教育実習支援システム 広島大学附属福山中・高等学校
. | 国語科 |
. | (一)実習にのぞむ心構え
(二)実習前の準備
国 語 科 指 導 案
1教材
2教材観
3単元目標
4単元計画:全三時間
5授業計画
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時間 | 指導項目 | 指導内容・学習活動 | 指導上の留意点 |
5分
30分
40分
45分
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@導入 《題名読み》 A全文通読
B要旨を
Dまとめと予告
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(1)交響曲について知っていることを聞き、西洋文化であることを確認する。 (1)読む際の観点を板書する。
(1)筆者が「交響曲の源にある音の世界」を探ろうとしたきっかけを本文中から探す。
(1)全体的な本文の内容と流れ、構成を確認してまとめとする。 |
◎文章内容の予想を持たせ文章に入りやすくさせる。 ◎通読の際は、以下の観点を持って読み進ませる。 @筆者が何を契機に「源にある世界」を探ったのか。
▼板書 ▼キーワードを板書 ▼板書
◎クラシックに対する違和感を具体例として確認。
◎題名に戻ることで、全体的な文章内容理解を深める。 ◎板書を活用して視覚的に理解させる。
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【第二時】
本時の指導目標
- @自分たちと音楽との関係、自分にとっての音楽の意味、また自分が音楽を通して何 がしたいのかなどを考えたり、その場に広がっている音に耳を傾けたりすることに より、身近にある音の世界を考えさせる。それとともに第三段落までの理解を深め させる。
A演奏会場の様子をおかしな光景だと思う筆者の論に対して、自分はどう思うのかを 考えさせることにより、文章に対する批判的視点を持たせる。
Bキリスト教が音の一元化を図った理由、またポリフォニーの成立過程を理解させる ことにより、第四段落を押さえる。その上で、他(特に日本)の文化や宗教には、一 元化の動きが本当にあまり無かったのか、疑問を持たせることにより、文章に対す る主体的態度を身につけさせる。
本時の指導過程
時間 | 指導項目 | 指導内容・学習活動 | 指導上の留意点 |
5分 |
@第一・二段落 音楽を考える
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(1)音楽について各自で考える。 @自分たちと音楽 (2)範囲通読 指名読み(P59〜P61.L13) |
◎ @は観点を与える。 ・接する機会・意味 ・役割・音楽の授業etc ◎ 通読の際は、@で考えたことと比較しながら読むように指示しておく。 |
10分
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(3)筆者の西洋音楽の感じ方をまとめさせる。 A筆者と西洋音楽
(4)中世ヨーロッパにおける音楽をまとめさせる。
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◎
普遍→特殊にいつ変化したのかなど、第一段落を振り返りながら考える。
◎「音に満ちた世界に調和を与えるものとしての音楽」という中世の考え方を確認して第三段落へ移行。 |
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20分 25分
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A第三段落 音の世界を 考える
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(1)範囲通読 指名読み(P61.L15〜P64.L3) (2)「みな生きて行くうえで必要な音」 「みな意味をもった音」「大宇宙・小宇宙の音」音に満ちていたことを確認 (3)その場で生徒の周りに広がっている音の世界を説明させてみる。 (4)(2)でみた筆者の論展開を理解したうえで、「演奏会場は無音でなくて良いと」いう筆者の論を考える。 |
▼板書
◎実際の演奏会場の様子を想像させ、自分たちはどう思うかを考えさせる。
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35分 40分
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B第四段落 音の一元化 を考える
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(1)範囲通読 指名読み(P64.L4〜P66) (2)何故キリスト教が音の一元化を図ったのかを考えさせる。 (3)キリスト教の音の一元化の中でポリフォニーが成立した過程をまとめさる。 →ヨーロッパでポリフォニーが他とは比較にならないほど組織化された理由を考える。
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◎カール大帝がフランク王国統一の一手段に使ったことをヒントにする。 ◎他(日本)では一元化の動きはなかったのか疑問をなげかける。 |
45分 | Cまとめと予告 | (1)本時の学習の範囲を振り返り確認する。 (2)次時の範囲の予告をする。 |
【第三時】
本時の指導目標@ポリフォニーの成立過程を第二段落まで戻ってまとめ、西洋文化の本質を確認させ る。
Aマックス=ウェーバーの論を筆者がどのように用いているか考えることによって、 筆者の論展開を追い、文章の巧みさを感じさせる。
B現在の日本における「一元化されない二つの宇宙」を探すことにより、身近な日本文 化を見つめ直す。また、日本の文化や宗教には、一元化の動きが本当にあまり見ら れなかったのか疑問を持たせることにより、文章に対する主体的態度を身につけさ せる。
本時の指導過程
時間 | 指導項目 | 指導内容・学習活動 | 指導上の留意点 |
@前時の想起
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(1)第三段落までの内容を振り返る。第四段落で、キリスト教による音の一元化の努力がなされたことを確認する。 (2)本時の学習範囲の確認 |
▽ノートで確認
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2分 5分
10分 |
A第四段落 ポリフォニーの成立
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(1)範囲通読 指名読み(P64L4〜P66L14) (2)何故キリスト教が音の一元化を図ったか、具体的にはどの様な形で現れて来たのかを考える。 (3)ポリフォニーの成立過程を振り返り、第2段落からの筆者の論展開を確認する。 (4)ビデオ視聴(*注) |
◎何故キリスト教が音の一元化を図ったのかを考えながら読ませる。 ◎ヨーロッパで他とは比較にならないほどポリフォニーが組織化された理由を押さえる。
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20分
23分
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B第五段落 ウェーバー論 を考える
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(1)範囲通読 指名読み(P67L1〜P68L10) (2)ポリフォニーの成立について、筆者が挙げる原因と、マックス= ウェーバーが挙げる原因をまとめて、その違いを比較する。 (3)「本来の合理化」「音楽を合理化する」ことの意味を確認する。 (4)何の為に筆者がマックス=ウェーバーの論を出しているのかを考えさせる。 |
◎「マックス=ウェーバーが取り上げなかった点」とは何か、ということに注目させて読ませる。 ▼板書 ◎例をヒントに考えさせる。
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37分
40分
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日本文化と の比較考察
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(1)範囲通読 指名読み(P68L11〜P70L4) (2)西洋と日本の文化の本質の違いを明らかにし、「違和感」を感じた理由を確認することで文章 (3)日本における「一元化されない二つの宇宙」とは、何があるかを考える。 |
▼板書
◎日本文化には何があったかを考えさせ、ヒントにする。 |
45分
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Cまとめ
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(1)本単元の学習を振り返る。
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*「ビデオ」は、中世のキリスト教と音楽に関するも ので、テレビ番組から収録・編集したもの。
【指導教官による評価】
丁寧な教材分析を経て、綿密に授業を構想し、教壇に立っても冷静に教室を把握し、わずか三時間ながら、長文の本格的な説明的文章をものともせず、生徒に読ませることに成功した。限られた時間の中でのことであるから粗いところも多々あるが、思い切って大胆に読んでいこうとする指導者の意気込みを、生徒たちは見逃すはずがなく、緊張感漂う学習空間が出来上がっていた。教育実習生としてはハイレベルの授業であった。特に、構造的できれいな板書は、他の実習生にとっても、いい手本になった。
教材の分析力、授業の構築力、授業に対する意気込み、これらが一つとなって授業があるのである。