2005年度SPP

 

今年度は4件のSPP事業を実施します。

(写真は2004年度のSPPの様子です。)

 

1.スーパーセンサー目を科学する

 

      川崎医療福祉大学  医療技術学部感覚矯正学科  学科長・教授 田淵昭雄

                                                           TA 1名(院生)

      日 時  6月18日(土) 9:00〜16:00

           19日(日)10:00〜15:00

                                            (会場は,川崎医療福祉大学および当校)

      参加人数:30名(予定)

   内容     第1日目:講義・実習  第2日目:講義・実験

 

 ヒトの目は,私たちがもつ感覚器の中で特に優れており,ヒトは全情報の約7割を目から得ていると言われている。私達の視覚がどのような機能と特性をもっているのかを講義・実験・実習を通して体験的に学び考え,生物として存在する自己のすばらしさを見つめ直すと同時に,生物現象を科学的に探究する方法や態度を学ぶ。講義では,目のつくりや機能だけでなく,目の病気やその医学的な治療方法についても講義して頂 く。また,実験ではヒトの目のつくりにとても近いブタの目の解剖を行い目のつくりと機能の理解をより深める。さらに,大学に出向き,大学が有する最先端の器具を用いた視野検査や立体視の検査を通して,実際の測定データを取り,解析も行う。このような実験や実習などの直接的な体験を通して,普段実感出来ない目の機能や知覚に対する 科学的な興味・関心を高める。

 

 

2.天体観測とは <観測機器の開発・製作の現場をのぞいてみよう

 

       東京大学大学院理学系研究科

    天文学教育研究センター 助教授 田中 培生 (オリーブ会22回卒業生)

 

      期日: 8月8日(月) 9:30〜20:00       (会場は当校)

      参加人数:40名(予定)

   内容    午前  実習1・実習2  午後 講演・講義,観測

 

 天文学の学習では,生徒や教員も含めて実際に天文台を利用して観測をおこなう機会は極めて少ないため,天文台での観測の内容や観測者の苦労を知る機会は少ない。今回の講師の田中先生には,これまで多くの望遠鏡や最新の観測機器の開発や製作に携わってこられた経験をもとに,現在の天文台では何を観測しようとしているのか,どのような成果があがっているのか,その間の失敗談やご苦労話も含めてお話しいただく予定である。また,生徒が興味関心を継続するきっかけとする目的で,天体望遠鏡の製作実習を行い,手作りの望遠鏡で実際に星を観測する実習も計画している。講義や実習,観測を通して天文学を研究する方法を学び,科学的に探究する意欲や態度を育てる事を目的としている。

 また,田中先生は国立天文台から広島大学に移管されることになった赤外線シミュレーター(1.5mの望遠鏡:東広島市に天文台を建設予定)の製作から管理運用に携わって来られた先生であり,この望遠鏡についても詳しくご紹介いただく予定である。

 

 

 

3.光工学の世界  光からすべてが始まる!     

 

         東海大学工学部応用理学科光工学専攻 主任教授 若木守明

 

                         助教授 渋谷猛久

                                               TA 1名(院生)

                               

      期日: 8月20日(土) 9:00〜16:00       (会場は当校)

         21日(日)  9:00〜15:00      (会場は当校)

      参加人数:40名(予定)

      内容    第1日目 講演・講義・実験  第2日目 講義・実験

 

  現代の最先端の科学技術一つに光工学がある。光学機器技術,レーザー技術をはじめとして通信,計測,加工,画像処理など光工学は幅広い分野で研究・開発されている。また,光は波動性と粒子性をもち20世紀の物理学へのブレークスルーとなったものであり,その性質は大変興味深いものがある。高等学校物理では光の波動性,粒子性について学ぶが,ほんの基礎・基本で終わり,身近に広く光技術が応用されているにもかかわらず,それら光の工業的,科学的な利用などについて学ぶ機会は少ない。

 今回はこのような光の性質やその応用についてのご講演を頂くとともに,大学より実験機器を搬入し,ホログラフィーの原理と作成,光速度の測定,光の干渉,光学素子の特性などの実験を行う。これらを通して先端の光工学に触れることで,興味・関心を高め科学的思考力を高めるプログラムにしていきたい。

 

 

 

4.水環境の化学「分光光度計を用いた鉄イオンの定量」

 

          徳島大学総合科学部自然システム学科  教授  今井昭二

                                                         TA 1名(院生)

       日 時  10月8日(土)13:00〜16:00

            9日(日)  9:00〜16:00     (会場は当校)

      参加人数:40名(予定)

    内容    第1日目 講義・実験1:基本操作・検量線の作成  

          第2日目  実験2:試料の測定・測定値の評価

 

  私たちの身の回りの環境に対する興味・関心を高める方法の一つとして,生活に欠くことのできない大切な水について調べることは大変重要である。昨年はEDTA滴定によるカルシウムイオン,マグネシウムイオンの定量を行い水の硬度を測定した。水の硬度とともに,水溶液中の鉄イオンを定量することは,飲み水の安全性の評価に直結する重要な指標の一つである。

  今回,分光光度計をもちいた比色分析法により,簡単に水溶液中のイオンの定量を行うことを学ぶ。実際に,日常生活に使っている水道水中の鉄イオンの量を調べることにより,水道管の老化による腐食の程度や安全性について評価することができる。

 今回の実験を通じて,身の回りの水環境に対する興味・関心を高め,水質の保全のために何ができるのか,具体的に考えていくことのきっかけとしたい。