福山の北西約30kmにある府中市僧殿町の上田山は「オオムラサキの里」として有名です。オ
オムラサキの美しさに魅せられた後藤功さんが18年前からオオムラサキの保護を始め、地域
の人と「オオムラサキの羽化を守る会」を結成され保護活動を続けられています。幼虫の餌と
なる榎(エノキ)を植え、幼虫を天敵である鳥から守るため15m四方、高さ7m程度の大き
なネットで木を覆って保護をしています。このネットは冬の雪に対応できるように天井が開閉
できるよう工夫されています。「仕事の合間に世話をしているので冬の2ヶ月を除いて、年中
忙しくしています。」と後藤さん。
オオムラサキは蝶になって20日の命です。夏に卵を生み10日でふ化し、幼虫のまま冬を越
します。 冬には茶色の幼虫ですが春の5回目の脱皮後、きれいな緑色になります。5月にはこ
の 4回から6回の脱皮をしたいろいろな幼虫をみることができました。
1997年度は6月中旬からら羽化が始まりそうです。例年、この羽化の時期は見学者でに
ぎわいます。(一夏、約3000名が訪れます)
7月には天井を開いて蝶を放ちます。1996年度は約1000匹放ちました。このとき、
まだ幼虫のものはそのままネットの中に残し、次年度ための卵を生ませます。このように、
自然そのままの状態で保護をされています。「このように保護をしていても、ネットの隙間
からでていく幼虫もいるんです。」と楽しそうに話されました。
福山から府中へと続くJR福塩線の車両には、このオオムラサキの絵が描かれています。