item1.gif (916 バイト)広島大学附属福山中・高等学校は文部科学省研究開発学校の指定を受けています。

研究開発課題

<平成15〜17年度>
 中学校・高等学校を通して科学的思考力の育成を図る教育課程の研究開発

<平成18〜20年度>(3年間の指定延長)
 中等教育における科学を支える「リテラシー」の育成を核とする教育課程の開発

研究開発の概要

 すべての教科において実践する科学教育「サイエンスプログラム」を研究開発し、研究実践を行う。「サイエンスプログラム」は科学的思考力や独創性などの能力を培うことをねらいとして、中学校2年生と高等学校1年生に新教科として「サイエンスT」を、中学校・高等学校の総合的な学習の時間に「サイエンスU」を、各教科において取り組む「サイエンスV」をそれぞれ設置する。「サイエンスT」では先進的な科学・技術に触れ、数学と理科の各分野をベースとした総合的な科学教育を実践する。「サイエンスU」および「サイエンスV」では、学習指導要領にとらわれない多様で発展的な内容を取り入れた科学教育を実践し、科学・技術の基盤となる能力を高めるとともに、すべての生徒に科学への興味・関心を持たせ、科学が好きな生徒を育てる。また、中・高一貫教育において、6ヶ年を見通した系統的な科学教育のプログラムを創造する。


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研究開発課題設定の理由

 次代の科学の発展を担う人材を育成するためには,理数科目の強化だけでは充分とは言えない。科学・技術の基盤となる能力,すなわち,自然や社会の事象を,様々な体験や探究をとおして見つめ,感じ取り,論理的に思考するといった総合的な能力を高める必要がある。このためにはすべての教科が共通の視点を持って,この能力を高める教材開発や教育方法の開発を行うことが重要であると考える。
 科学的思考力や科学的・論理的に物事を処理する力を身につけさせ,将来の生活に役だたせることを意図したい。

研究開発の内容

1.研究の仮説等

  • 普通科のすべての教科で科学的思考力や独創性を培うためのカリキュラムと指導方法を開発することによって,科学・技術の基盤となる能力を高めることができる。また,生徒の科学への興味・関心を高め,科学の発展に寄与する生徒を育てることができる。

  • 2.教育課程上の特例(学習指導要領等によらない部分)

  • 新教科として、中学校2年に70時間、高等学校1年に4単位の科学教育プログラム「サイエンスT」を設置する。また、既存の各教科および総合的な学習の時間において、科学的思考力や独創性を培うための科学教育プログラム「サイエンスU、V」を実践し、学習指導要領にとらわれない発展的な学習内容を取り入れる。

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    3.具体的研究事項

    (1)「サイエンスプログラム」のカリキュラム開発

    サイエンスTA:新教科として中学校2年生に70時間を設置>

    「環境」をキーワードとした多面的な視点から、自然観察や実験を通して、科学を探究する資質や自ら問題を発見し解決する能力を養う。
    環境と人間の生活を題材として,生徒が「地域の環境」や「人間の身体にかかわる環境」を学び,それらの知識を基に直接体験としての実験や観察を行う中から「疑問」を抱き,「疑問」の中から新たな課題を見いだして自らの力で解決していく体験を積ませる。また,自らの生活を見つめ,自らの判断を基にして,環境に対する活動を計画し行動する実践力を培っていく。

    サイエンスTB:新教科として高等学校1年生に4単位を設置>

    「物質と人間」、「エネルギーと人間」、「生命と人間」という3つの柱を設定し、新たな教材を開発することによって「人間」をキーワードとした高度な科学教育を実践する。ここでは理科と数学で協力して高等学校で共通に履修するべき基礎的な科学的知識を題材とした授業を創出する。理科総合の内容を基盤にしながら、内容を再吟味した独自の内容や発展的な内容を工夫する。また理科と数学との有機的な連携を図る。

    科学的思考力の育成には、その方法を学び習得することも重要であるが、一方で、「エネルギー概念」や「原子概念」「生物の多様性と普遍性」など、環境問題やわれわれの生活を科学的に考察する上で重要となる基礎的知識がある。また、これらの事象をとらえる際の思考方法としては、例えば力学では微分的考え方や積分的考え方、ベクトル的発想などこれまで数学で直接培ってきた部分も多くある。そこでサイエンスTBではこの基礎的であるが高校生として是非知っておくべきと考えられる科学的知識や、身につけておくべき思考法や技能の習得をめざしたものとする。

    サイエンスU:総合的な学習として取り組むプログラム>

     サイエンスプログラム「サイエンスU」は,中学校1年(第1学年),中学校3年(第3学年),高等学校1年(第4学年),高等学校2年(第5学年)の「総合的な学習」として取り組むものである。

     @ 第1学年:70時間

     「学び方を学ぶ」―情報処理能力と自己表現能力の育成―

     A 第3学年:70時間

     「科学的な認識能力の育成」―自然や社会の事象を科学的に認識する―

     B 第4学年:35時間

    「論理的な思考力の育成」−様々な事象を見つめ,感じ取り,論理的に思考する
     

    テーマT「科学/技術」と「ものの見方」

    テーマU(1)「科学と芸術」−声や音の仕組みを探ろう−
        (2)「科学と芸術」−視覚の世界を探究しよう−
            (3)「科学と芸術」−道具(筆や墨)の仕組みを探ろう−

    C 第5学年:35時間

    「プレゼンテーション能力の育成」
            −科学論文を英語で読む書く、発表する−

    サイエンスV:すべての教科で取り組むプログラム>

     各教科の単元・題材において、「科学的な思考力の伸長」という視点で教材開発および指導方法の開発を行い、サイエンスプログラムとして構造化する。具体的には研究開発初年度において全体のカリキュラム開発を行った。以下は、各教科での実践の視点である。

    @国語科
    自己のまなざす世界(世界認識)を進化・拡充させていくことを、「ことば」の学びの面から行う。このような意味での国語の学習の一つとして、「科学・技術」という問題領域を扱うこととする。

    A社会科・地歴公民科
    科学の発生や発達の歴史を学ぶとともに、人間社会における科学の発展の意義について学び、科学のあり方について考える。

    B数学科
    数学という立場から科学的思考力の育成を図るとともに、数学の、様々な分野での活用方法やそのしくみ・意味を意識させることで、数学のみならず他分野への理解を深めさせる。

    C理科
    日常の学習活動に加えて,以下の内容によって科学に対する興味・関心をさらに高め、科学的な思考力、実験・観察の技能の習得など、独創的な研究の下地となる能力を育成する。

    D保健体育科
    学習者自身のからだと健康,からだと運動・スポーツについて学ぶことを通して,科学的な思考力を育成する。

    E技術科・工業科
    「ものづくり」を通して,そこで必要な原理,法則などの科学的認識を深め,「ものづくり」に必要な知識・技能の育成を図る。

    F家庭科
    生活についての原理・原点・原則を科学的見地から学ぶ。

    G芸術科
    「音,視覚,素材」などのテーマで科学と芸術の総合した学びを創造する。

    H英語科
    科学や環境問題に関する英文教材を用いて、英語を通して科学への興味をひきだし、英語で議論する能力を育成する。

    (2)「サイエンスプログラム」の評価方法の開発

     評価方法の開発には,生徒の評価方法とカリキュラムの評価方法という2つの内容が含まれている。授業の中で生徒をどのように評価していくかという課題については,次年度の実践に向けてカリキュラムの開発と同時に検討を行うことができた。基本的には,それぞれのプログラムにおいてねらいや目標を明確にしたことで,それらのねらいや目標を生徒がどれだけ達成できたかという視点を中心として評価を行う。各プログラムでは,具体的にどのような方法でそうした視点から評価が可能かを検討し,評価方法を開発してきている。


    関連リンク

    文部科学省研究開発学校 制度とは

    文部科学省

     

    科学的思考力教育研究会へのお誘い


     

     

     

     

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