指定されている最新の「ウイルス対策ソフト」がインストールされていること。(教育学部支援室に提出)また,自動的にパターンファイルが更新されるように登録・設定を行い,教育実習直前に最新の状態にアップデートされていること。(教育実習開始式後の全体オリエンテーションで提出)
(B) 校内の駐車場利用について
・実習生用の自家用車の駐車場は15台分とし,その利用は,オリーブおよび記念館に宿泊する者のみを対象とする。なお,利用者の決定については,予め申し出をして指示を受けること。
・バイク,自転車で通勤する実習生は,予め申し出をして指示を受けること。
・土日祝祭日においても,クラブや模試等で生徒の登下校がある。運転には十分注意を払うこと。
・土日祝祭日においても,許可された車両以外の乗り入れは認めない。
(
5)その他・『教育実習の手引き』を熟読しておくこと。
・当校ホームページの「教育実習支援システム」に目を通しておくこと。
・全体オリエンテーション,教科別オリエンテーションおよび合宿オリエンテーション(オリーブ,記念館に宿泊する実習生およびオリーブでの夕食を希望する実習生)には必ず出席すること。
・昼間の病気や負傷等については,配属教科の指導教員または実習係に連絡すること。
・夜間,事故等が発生した場合には一応の処置をし,研究部長(附属福山),教育実習係主任(附属福山)または教育実習主査(教育学部)に連絡をすること。
・宿泊施設では,火災にならぬように,十分注意して生活すること。
・学校近辺には,スーパーマーケット,飲食店,コンビニ,金融機関,ホームセンター,病院がある。詳細は,オリエンテーションで案内する。
・教育実習中の荷物や郵便物は,事務室から配属教科の指導教員を通じて本人に渡される。宛名に「学部」「教科(科目)名」「名前」を明記すること。
※このページの内容は教育実習の手引きに「教育実習の心得」として掲載されています。