教育実習支援システム 広島大学附属福山中・高等学校
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技 術 科 | ||||||||||||
その第一は,教科の目標(ねらい)を明確にしておくことである。 周知の如くこの教科は,実験や実習を中核とし,特に既に学習した「技術」についての認識を行動に結びつけ,具体的経験から「技術」についての抽象的概念を形成しようとするものである。ここでいう抽象的概念とは,究極的には,近代技術学や科学そのものではなく,科学的基礎理論や事物に対する正確な判断力を育成することである。 第二には,教科の目標とも関連するが,「技術科の学習を通してどのような力を生徒に育てようとしているのか。」ということである。 科学技術の進歩がめざましく,きょうの技術が明日は古びてしまう。この生産の変化に速やかに対応できる技術,また次々に生まれる生産の課題に対処できる可動性と融通性をもった技術,すなわちこれらの技術を対象とする教育は,科学の法則に基づく理論や知識を意識的に組み合わせて,目的実現の手段と方法を工夫し,実際の生活に活用していくことのできる創造性をねらったものでなければならない。このことから次のことが,技術科教育の学習を通して学習者に育てていかなければならない力だと考える。 (A)生産や生活の課題を,技術の発展の様相の中より正しく掴もうとする力。 (B)課題を解決するための技術の方向を,法則の適用により見極めようとする力。 (C)合理的,発展的,且つ安全に仕事をするため,技術を実践活動により習得する力。 (D)習得した技術を活用して,生産の向上と技術の発展に意欲的に取り組もうとする力。上記の力は,生徒自身が学習の中で,創造的な思考力をはたらかせて産み出していくものであるが,そのためには,教師の適切な指導が当然のことながら必要である。 第三には,どのような授業形態で学習するか,ということである 技術的思考(知識)と技術的行動(技能)を結びつける授業の方法には,二つの方法が考えられ,それぞれの特徴があるので,取り扱う教材に応じて考慮する必要がある。 @ 技術的思考から技術的行動を通して技術認識へ A 技術的行動から技術的思考を通して技術認識へ 特に,上記@では,プロセスを強調しすぎると定式化し,多量の技術を生徒に詰込み過ぎて不消化を起こすことがあるので注意が必要である。 以上,二つの形態のうちのどの形で授業を構成しようとも,留意点として次のことがらを確認しておくことが大切である。 ・技術科の学習は,すでに学習した「技術」についての認識を行動に結びつける特殊性があるために,「何が既習され」「何の体験がなく」「教授過程の何が身につくか」等の生徒の学習のプロセス(生徒の認識過程)を分析視点におくことが重要である。 ・技術学習は,行動を通して技術認識にいたるプロセスを踏ませることがねらいであり,技能訓練ではない。 ・視聴覚教材等の利用によって技術理論の学習を効率よくし,出来るかぎりの時間を実践行動に充てる。 ・特に,実験実習において留意しておかなければならないことは,そこで用いる科学的な機械,器具,用具は未経験の学習者が多く,その取扱や現象の観察には,徹底した事前の学習や指導が必要である。これらの学習には,学習者の直接経験に訴えるのが最も正確,有効であるが, 2.授業観察(学習指導案を作成するために) 「良き授業の観察者は,良き教師の第1歩である。」 授業の観察は,教師の活動を通して,生徒の活動を通しての二つの面があるが,どちらも教育活動の姿を客観的に詳しく見極めることから始まる。特に技術科では,次の事柄が教師の活動を通しての観察の視点として上げられる。 ・授業前の活動…指導のねらいの設定,目標達成のための教材や資料,工具・機械等がどのように準備され整備されてきたか。 ・授業中の活動…設定された目標のもとで,学習活動が適切な順序で進められているか。生徒とのコミュニケーション,安全に対する配慮,授業のまとめや評価等が適切に行なわれているか。 ・授業後の活動…授業の反省がどのようになされ,次時へどのように生かされようとしているのか。本時の学習の補充,強化,発展等がどのように考えてあるか。 以上の活動等について,教師の生活を通して観察することが必要である。 3.技術科学習指導案例 @ 日 時 ○○○○年○○月○○日 C 単元名 B 情報とコンピュータ D 単元設定の理由 電話回線や専用の回線を利用して,コンピュータの情報やデータを,遠く離れた場 所に送ったり受けたりする通信技術が進んでいる。身近な例としては,銀行の自動支 払機による預金や現金の引き出し,あるいは列車や航空機の座席予約などがある。こ のようなデーター通信システム(以下,コンピュータネットワーク)は,コンピュー タとデータ端末装置を通信回線で結び,データの伝送と処理を行うものである。すで にインターネットや電子メールなどが,我々の生活の中にかなりの勢いで普及してき ているが,これからより一層進化するものと思われる。このような時期に,コンピュ ータネットワークの種類,特徴,利点について学ぶことは大変意義深いものと考えら れる。以上の理由から本題材を設定した。E 単元計画 1.生活とコンピュータ ----- 3時間 2.コンピュータ活用の基礎 ----- 6時間 3.ソフトウェアの活用 ----- 14時間 4.情報とコンピュータのしくみ ----- 6時間(本時はその4時間目) 5.コンピュータと情報社会 ----- 1時間 計 30時間F本時の題材 コンピュータネットワークの理解と簡単なデータ送受信実習 G本時の目標 (1) コンピュータネットワークの種類,特徴,利点について知る。 (2) 技術科準備室のサーバーとクライアントとなる電気教室のコンピュータの間で,データの送受信を行いコン ピュータネットワークの意味を学ぶ。H 生徒の状況 ・1年生,2年生時の「総合学習LIFE」でインターネットのWebページの検索や作成の方法,ワープロ演習や表計算演習の基礎を学習している。 ・3年生1学期に技術科の授業で基本的なコンピュータの操作,グラフィックプログラミングに使用する各命令語について学習している。I 準備物 学習マニュアル,生徒用パソコン,生徒用プリンタ,液晶プロジェクタ J 指導の展開
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