1995年度 広島大学附属福山中・高等学校

    教育研究会報告

     日時: 1995年9月22日(金)

 
  

教育研究会理科テーマ

「新しい理科教育へのアプローチ(コンピュータの利用と環境教育)」

    
  

1限:公開授業「インターネットを利用した環境学習」

授業担当者:平賀博之

 当校は環境のための地球学習観測プログラム(GLOBE)に参加しているが,本時はGLOBEのホームページを生徒に紹介した。GLOBEプログラムへの取り組みは,1学期(6月)より行っており,気象の観測(一日の最高・最低気温,雲量,雲の種類,観測時の温度など)を記録している。これまでの記録を今回初めて生徒にGLOBEのサーバに直接入力させた。さらに,入力後のデータがどのように処理されているかを説明し,GLOBEのヴィジュアルなサーバの内容を紹介した。現在の状況は,アメリカの観測点は数多くあるが,それ以外の国の観測数は極めて少ない状況である。そのような状況も含めて生徒にGLOBEを自由に見させ,気付きをまとめさせた。最後に,GLOBEに参加する世界の生徒に対して,これからの観測に向けての決意や環境問題に対する思いを発表させた。批評会ではGLOBEの観測データの見方などにおいてかなり立ち入った質問が多くでるなど活発な討議がなされた。
         (詳しいお問い合わせ先,hiraga@fukuyama.hiroshima-u.ac.jp)

 

2限公開授業「総合理科「課題研究−力と運動−」

授業担当者:山下雅文

 総合理科「課題研究−力と運動−」において,空気抵抗のある落下運動を取り扱った。物体の落下運動においての空気抵抗の効果について仮説を立て,記録タイマーでは測定困難な空気抵抗をコンピュータを用いて計測し,仮説の再検討を行った。計測装置は,高輝度LEDとフォトトランジスタを利用したもので,信号をDOS/V機のシリアルポートに入力し処理した。また,処理プログラムはUBASICを利用して自作した。批評会では,生徒がパソコンの操作に慣れていることに驚いたり,実験器具の工夫に感心したり,非常に参考になったという意見が多く出された。
          (詳しいお問い合わせ先,myama@fukuyama.hiroshima-u.ac.jp)
 
 

研究発表「当校の環境教育の実践」

発表者:山田 雅明

中学校における野外の地質調査, 校内の野草・樹木の観察など野外実習を中心とした環境教育, 中学校課題学習における環境問題の取り組みの実践例, 大学の先生を招いての環境学習, インターネットを利用した環境教育,100 校プロジェクトによる酸性雨の調査などの実践例を報告した。また,これからの環境教育のあり方についても議論した。
 
 

講演「大気汚染(酸性雨を含む)による森林被害酸性雨調査の意義

広島大学総合科学部教授 中根周歩

 酸性雨の発生メカニズムや大陸から飛来する酸性物質の現状についての報告がなされた。中でも,大気汚染を起因とする酸性雨,酸性霧,酸性露,酸性降下物質などがもたらしている森林被害に焦点を当てて,諸外国や日本,特に中国地方の激しい松枯れの実態とその影響メカニズムについて説明された。そして,これらのことから,酸性雨調査の意義について述べられた。
 
 

講演「コンピュータの利用と環境教育」

広島大学教育学部教授 武村重和

 インターネットの利用についてのわかりやすい説明と,その教育への応用について述べられた。また,海外における環境教育の現状が報告され,今後のあり方について

の議論がなされた。

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