香川大学教育学部附属坂出中学校の実践事例 |
住 所 | 香川県坂出市青葉町1番7号 | 郵便番号 | 762-0011 | ||
電 話 | 0877-46-2695 | FAX | 0877-46-4428 | http://133.92.58.28/center/secondary/sakachu.html |
総合的な学習を表すタイトル |
合科型自由学習 |
キーワード,分類 |
合科型,自由学習,自己理解,実感 |
総合的な学習に対する考え方 |
「生涯学習の力」をつけるカリキュラムとして総合的な学習を位置づける。 |
総合的な学習の目標(目指すもの) |
「生涯学習の基礎」として5つの力(学習設計力・情報収集力・思考力・表現力・自己評価力)を考え,「生涯学習の力」を伸ばす基本として「自己理解」,「実感」を大切にしている。 |
総合的な学習の実践形態 |
2週間に1度,1年間で学習する。 全校生徒が8講座(テーマ)に分かれて学習する。 |
推進組織 |
1テーマにつき2教科からそれぞれ1名ずつ指導者がつく。 |
文献 |
生涯学習につながる合科型自由学習の実践2(平成5年度〜9年度)
H10. 3. 31 香川大学教育学部附属坂出中学校報告書 |
コメント(実践から参考になること) |
学習テーマの設定方法から,取り組み,発表, 評価に至るまで, あらゆる分野に渡って, 実践のknow-howが蓄積されている。 |
具体的実践 (平成9年度の場合) |
T.テーマの決定 |
1.テーマの決定(平成8年12月から検討に入る) |
各教科が,他の教科の内容と関連づけて取り組めそうなテーマを提案する。(図 1) |
テーマの提案にあたっては,時代のneedsに答えるもの,指導者自身興味を持つもの, 生徒 と是非取り組みたい内容のものであることに配慮する。 |
図1 講座解説のためのマトリックス
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 音楽 | 美術 | 保体 | 技術 | 英語 | |
国語 |
・郷土の偉人伝
・讃岐辞典 |
・数学で随筆 ・重学の偉人伝 |
古典にみる動 植物 ・自然を描写 |
・作詩,作曲から作る世界・合唱曲を作る | ・言葉で探る 美の世界・詩画集を作る・ オリジナルカ ルタ |
・ボディー& スポーツラン ゲージ・心に 残るスポーツ シーンを再現 |
・道具と語る マニュアル作 り・言葉と家 庭生活・郷土 料理のレシピ |
・英語のひび き,日本語のひ びき・日本の 古典を英語で 表現・ネーミ ング研究 |
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社会 |
・道の文化 ・古城を語る ・茶の湯,茶席 の楽しみ |
・都市と橋の 経済学 ・統計で探る 私たちの生活 |
・瀬戸内の自 然と歴史・い い湯だな・こ とわざ迷信を 検証 |
・生活と民謡 ・ハートフル シンギング |
・世界と時代 の文字絵と絵 文字・日本焼 き物紀行・風刺漫画を描く |
・スポーツと 生活・スポー ツ ザ ワール ド・スポーツ 社会学 |
・木造建築の 味を知る・郷 土食,世界の食 事を味わう ・技は語る |
・英語圏の旅 へ出かけよう ・コミュニ ケーション文 化学 |
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数学 |
・寺田寅彦大 研究 ・論理と数学 |
・香川将来学 ・数学史 |
・瀬戸大橋の力学 ・理科の中の 数学 |
・数学のドレミファ ・ピタゴラスの音楽 |
・香川のPR パンフレット ・空間図形を 作ろう |
・スポーツを 数学で斬る ・力測定で統 計 |
・香川のPR ビデオ ・日 常生活に役立 つ数学の秘密 |
・アメリカの 中学数学 |
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理科 |
・文学の中の生物 ・科学技術を 伝える |
・生物と地理的条件 ・くらしの条 件 |
・形態と科学 ・統計でせま るサイエンス |
・生物楽器を作る ・サイエンスミュージック |
・自然の美の 追求 ・サイエンス グラフィティ |
・スポーツを 科学する ・健康の追求 |
・科学で検証 アグリカルチ ャー・生活の 知恵を科学 |
・生物の学名 ・サイエンス ヒストリー in world |
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音楽 |
・サウンドドラマ
・平家物語の世界へタイムトリップ |
・民謡を訪ねて | ・音律の世界 を体験 |
・クジラのうたを聞く | ・私たちの名画の旅; VTR作品 | ・ダンス音楽 をつる ・記録を高め る音楽を探る |
・民謡楽器を つくる・レシ ピを曲にして 歌う |
・ビートルズ の世界 |
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美術 |
・絵本づくり | 絵地図づくり | ・幾何学デザ イン |
・進化の秘密 | ・曲に合わせ た映像づくり |
・スポーツ環 境の創造 |
・コンピュー ターグラフィ ックス |
・外国の観光 案内 |
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保体 |
・スポーツ新 聞・あなたも スポーツライ ター |
・スポーツ ザ ワールド ・スポーツの歴史 |
・マスマステ ィックスポー ツ ・スポーツ |
・スポーツサイエンスの扉 ・地球遊人 |
・舞踊と音楽 のつながり ・マスゲームを |
・動きの美学 ・スポーツ環境の創造 |
・アウトドア ライフ ・運動と栄養 |
・スポーツ ザ ワールド ・英語でスポ ーツする |
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技術 |
・栽培マニュ アルをつくる |
・石器づくりから技術の進歩を探る | ・技術と数学の歴史を探り,その接点を探 る |
・道具の原理と科学 ・栽培科学 |
・マルチメディア音楽図鑑 | ・技術工芸品をつくろう | ・サバイバル生活 ・スポーツ用 具をつくる |
・外国との文 化交流 |
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英語 |
・文学作品に みる世界の文化 ・外国の本 |
・アジア発世界を考える
・世界旅行を計 |
・数の世界と 文化の違い ・世界の数の数え方 |
・英国庭園から学ぶ | ・ビートルズ を歌う |
・香川の紹介イラストマップ
・季節のカ |
・スポーツ用 語にみる文化 の違い ・英語でレッツダン |
・ホームペー ジをつくる ・食文化を通 して英語への旅 |
2.テーマの決定(平成9年1月) |
テーマの提案をリストアップしたもの(図1)に各教科で希望順をつけたものをもとに開設テ ーマ案を提示する。 その中で,教員全員の了承を得たものを最終検討案とする。 (表1) |
表1 平成9年度自由学習開設モジュール |
開設モジュール 担当教科 |
開設モジュール 担当教科 |
121世紀に贈る創作絵本・・・ ・・・・・
国語科・美術科 2日本語の中の世界 世界の中の日本語・・・国語科・英語科 3香川の未来学・・・・・・・・・・・・・・社会科・数学科 4ジパング発 異国見聞録ー平成版ー・・・・社会科・英語科 |
5マスマスポーツ・・・・・・・・・・・・・数学科・保体科
6緑の地球・共生プロジェクト・・・・・・・理科・技術科 7生活に役立つアイデア製品を作ろう・・・・理科・家庭科 8音・舞・マインド・・・・・・・・・・・・音楽科・保体科 |
3.講座ごとの内容検討と準備(平成9年1月〜4月) |
各合科ごとに内容の検討をする。検討の柱は以下の通りである。 |
1 テーマの分析(何をめざす学習であるか) 2 考えられるサブテーマ(どんな課題で学習に取り組めるのか) 3 年間学習指導計画(どのような流れで学習を進めていくのか) 4 課題設定のさせ方(どのように課題をもたせるか) 5 課題追求のさせ方(どのようにして課題解決を図らせるか) 6 まとめ方(どのような形で学習のまとめを表現させるのか) |
4.「自由学習履修の手引き」の作成(平成9年4月) |
生徒が,開設されたテーマを選択するための「ガイダンスプリント」を作成する。 |
学習の内容・計画・まとめ方など全体像が簡潔にわかるような資料である。(図2) |
図2 ガイダンスプリントの例 |
U.履修 (生徒がどのテーマにするか選択する) |
第1回履修選択希望調査(平成9年5月) |
「自由学習履修の手引き」(ガイダンスプリント)を配布する。 |
後日第1回希望調査を行い,各テーマの履修希望者数を公表する。 |
ガイダンス(平成9年5月) |
生徒全員を集めて,指導者が内容紹介とPRを行う。 先輩の作品の提示, 指導者の熱意を 表現するパフォーマンスありの説明会である。 |
直後に,生徒は履修選択の最終決定を行う。 |
V.学習の流れ |
学習の展開は, 課題設定→課題追求→学習のまとめ→発表会という流れにそって行われる。 |
課題設定と学習計画 |
生徒が,自分はいったいどんなことに興味や関心があり,心惹かれているのか探ることで, |
課題を見つけさせる。 教師が提示した題材や生徒自身の経験や知識の掘り起こしによって 課題を絞り込ませる。 |
課題追求 |
情報収集である。 課題解決のための情報を収集する活動を行う。 |
実際に生徒が行った情報収集活動は次のようになる。 |
◆ 文献を探す (学校の図書館・各教科の研究室・書店・公共の図書館) ◆ 資料を求めて関係機関や専門家に問い合わせる(電話・手紙・インターネット) ◆ 直接現地を訪問する ◆ 校内でアンケートをとる ◆ 実験・観察を行ってデータをとる |
研究成果のまとめや作品の制作 |
集めた情報を整理し,研究成果のまとめや作品を仕上げる。 |
発表会 |
文化祭(11月) 自由学習のようすを公開する |
発表会 |
それぞれの講座で行う。 |
全体発表会(12月) |
作品展示会(3学期) 隣接の総合実験センターにて |
W.評価 |
評価の手法としては,アンケート調査をとっている。 |
アンケートの分析として特徴的なことは,実感(達成感)を得ている生徒は1/3であること, 学年 があがるほど実感の割合が増えていることである。 |
このことは,発表会での他の生徒のようすを見ることで, 自分に足りなかったものに気づき, 自己 評価を行っていることの現れととらえる。 |
また,自由学習の経験を重ねることで, 生涯にわたって学習し続けるための意欲や力が育ってき ていることととらえる。 |
実践例 |