窒素酸化物データ
大気中の窒素酸化物濃度は主に自動車などの移動発生源や、火力発電を含む重化学工業などの影響を受けていると思われる。すなわち、幹線道路、市街地域、工業地帯の周辺で比較的高い傾向が見られる。最近、この窒素酸化物が光学的変化したオゾンやラジカル物質が生態系や人体に少なからずの悪影響を及ぼしていることが明らかになりつつある。今回は窒素酸化物のうち二酸化窒素(NO2)の測定結果について、その概略を解析した。ここでは、平成13年1月の段階で測定値が登録されている32校のデータを用いた。
測定が実施された学校の測定値の平均値が、調査場所毎に表 0-2に示されている。
どの測定地でも、交通量の多い幹線道路近くはNO2濃度が高い傾向がはっきりしている。多くの測定地では、24時間の平均値が環境基準(0.04〜0.06ppm)近いか、超えているということは、一時的にはその数倍の濃度になることも考えられる。これに対して、交通量の少ない道路近くは、その半分近い濃度であるが、大都市ではその濃度でも環境基準に近い場合が多く、広域的、慢性的窒素酸化物の汚染状況が見られる。また、屋久島の岳南中学校付近では、幹線道路といったものもないので、道路脇でも、0.01ppm以下である。しかし、降水データの解析で指摘した同じ屋久島の宮浦中学校の場合は、周辺が0.1〜0.3ppmとなることがあり、付近の高濃度汚染発生源の影響が考えられる。
学校の屋上とか、学校内の植物の多い所などの道路から一定の距離を置いた場所でのNO2濃度はその地域のバックグランド(定常値)を示していると言えよう。この濃度は、東京都、神奈川県の市街地、大阪市や泉佐野市、広島県の市街地域、三重県四日市市などの大都市や工業地域では、0.01〜0.04ppmを示し、慢性的窒素酸化物汚染が進行していることが窺える。これに対して、高知県清水市、神奈川県相模湖町、大分県大分市、長野県長野市、鹿児島県屋久町などは全体として窒素酸化物濃度は低く、汚染発生源の少なさを示し、大気が比較的清浄であることが窺える。
仙台市東北学院高校、神奈川県光丘中学校、大阪府長野高校、広島大附属福山中高校などでは雨天の日に測定している場合があるが、曇天日や晴天日などと比較するとやはりNO2濃度が低い傾向が見られる。これは、NO2が雨水に溶け、NO3イオンとなりやすいからと思われる(表 0-3)。また、晴天日でも、日射が強い10月初旬の測定値において、NO2がO3などに変化し、NO2濃度が比較的低くなっていると思われる現象も見られる(富山県大門高校、愛知県岡崎市三河中学校、愛媛県新居浜工業高校など)。
以上の解析から、生徒が大気汚染の指標としてのNO2が身の回りでどのように発生し、分布しているかの理解を深めること上で大切な教材となろう。
表 -2 各校における測定場所毎の平均NO2濃度一覧

表 -3 各校の測定場所毎のNO2濃度一覧(1/3)


