B6027.gif (1036 バイト)教育実習支援システム 広島大学附属福山中・高等学校

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理 科

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1.実習にのぞむ心構え

皆さんは,これまでは教えられる立場にありましたが,教育実習で初めて教える立場に立つことになります。大学では自然科学的な知識や技術,あるいは教育の方法や心理などについて多くのことを学んできましたが,教育実習では子どもたちを相手にその成果を実際に試すことになります。
皆さんが教えることになる生徒は,いろいろな個性を持っており,学習に対する興味や関心においても多様です。彼らに対して,与えられた課題をどのように教えればよいか。教育実習を通して皆さんはこの問題を追究していかねばなりません。教育実習の期間は大変短く,この問題に完全に答えることは必ずしも容易ではありません。しかし,皆さんが教育実習に真剣に取り組めば取り組むほど,教育のすばらしさに感動し,教育への意欲が増してくると思います。

2.実習前の準備

理科の教師には次のような要件が満たされていなければなりません。
@ 広く深い一般教養を持つこと。jishu35.jpg (27294 バイト)
A 自然科学についての深い専門知識・教養を身につけること。
B 教育に対して深い理解と情熱を持つこと。
C 実験技術に習熟し,安全についての配慮を含めて適切な実験指導ができること。
D 授業の教材研究をしっかりとしておくこと。

これらのことを常に念頭におき,大学の授業に取り組んだり,日頃の大学生活を送る必要があります。実習前の具体的な準備としては次のようなことをやっておきましょう。

(1)高等学校学習指導要領解説理科編,中学校指導書理科編などを参考にして,理科 教育の目標について考えてみること。

(2)自分が教える科目の教科書は,精読しておくこと。さらに教科書や受験参考書だけ でなくそれに係わる専門書にも目を通しておくこと。

(3)実際に学習指導案を書き,授業の展開を考えてみること。

(4)理科の授業は必ず白衣を着て行うので,あらかじめ購入しておくこと。

3.指導案例(化学)

広島大学教育学部第二類自然系コース

指導教官 ○○○○       指導者○○○○
日 時 2003年 ○月○日(○) 第○限
学年学級   第5学年選択U群   場所 化学教室

第U章 物質の状態

第1節 物質の三態
第2節 気体の性質 (本時その3時間目)
第3節 溶液の性質

単元の目標

1.気体の体積,温度,圧力の関係を中心に気体の性質と,それに関する法則を理解させる。
2.気体分子の運動による微視的な観点から,拡散,圧力や,圧力と体積,温度と体積に関する法則を理解させる。
3.実験を通し,その結果を考察させ,正しい科学的結論を導く過程から,科学的態度・方法を育成する。

 

単元の構成

1.気体分子の運動

(1)拡散
(2)気体の圧力

2.気体に関する法則

(1)体積と温度
(2)体積と圧力
(3)圧力・体積・温度
(4)気体の状態方程式
(5)実在の気体
(6)全圧と分圧

 

本時の主題  : 一定量の気体の体積と圧力の関係(ボイルの法則)
本時の目標

1.実験を通して,一定量の気体の体積と圧力との関係が反比例になることに気づかせ,ボイルの法則の式を導かせる。
2.実験・観察を通して,目盛りを読み取るなどの基本的技能を習得させる。
3.グラフを作成したり,圧力を計算で求めることにより,実験データ処理方法を習得させる。
4.実験を通して科学的に探究する能力と態度を育成する。

 

準備物 (全10班) : 注射器(50ml)1本 ,ゴム栓(一方に穴のあいたもの)1個,台はかり,電卓2個
配布物 : プリント2枚

 

学習内容 学習活動・指導過程 指導上の留意点
<導入>
前時までの
復習(5分)
・前時では,一定量の気体の体積と温度との関係であるシャルルの法則について学習した。
・本時は,注射器を用いた実験を通して,一定量の気体の体積と圧力の関係(ボイルの法則)について学習する。
・気体の体積と圧力の定義、及び気圧の単位について復習する。
・本時の目的を明示
・本時の主題を板書
・圧力の単位は実験では[kg重/cm2]を用いる。
<展開>


実験の説明
(10分)


生徒実験
(15分)

 

 

注射器内の空気の体積が,加える圧力の大きさによってどのように変化するか?

・注射器,台はかりの扱い方の説明をする。

・実験の手順について説明する。

・各班の役割分担を決める。

@注射器を押す係
A注射器の目盛りを読みとる係
Bデータを記録する係
C圧力の換算をする係

・実験時間の指示をする。(15分)

・実験結果のまとめ方の指示をする。

・机間巡視を行い,

@役割分担はできているか
A注射器の押し方は適切であるか
Bデータの記録の仕方は適切であるかなどの実験の手順を各班ごとに指導する。

注射器を見せながら説明する。


・注射器の押し方,目盛りの読み方の注意


実験上の注意を確認する。

 

 

 

 

・注射器内の空気の減少が著しい班は再度実験をさせる

<終結>
考察及び
グラフの作成(15分)

 

 


まとめ
(5分)

・注射器を押したとき,中の空気にどのような圧力が加わっているか発問する。

・注射器内にかかるすべての圧力の求め方の説明をする。

・圧力Pと体積Vのグラフを作成させる。

・PとVの関係をグラフから考えさせる。

・グラフからP1 V1 =P2 V2 の関係式を導かせる。

・PVを計算させ一定であることに気づかせる

・ボイルの法則についてのまとめを行う。

・問題演習をすることによりボイルの式の確認を行う。

・次回はボイル・シャルルの式について学習することを告げる。

・大気圧も加わっていることに気づかせる。

 


・机間巡視を行う。

・生徒のグラフを教材提示装置を用いて提示する。

・プリントの活用

・単位の換算について注意をする。

 

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