オオムラサキの里

(下の写真を是非ごらん ください)
   
 日本の国蝶「オオムラサキ」。羽を広げると10cm近くになる紫色の美しい蝶です。 しかし、 その姿を見た人は少ないのではないでしょうか。オオムラサキはクヌギやエノ キ、アベマキ等 の樹液を食する蝶で6月から8月下旬にかけて、雑木林などで観察する ことができます。しか し、近年、雑木林の減少などによりその姿は少なくなり、幻の蝶ともいわれています。

 福山の北西約30kmにある府中市僧殿町の上田山は「オオムラサキの里」として有名です。オ オムラサキの美しさに魅せられた後藤功さんが18年前からオオムラサキの保護を始め、地域 の人と「オオムラサキの羽化を守る会」を結成され保護活動を続けられています。幼虫の餌と なる榎(エノキ)を植え、幼虫を天敵である鳥から守るため15m四方、高さ7m程度の大き なネットで木を覆って保護をしています。このネットは冬の雪に対応できるように天井が開閉 できるよう工夫されています。「仕事の合間に世話をしているので冬の2ヶ月を除いて、年中 忙しくしています。」と後藤さん。

 オオムラサキは蝶になって20日の命です。夏に卵を生み10日でふ化し、幼虫のまま冬を越 します。 冬には茶色の幼虫ですが春の5回目の脱皮後、きれいな緑色になります。5月にはこ の 4回から6回の脱皮をしたいろいろな幼虫をみることができました。
 1997年度は6月中旬からら羽化が始まりそうです。例年、この羽化の時期は見学者でに ぎわいます。(一夏、約3000名が訪れます)

 7月には天井を開いて蝶を放ちます。1996年度は約1000匹放ちました。このとき、 まだ幼虫のものはそのままネットの中に残し、次年度ための卵を生ませます。このように、 自然そのままの状態で保護をされています。「このように保護をしていても、ネットの隙間 からでていく幼虫もいるんです。」と楽しそうに話されました。

 福山から府中へと続くJR福塩線の車両には、このオオムラサキの絵が描かれています。

   

オオムラサキの写真

オオムラサキの里看板
ネットで保護
蝶の写真
幼虫(茶色の保護色)
幼虫(茶色)
幼虫(5回脱皮後)
幼虫(6回脱皮後)
よく似た幼虫
さなぎ羽化
羽化直後
   
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