横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉中学校の実践事例
住 所 神奈川県鎌倉市雪ノ下3丁目5番10 郵便番号 248-0005
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総合的な学習を表すタイトル
横断的・総合的学習

キーワード,分類

横断的・総合的学習,学校行事,TT,体験学習,課題学習,生きる力
総合的な学習に対する考え方
基礎・基本を徹底し,横断的・総合的学習を進めることにより,生徒の個性を伸ばし,学び方を学ばせ,たくましく生きる生徒を育成することができる。
総合的な学習の目標(目指すもの)
特色ある教育活動を自由に展開できるような時間を確保し,国際化や情報化をはじめ社会の変化に主体的に対応できる資質や能力を育成するため,教科の枠を越えた横断的・総合的な学習の時間を確保する。
総合的な学習の実践形態
1 必修科目における横断的・総合的科目(1.2年)
<理科+美術科>環境問題を考える 
<社会科+音楽科>世界の民族音楽から探る人々の暮らしと環境 
<理科+技術・家庭科>校地内樹木調査 
2 必修教科以外での横断的・総合的学習(3年)
「国際理解」「健康」「環境」「情報」「表現」 
3 学校行事や特別活動を通しての横断的・総合的学習(1〜3年)
<合唱活動>,<鎌倉・京都・奈良自主活動> 
留意事項:1国際理解・外国語会話,情報,環境,福祉などを課題とする。 
       2体験,観察・実験,調査,ものづくり,問題解決的な学習などを行う。
文献
横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉中学校研究紀要第23(1998)
コメント(実践から参考になること)
学校目標に対応させて生きる力の意味を明確にすることによって,総合的な学習の目標が鮮明になっている。「横断的・総合的学習」という名称からも伺えるように,クロスカリキュラム型の総合的な学習であるが,各教科に共通な部分をTTで行う実践を1,2年で行い,新しく設けた科目をTTとして3年で行うというように,2つの形態を採用している。さらに学校行事に関わるものも総合的な学習として活用している。特に<鎌倉・京都・奈良自主活動>は,古都鎌倉という学校の立地を十分に生かした実践である。カリキュラム開発によって得られた成果の要点が詳しく報告されており,総合的な学習を考えたり,実践したりする上で大変参考になる実践である。

基礎・基本の効果的な徹底と,選択教科や,横断的・総合的な学習の望ましいあり方を探るため,教育課程,教育内容,教育方法の可能性が追究され,1必修教科における基礎・基本の徹底,2必修教科での横断的・総合的学習,33年生選択教科での横断的・総合的学習,4学校行事や地域の特色を生かした「合唱活動」「鎌倉・京都・奈良自主研究」での横断的・総合的学習が実践された。

T 必修教科における横断的・総合的学習(1.2年)

横断的・総合的学習の意義として,1 重複を避けることで時数削減につながること,2 相乗効果がみられること,の2点があげられる。


 

@ 社会+音楽「人々の暮らしと環境」 

A 理科+技術「校地内樹木調査」

B 理科+国語「秋の植物観察 

C 理科+技術「電気」

D 理科+保健体育「ヒトのからだのつくりと応急処置」
E 理科+美術「環境間題を考える」
F 総合選択「情報」「国際理解」「環境」「健康」「表現」

理科+美術「環境間題を考える」の実践事例

1.ねらい

理科と美術から横断的・総合的学習を構成することで,生徒側では環境問題の原因を学び,自分の考えを作品として表現する一連の流れとしての学習ができることをねらった。

2.指導計画(全16時間)

時間

 

理   科

 

美  術

0.5 ガイダンス  
0.52   共通学習(現在の環境問題を知る)  
35   調べ学習 
(選択した課題に沿って研究を進める)
   
作品鑑賞を通して表現方法を知る
6 TT〕選択した課題をもとに 
作品の構想を練り,アイデアスケッチをする
714   作品制作(各自の問題意識を美術 
作品として表現する)
1516 TT〕発表会(自分の作成意図を発表し,作品を相互に鑑賞しあう)

*青枠6,15〜16時間目はティームティーチングで行う授業

3.学習目標

T 関心・意欲・態度 学習課題に関心を持ち,積極的に調べようとするとともに,それを自分の問題として考え,表現しようとする。
U 思考・判断 環境間題について自分なりの考えを持ち,それを人に伝えるために必要な構想をすることができる。
V 技能・表現 環境問題について資料を調べ,活用することができ,感じたこと考えたことを,発想や工夫を凝らし,美術作品として表現することができる。
W 知識・理解 自分が表現した作品について,それが環境問題とどう関わっているのか を具体的に説明することができる。

4.学習の流れ

時間

指 導 内 容 

予想される生徒の学習活動   

1〜2 理科の共通学習 
環境についての知識や,課題への取り組み方について指導
・環境についての知識アンケート 
理科と美術の課題学習の流れについて把握し今後の学習の準備を行う
35 理科の調べ学習 環境間題に関する資料をもとに意識を持った内容についてレポートにまとめる(新聞記事,環境に関する図書,インターネットによる検索などの活用)
6 理科と美術によるTT
調べ学習の継続と,まとめ終えた生徒に対する作品制作への構想指導 
(レポートのまとめとアイデアスケッチの作成の同時進行)
・課題学習の進度によって次の1〜3に分かれる 
1理科の調べ学習を継続している生徒 
2理科の調べ学習を終了し,作品の構想を立てる生徒3理科の調べ学習が終了し,構想をもとにアイデアスケッチを始める生徒
714 ・美術の作品制作 
表現内容や制作技法について個別指導
絵画,彫刻・デザイン・工芸の中から個々の表現主題にあった技法を見つけてそれぞれ作品を制作する
15 ・美術の鑑賞会 
学級,グループによる相互鑑賞とまとめ
お互いの作品を鑑賞しながら友人の主題や表現法について知り,考えたことを感想にまとめる
16   全体の授業を通して学んだことと横断的・総合的授 
業に対しての自己評価をする

横断的・総合的学習に関わる中心となる学習内容と支援の手だて(6時間目TT授業)

生徒の学習

指導分担 

予想される学習活動

支援の手だて

1の生徒について 主に佐野 準備した資料をもとに,調べ学習の続きを行う。調べ学習を深めるための資料を探す。 残り時間と内容を考慮するよう促す。資料を提示した り,資料の探し方を指導する。
2の生徒について 三代・佐野 理科の調べ学習を通して考えたことや感じたことをもとに,各自のイメージを具体化する。 生徒の最も表現したいことを整理させるとともに,表現素材・方法について参考となる資料を提示する。
3の生徒について 主に三代 理科の調べ学習を通して考えたことや感じたことをアイデアスケッチに表す。 特定の表現内容や方法にこだわらず,複数のアイデアスケッチを行うよう促す。

5.学習の記録

環境について個人による調べ学習を行う前に,その間題点や課題を設定するために共通学習を実施した。美術の表現では,主題や表現方法については生徒がより発想を工夫できるように多様な制作形式をすすめたのでいろいろな作品に対する取り組みがみられた。
授業の最後に行ったまとめでは,生徒が課題学習を通して学んだことや環境に対しての考えをまとめさせた。その結果から,生徒が環境を身近な問題としてとらえることができたと考えている。

6.授業評価

「調べたこと」をもとに「表現すること」に発展させることで,生徒自身が学習内容を深く追求できる学習課題を与えることができた。また,理科と美術のお互いの授業の関わる時間の削減をもたらすこともできた。また,生徒が将来生きる上で必要な知識や能力を身につけるための試みとして貴重な実践であったと考えている。

U 必修教科以外での横断的・総合的学習(3年)

 必修教科以外での横断的・総合的学習の意義は,教育内容の本質的な改善であり,各教科が様々な工夫を凝らした活動を展開したり横断的・総合的学習をすることは,「たくましさ」をはぐくむために有効である。

3年の総合選択

各講座の学習内容の決定にあたっては生徒の意識や実態,時代や社会の要請や当校の横断的・総合的学習の視点から判断し内容を以下の5教科に決定した。

@
 

 

教科「国際理解」
担当者の教科
主な学習内容
 
講座名 国際交流を深めよう
英語,社会
日本や世界の文化や地域の特色を調べ,外国の留学生との交流を通して異文化に触れたり日本の文化を紹介する。
A

 

教科「健 康」
担当者の教科
主な活動内容
講座名 こころとからだの健康講座
家庭,保体
ボディワーク,リラクゼーション,座禅,調理,野外活動
B
 

 

教科「環 境」
担当者の教科
主な学習活動
 
講座名 自然との共生をめざして
理科,理科
環境についてのグループないし個人での調べ学習とそれにもとづいた外部への働きかけや実践活動。
C
 

 

教科「情 報」
担当者の教科
主な学習活動
 
講座名 情報のプロフェッショナルになろう !
国語,英語
身近な情報の収集と選択管理する方法について学び,自分の適性に応じた情報の発信法について学んでいく。
D
 

 

教科「表 現」
担当者の教科
主な学習内容
 
講座名 合唱の美を究める
音楽,数学
合唱の練習方法全般について学び,ステージ発表を通しての合唱表現について追求する。
総合選択の授業の実施手順
1 2年3学期後半に総合選択についてのアンケート調査実施 
2 調査に基づき教科担当者で話し合い,内容の検討,担当者決定 
3 授業計画立案 
4 各教科内容について資料をもとに生徒全体に詳細説明(資料)
5 人数の把握・名簿等の作成・授業準備

教科「健 康」 講座名 こころとからだの健康講座 の実践事例

1.ねらい

 社会生活を営む中で,自分の健康問題を意識し,学習した知識を生かして,それらに適切に対処していく積極的な行動力を,まわりの他者,もの,こと,自然などの環境と直接関わる体験的学習を通して育成し,高めていく。

2.年間指導計画 全18回(各回2時間)

日時

場 所 

学習活動 

留意点 

1 5/18 国際理解教室 オリエンテーション 
事前調査(自己診断カルテ)
仲間を知ろうゲーム 
リラクゼーション
・講座開設の趣旨説明 
・狐顔狸顔,仲間集めゲーム等
2 5/25 国際理解教室 
体育館
心を落ち着ける健康タイム 
エアロビクス1 
ストレッチ,リラクゼーション
・目を閉じ・呼吸を整え,気持ちを 
落ち着かせる
3 6/8 第2グランド 
体育館
LSD1 
ストレッチ,リラクゼーション
・小雨決行, 
☆タオル,バスタオル
4 6/15 中庭 
校庭 
調理室
季節を味わう食物1 
校内の梅もぎ,梅ジュース作り 
梅ジュースラベル貼り
・梅,山もも,ラズベリー他 
*本校教官1名が協力 
☆瓶に砂糖を入れ持参
5 6/22 調理室 
体育館
梅ジュースの観察 
心を落ち着ける健康タイム 
ボディワーク1 
リラクゼーション
・砂糖の溶け具合などを観察する 
・チェーンつなぎのぎったんばった 
ん,キャタピラなどのからだを使っ 
た動き
6 6/24 体育館 心を落ち着ける健康タイム 
ボディワーク2 
リラクゼーション
・お地蔵さん運び,丸太運びなどの 
からだを使った動き
7 7/6 校外 海でのブラインドウォーク 
(目隠し歩き)
・二人組で海中を歩く 
・往復LSD
  夏休み   各自課題研究  
9 9/7 プール 水中ボディワーク 
水中エアロビクス
☆水着,空のペットボトル
10 9/14 建長寺 
(北鎌倉)
座禅 
気持ちを落ち着かせ,自分を見つめる
・往復LSD・保護者の承認を得る 
*建長寺僧侶の協力による(\500)
11 10/5 校外 
(材木座海岸)
LSD ・小雨決行
12 10/12 第2グランド 野外調理1(季節を味わう食物2) ・秋刀魚の炭焼き(実費徴収)
13 10/19 第2グランド 野外調理の計画 ・野外調理34の見通しを持つ
      野外調理2 ・かまど作り
14 10/26 第2グランド 野外調理3 ・雑炊作り(実費徴収)
15 10/30 第2グランド 野外調理4 ・限られた材料と用具で調理をする 
(実費徴収)
16 11/2 校外 ウォークラリー1 ・衣張山方面
17 11/9 校外 ウォークラリー2 ・天園方面
18 11/16 国際理解教室 心を落ち着ける健康タイム 
夏休みの自主研究のまとめ 
講座のまとめ 
自己診断カルテ
・後日,全講座の自己反省用紙,及 
び自己診断カルテを冊子にして返 
却する
各自で用意するもの  *協力者,外部講師など

LSDLongtimeSlowspeedDistance(長い時間,長い距離をゆっくり走る)

3.学習目標

T 関心・意欲・態度 ・他者や自然と直接触れ合う活動を楽しみ,「健康に生きる」ことへの関心・意欲を高める。
U 思考・判断 ・自分や他者のこころとからだに気づき,適切な行動がとれる。
   

様々な状況の変化に前向きに対応し,工夫する。

   

健康の価値を知り,その増進に向けて工夫する。

V 知識・理解 ・他者,自然と共存しながら,健康に生きるために役立つ知識や技能を理解 し,実践する。

4.学習の流れ

第4回 季節を味わう食物(2時間続き)

指導内容

学 習 活 動

教 師 の 動 き

   

T1

T2

15 本時の説明 
(梅もぎ)
・昼休みに荷物を調理室に置き,中庭に集合する
・説明を聞き,実演を見る
・梯子,鋸などの扱い, 
安全に注意をする
・調理室の開閉をする 
・出席の確認をする 
・梅もぎの実演の補助をする
35 梅の摘み取 
り作業
・3班に分かれ作業を進める ・各班をまわって作業を確認する
10 梅の漬け込 
みの説明
・手本をよく見る ・梅ジュースを作る  
30 梅の漬け込 
・梅に穴をあけ,各自の瓶に砂糖と交互に漬け込む 
・ラベル貼り
・各班の作業を確認する 
・自分の梅に対する思いを書かせる
・山ももなどのジュース作り
10 まとめ ・山ももジュースの試飲 
・各班でまとめ,反省をする 
・自己評価用紙の記入
・調理台の確認をする ・かたづけをする
 

5.学習の記録

第4回 季節を味わう食物

 食材の梅を校内から取ることから始め,梅ジュースを作った。校内で手に入れた材料を用いて簡単な作業で作れることを知り,改めて身近な自然の素晴らしさに気づいた。

6.授業評価

第4回 季節を味わう食物

仲間との共同作業の中で,自然をいたわり,仲間と強力する豊かな関わりがみられた。

V 学校行事や特別活動を通しての横断的・総合的学習(1〜3年)

 集団やグループを中心にした活動をすることにより,自らの個性に気づき集団の中でリーダーやスペシャリストとして関わる能力を育成することが目的である。
 学校行事や特別活動の中心となる活動が鎌倉・京都・奈良自主研究と合唱活動であり,この実践を「総合的な学習の時間」の一部として問題解決的な学習や体験発表を重視した活動として位置づけ実践した。

鎌倉・京都・奈良自主研究

 1,2年で地域の特色を生かして,鎌倉について学習し,3年の修学旅行で京都・奈良の歴史や文化について課題を設定し取り組むものである。

合唱活動 

@ 「朝の歌」 毎週朝会でクラスごとの合唱発表
A 合唱祭 毎年10月に鎌倉芸術館で行われる全校合唱発表
    課題曲と自由曲の2曲を発表
B 総合選択「表現」 教科を選択した生徒により構成され,コンクール発表を目標に活動
C 2学年選択授業 2学年の教科選択として合唱を中心の授業活動

鎌倉・京都・奈良自主研究 の実践事例

1.ねらいと流れ

生徒が自ら課題意識を持って取り組み,体験を重視する総合的な学習の集大成として修学旅行を位置づけるために,1年生から鎌倉自主研修を行い,3年間を通して学年を追ってより発展的に展開できるように設定した。

1年 鎌倉自主研究 [広げる]
鎌倉市内の寺社について,各学級ごとに地域を,各班ごとにテーマを設定し,研究することで,古都鎌倉の理解を深める。
2年 鎌倉自主研究 [深める]
鎌倉を支える産業について,各学級ごとにテーマを設定し,さらに各班ごとに詳しく研究し,産業や職業に対する理解を深める。
3年 京都自主研究 [究める]
,2年の鎌倉自主研究で培った「学ぶ力」やその経験を生かして,歴史ある京都・奈良の伝統・文化を,地元の方々との交流を通して,研究を行う。
2.取り組み方

1年

学年テーマは,「鎌倉の名所旧跡・寺社」とし,学級ごとに「二階堂,十二所」「大町,材木座」「北鎌倉」「長谷」の4地域に分かれ,各学級7班編制で取り組んだ。班ごとに研究テーマを決め,タイムスケジュール,交通手段などの行動計画を立て,自主的に行動できる実践力を身につける。6月に実地調査を行った。主な見学先は,建長寺,大仏(高徳院),満福寺,浄智寺,報国寺などである。

2年

「職業」について,各学級でテーマを考え,「食」・「文化人」・「観光」・「交通・通信」とした。各学級ではさらに6班を編成し,テーマを決めた。1年生が見学中心なのに対し,2年生ではインタビューを中心とした取材活動に重きをおいた。事前調査を行い,訪問先との連絡・交渉を行った。6月下旬実地調査を行った。11月には,各クラスでも学級内発表会を行う予定である。主な訪問先は,漫画家横山隆一さん,小説家安西篤子さん,正宗工芸,鎌倉FM,井上蒲鉾店などで,中には,菓子作りの体験をした班もあった。

3年

「鎌倉そして京都」というテーマで,各班で独自のテーマを考え,2年生同様に取材活動に重きをおいた研究を進めた。7月初旬までに研究テーマ,研究の具体的な中身,訪問先,訪問先までの交通機関,インタビューの内容と役割分担などを決定した。これを受けて学年では生徒から提出されたテーマ等を整理し,交通マップを作成し,これに基づいて,夏休みの教師の下見において,お願いした訪問先には事前にあいさつを行い,生徒が当日混乱しないように方策を講じた。主なテーマと訪問先としては,「楽器(雅楽)」の班は雅楽器博物館,石清水八幡と鶴岡八幡宮」の班は石清水八幡宮などである。

3.成果

次のような成果が得られている。

自ら課題を立てて,自らの力で解決していく力が育成できる。

よりよく生きるための問題点を探ろうとする力が育成できる。

自主的な規律のある態度を養うことができる。

体験学習というより体感学習として学ぶことができる。

日本の伝統文化や現代の文化を理解し,尊重できるようになる。

・職業に対する理解が深まり,進路指導の一環とすることができる。

グループで学ぶことにより,協力する大切さを知ることができる。

校外の人々と触れ合い,その温かさを知ることができる。

校外での社会のマナーについて実体験することができる。

W 横断的・総合的学習の開発と実践における成果と課題

1.成果と課題 

必修教科では,横断的・総合的学習を実践することにより,教科間で重複している内容や,分断して指導されていた内容が整理され,生徒もむりなく学習が進められた。
教科横断的な学習では,学習の形態をいくつかの類型にまとめることができた。また,教育内容のスリム化や,異教科間の連携・異教科間TTなど,効果的な実践をすることができた。
3年選択授業での横断的・総合的学習では,生徒は必修教科ではあまり学習することのできない内容を総合的に学習することができ,個性的な力をおおいに発揮することができた。そして今後の「総合的な学習の時間」への足がかりとすることができた。
・学校行事や特別活動を通しての横断的・総合的学習では,鎌倉・京都・奈良自主研究,合唱活動など,これまで本校が継続して実践してきた活動であるが,それらをあらためて見直し,これからの「総合的な学習の時間」の教育実践として再評価することができた。
現行の教育課程の中で横断的・総合的な学習を生み出すためには,どうしても時間的な制約がある。新教育課程への移行をふまえながら,少しずつでも工夫して実践を積み重ねていく必要があろう。
2.評価
・基礎・基本の徹底をめざした授業の評価,必修教科での横断的・総合的学習の評価,必修教科以外での横断的・総合的学習の評価,とそれぞれを区別して考えることで,評価場面や評価項目を 明確にすることができた。
生徒の肯定的な自己評価を進めることで,学習意欲は高まり,学習内容や方法にさらに広がりがみられるようになった。
必修教科以外における横断的・総合的学習の評価については,さらに実践を積み重ね,具体的な方法を開発していかなければならない。