研究開発の概要

○ グローカルなテーマを設定した課題研究を,「研究の方法を学ぶ」,「解決の技を身につける」,「研究の実践」と,経験や発達の段階を考慮した段階的な構成にすることで,効果的に「経験知」を蓄積し,高次の知の総合化をはかる中高一貫の課題研究「グローカルプログラム」を開発する。
○ クリティカルシンキングを基盤にした,「合意形成」能力や交渉力など,高次の能力を育成する課題研究特別講座「スーパーグローカル」を,大学等と連携して開発する。
○ 地方に根ざしてグローカルな視点からのイノベーションを生み出していく,地方と世界をつなぐグローバルリーダーや地方創生リーダーを育成するために,グローカルな題材で社会スキルの伸長を図る,新教科「現代への視座」や既存教科の教材等を開発する。
○ グローバルリーダーに求められる資質・能力の構成要素について仮説を立て,それらの評価方法を開発する。

グローバルリーダーとしての生徒像(研究の目的)

 グローバルリーダーには,文化などの多様性を認め,それぞれの個性を活かしてより良い社会を構築しようとする資質・能力が必要となる。そこでは,グローバルとローカルを併せ持つ「グローカル」な視点からのイノベーションが求められる。ここでのイノベーションとは,確かな基盤と柔軟な発想による自己変革を通して,新しいアイデアを生み出して社会的意義のある新たな価値を創造し,社会的に大きな変化をもたらすことを意味する。本研究開発では,「地域」の問題を出発点に「世界」を考え,「世界」から「地域」を見つめ直すことにより,地域に根ざしグローカルな視点からのイノベーションを生み出して貢献する,グローバルリーダー・地方創生リーダーを育成する。資質・能力の面では,クリティカルシンキングを基盤にした「合意形成」能力の育成を柱とする。当校では,グローバルリーダーとしての生徒像を以下のように設定し,このような生徒を育むことを研究開発の目的とする。
◇「自由・自主」の精神
 社会や地域に貢献できることを誇りとし,自らの設定した目標を実現するために,進んで新たな知識や能力を獲得し,自ら段取りして積極的に行動できる生徒
◇「基盤となる教養」の獲得
 バランスのとれた全人的な教養と,アイデンティティやコミュニケーション能力を身につけた生徒
◇「クリティカルシンキング」の実践
 適切な基準や根拠に基づき,論理的で偏りのない思考をし,課題を発見し,よりよい解決に向けて地域に根ざした俯瞰的な視点から,複眼的に,より深く思考できる生徒
◇「問題解決」の経験知の蓄積
 自ら設定したグローカルな課題を,他の生徒等と情報を共有し協調・協働しながら,創造的に解決する経験知を蓄積した生徒
◇「他者へのまなざし」の体得
 自らの利益の主張だけではなく,他者の立場や状況を思い,異文化を理解し,双方が納得できる「合意形成」をめざして行動できる生徒

研究開発の方針(教育の転換をめざす)

A 社会スキルの育成 現状の「限定された人間関係」から,学校やクラスの枠を,さらには国を超えた異文化間での「協力」や「つながり」を取り入れた実践へ。 B 課題研究の運用 現状の「課題研究に対する個別の指導体制」から,外部との連携を強化した組織的な指導体制へ。 C 課題研究の指導方法 ケーススタディなどを取り入れ,継続して疑問や課題を深化させる指導方法へ。 D 基盤となる教養の習得と活用 頭での理解から,実体験に基づく経験知の蓄積へ。 E スーパーグローバル大学創成に取り組む広島大学との連携と接続のあり方 これまで以上の広島大学との連携の強化により,全国に範となる高大接続システムの構築へ。 F 能力や態度の評価 研究開発での蓄積と広島大学のリソースを活かした高次の能力の評価方法確立へ。

特徴ある課題研究

○ 「地域」の問題を出発点に「世界」を考え,「世界」から「地域」を見つめ直すテーマ設定により,地域に根ざしグローカルな視点からのイノベーションを生み出していくグローバルリーダー・地方創生リーダーの育成につなげる。
○ 「国を超えた課題」や「世界共通の課題」をテーマに,留学生や大学院生をファシリテーターとしてグループ討議を行い,価値観の異なる国の生徒との「合意形成」の経験知を蓄積する課題研究特別講座を開発する。
○ 広島大学の海外協定大学やその附属学校との交流や協働学習を推進する。海外の提携校との交流にも「合意形成」を含むプログラムを導入し,高次の能力の育成を図る。
○ 経験知を蓄積しながら地域から世界へ発展していく中で,必然性のある形で海外実地調査を実施し,発表会等を通してその成果を全ての生徒に還元する。

現在,ここに示している内容は,申請段階のもので
実践とともに,日々進化しています。
当校の教育研究会等で,最新情報を発信する予定です。