4年 タイ研修・実地調査

 4年体験グローカルのプログラムでは,平成27~28年度は「備後から世界へのつながり」を確かめるため,「技」「特許」「環境」「食」の4つのテーマで学習を進めてきました。
 平成29年度からは,「世の中にあるモノ・サービスと社会とのつながりを読み解く」をテーマに,企業や行政の取り組みが,① ○社会をどう変えているか,●社会の変化にどう応えているか,② ○社会をそのように変えようとする背景には何があったのか,●社会の変化の背景には何があったのか,③ 企業や市役所からの講師による講演に関連して,興味関心のある社会事象や社会問題を見出し,テーマを設定し,班による研究活動を通して「モノやサービスと社会とのつながり」や解決策について考察するという3つの視点で捉えています。
  ○・●は,次の2つのパターンでの提案を想定しています。
   ○;社会問題を読み解き,その問題の解決策の提案を行う
   ●;社会や消費者のニーズを読み解き,そのニーズに対する提案を行う
 年度当初には,協力していただく企業・行政機関から講師をお招きして,「課題研究の視点①」から講演を実施しました。すべての講演が終了後,学んだことや,興味関心をもったこと,疑問に思ったことなどから各班の研究テーマを設定し,課題研究を進めていきました。夏休みには,班の課題研究を進めるにあたって最も影響を受けた講演の企業や市役所を訪問する実地調査(企業訪問)を行いました。また,1学期の残りの時間では,訪問先についてさらに詳しく調べたり,「課題研究の視点①・②」から当日質問したりすることを検討しました。夏休み以降は,研究テーマに関する情報収集・分析や班独自の実地調査などの活動を行いました。  その延長として,タイ研修・実地調査は,講演や実地調査でもお世話になったホーコス株式会社のホーコス・タイランドを訪問して,備後から世界へのつながりを体感することを第1の目的とします。また,課題意識を持ってタイと日本のつながりを実地調査し,未来に向けた提言を行っていきます。
 タイ研修は,平成27年度は2016年1月4日~7日の日程で,平成28年度は2017年1月5日~8日の日程で,平成29年度は2019年1月4日~7日の日程で実施しました。

<平成29年度>4年タイ研修 事前学習 2017.10.18~12.14

9月25日 タイ研修 参加生徒決定  参加生徒が決定したのち,生徒のタイ研修を通して進める研究テーマに関連させてバンコク市内で実地調査を行いたい場所や,訪問予定となっていたチュラロンコン大学の附属学校で希望する活動などについて,行程や活動内容が組めるように研修の企画段階から生徒が参加して立案しました。 10月28日 タイ研修 保護者説明会(旅行会社からの概要説明)  生徒とともに企画・立案した日程に基づいて,旅行会社から研修全体の説明を受けました。 11月 9日 タイ研修 事前学習②
      (グローバルコンピテンシーに関するプレ調査・課題の提示)
 当校が設定しているグローバルコンピテンシーについて,タイ研修を通した生徒の変容をはかるために,全学年に対して,年2回実施しているグローバルコンピテンシーに関するアンケート調査を用いて,プレ調査を実施しました。また次の事前学習での課題を提示しました。

11月17日 タイ研修 事前学習③
      (各自のテーマでタイもしくはバンコクについて発表)
 「自分の興味関心に基づいてテーマを設定し,タイもしくはバンコクをリサーチし,その結果を3分で発表しなさい」という課題に対する発表を行いました。3分の発表に対してそれぞれ2分を質疑の時間という流れで進めましたが,質疑の2分間では,それぞれの発表に対しての素朴な疑問にとどまらず,リサーチの進め方などについても質問や意見が生徒どうしで交わされていました。また,自主的に手書きやパワーポイントの資料を作成して発表に臨む生徒もいました。様々な視点から発表を聞く中でタイやバンコクへの理解を深めるとともに,意見を交わす中で,自分の研究テーマについても方向性を見出すことができました。 11月27日 タイ研修 事前学習④(個人研究に関する指導)  課題研究として取り組みたいと考えている分野やテーマ,研究の計画といった,現時点で研究に関する構想を記述させ,それに基づいて指導を行いました。


12月12日 タイ研修 事前学習⑤(訪問する3か所に関するグループ発表)  生徒を3つのグループに分け,訪問先であるチュラロンコン大学とJETRO,ホーコス・タイランドの3か所について,各グループが1カ所ずつ担当しリサーチし,その結果の発表を行いました。訪問先についての理解が深まると同時に,「タイの教育について考えようと思ったら,比較対象となる日本の教育制度についてや,広島大学や日本の主要な大学について十分知っていないといけない」ことや「ホーコスが切削技術で有名なことは知っているけど,説明できなかった。知っているつもりで終わらせないようにしないといけない」といった十分な準備をして研修当日を迎えることの重要性を共有することができました。


12月14日 タイ研修 事前指導(旅行業者からの詳細説明)  旅行会社作成のしおりに基づいて,旅行会社の方から日程の最終確認や,出入国の手続に関して注意することや,タイ滞在中における注意事項などについて説明を行い,生徒からの質問に答えていただきました。

冬休み タイ研修 事前指導(研究に関する個別指導) それぞれの研究に関して,質問や相談があれば教員を訪ねるよう指示して冬休みを迎えました。当日までの個別の指導の中で,アンケート用紙を作成(2名)したり,2択や4択の質問にシールを貼って答えるような アンケートパネル(4名)を作成したりしました。

<平成29年度>4年タイ研修 第1日 2018.01.04

 行程 広島空港集合・結団式 → 台北経由 → タイ・バンコクへ
    バンコク着(夕刻) → ホテルのレストランで夕食
 第1日目は,目的地タイへの移動で一日が終わりました。
 広島空港を9時15分に飛び立ち,経由地である台北にほぼ定刻通り到着しました。台北空港で出発まで2時間ほど過ごしたのち,タイには予定より30分遅れで到着しました。出発時の広島空港の気温がマイナス1℃,台湾の気温は20℃,到着した時のタイの気温が30℃と,航空機を降りる度に気温が変化する中で,気候帯(温帯→亜熱帯→熱帯)の変化を,身をもって体験することのできた1日でした。
 空港からホテルまで1時間程度のバスでの移動時間には,現地ガイドのスパッタさんがタイの文化について簡単に話してくださり,生徒は驚きの反応も見せながら,興味深く聞いていました。夕食・チェックインを済ませてから,ホテルに併設されているコンビニエンスストアへ行きました。日本でも聞き馴染みのあるコンビニエンスストアでしたが,扱っているものは大きく違うことにタイのコンビニ事情を垣間見ることができました。また,そんな中にも日本の商品を目にすることができ,タイと日本のつながりを感じる瞬間でもあったようです。


<平成29年度>4年タイ研修 第2日午前 2018.01.05

 行程 チュラロンコン大学の附属学校
       (Chulalongkorn University Demonstration Secondary School)訪問,
       学校内で昼食
 2日目は,各自で朝食を済ませて,7時40分にホテルを出発しました。
 8時にチュラロンコン大学の附属学校に到着すると,Pornporm校長先生から歓迎の挨拶と,出発前から連絡を取り合っていた,Warabet先生から日程の確認と学校についての簡単な説明がありました。その後,生徒は4つのグループに分かれ,高校1年生もしくは高校3年生に当たる英語の授業に参加しました。自己紹介の時間をとっていただいたり,テキストを見せてもらったりしながら現地の高校生と同じ目線で授業を受けさせて頂きました。参加した授業によっては,先生から意見を求められた生徒もおりとても充実した時間となりました。
 2時間目は,文系クラスで日本語を専攻している同学年の日本語の授業に参加させていただきました。ここでは,5つのグループに分かれて時間で区切ってローテーションするかたちでタイの伝統文化やタイの観光地,タイの折り紙などをテーマに,時折英語を織り交ぜながらも日本語を中心に生徒が説明してくれました。また,当校の生徒たちはこの交流形式の授業の時間の中で,用意していた個人研究に関するアンケートやインタビュー調査を実施することができました。
 3時間目は,高校3年生に当たる学年の日本語の授業に参加しました。はじめに,スライドを用いて学校紹介の発表をしてくれましたが,とても流暢な日本語に生徒はとても驚いた様子でした。その後,実際に様々な学校施設を案内していただきました。授業後の休憩時間には,当校の生徒がけん玉を披露して一緒に挑戦したり,お茶をたてる道具を日本からわざわざもってきた茶道部の生徒が,抹茶と和菓子をご馳走したりして楽しい時間を過ごすことができました。



 昼食は,学校の給食をご馳走していただきました。その後,Warabet先生との質疑応答の時間で附属学校訪問は終了の予定でしたが,ワゴン車を2台と案内をしてくれる大学生5人を紹介していただいて,急遽附属に併設されているチュラロンコン大学のキャンパスツアーも行ってくださいました。
 チュラロンコン大学の附属学校訪問では,授業を3時間も体験することができました。当校と同じくチャイムがならない環境で学校生活を送る生徒は,授業の中で自由闊達に発言したり,当校生徒の訪問に合わせて自主的に様々な企画をしてくれたりした姿に,当校の校風である「自由・自主」と同じものを感じました。

<平成29年度>4年タイ研修 第2日午後 2018.01.05

 行程 JETROバンコク事務所訪問,ホテルのレストランで夕食  チュラロンコン大学及び附属学校訪問終了後,いったんホテルに戻り午前の振り返りや,休憩・荷物整理の時間を1時間ほどとりました。
 そして,16時からJETROバンコク事務所で駐在員の鈴木様からタイに関する様々な情報をお話ししていただきました。今回の訪問に際しては,事前に生徒の課題研究のテーマや概要を連絡していたことで,研究に関連する情報や日本への留学経験のある現地スタッフにも同席いただき,タイの人から見たタイや日本についても話を伺うことができました。
 質疑応答の時間では,生徒から「タイにおける女性の社会進出の現状ついて」や「学歴社会になりつつあるタイにおける今後の教育格差や経済格差について」,「今後進出がタイへの進出が期待される業態について」「洪水災害への対策の現状やこの分野での日本の支援の現状について」など,自分の研究に関する踏み込んだ質問が矢継ぎ早に飛び出しました。それらの質問1つ1つに鈴木様と現地スタッフから丁寧な回答を得ることができました。
 予定より30分も延長してしまったJETROバンコク事務所訪問では,事前に進めていた個人の研究について重要な情報を得られた時間になったと同時に,テーマにしている問題に対する認識の甘さを実感した生徒もいました。そして,その国の環境・歴史・文化だけでなく,産業構造や経済状況といった視点も加味して考えていくことで,その国をより正しく理解したり,より適切に関わっていったりすることが出来るということを実感することができました。


 JETROバンコク事務所訪問後は,ホテルに直行する予定でしたが,帰り道に位置するスーパーマーケットに立ち寄り,タイの人々が日常使う商業施設の実地調査も兼ねた買い物の時間を30分作ることができました。また,スーパーマーケットからは徒歩でホテルまで帰りましたが,その中にも道端の露店やたくさん行き交うトゥクトゥクなどタイの日常を存分に感じることができました。ホテルに到着後は,ホテル内のレストランでタイ料理の一つであるタイスキをいただきました。
研修2日目は,前日の長時間の移動や,30度を超える日中の気温,訪問先で何度も緊張を強いられる場面もあり,生徒は大変疲れた様子でした。そんな中でも研修の目的を忘れず行動したり自分の研究に関する調査を一生懸命頑張ったりすることができた一日になりました。

<平成29年度>4年タイ研修 第3日午前 2018.01.06

 行程 ホーコス・タイランド株式会社訪問 ホテル内のレストランで昼食  3日目のタイは,この時期では珍しい曇空の朝から始まりました。
 朝食をすませると,この研修では一番早い7時30分にホテルを出発しました。40分ほどかけてホーコス・タイランドに到着すると,当校の卒業生である後藤様と,事前よりメールで連絡を重ねていた門田様に出迎えていただきました。
 後藤様より会社説明をしていただき,その後お二人の案内で工場見学をしました。質疑応答の時間では,生徒から「日本企業が海外進出する上で必要なことは」や「タイの食生活と健康との関係について」,「ホーコス・タイランドにおける女性の雇用状況や従業員の勤務について」など個人の研究に関連することや,話や工場見学を通して感じた率直な疑問を質問する生徒の姿がありました。それらに丁寧にお答えいただくと同時に「何故自分が学んでいるのか(学びたいのか),それがはっきりした時に意欲的になれるから,そこを考えていってください」,「壁をつくらない,思い込みや偏見で世界を見ない。それができたら,物事はより良い方向に進みます」と後藤様と門田様から激励の言葉もいただきました。
 90分という時間設定の中で,会社説明から工場見学,質疑応答の時間までと過密なスケジュールでしたが,備後から世界にはばたいている企業を訪問することができ,生徒にとっても貴重な経験になりました。
 ホーコス・タイランド訪問を終えて,ホテルに一旦戻り,ホテル内で昼食をとりました。また,午前までの制服から私服に着替え,午後の研修に出発しました。



<平成29年度>4年タイ研修 第3日午後 2018.01.06

 行程 王宮及び寺院群,バンコク市内のレストランで夕食,
    外国人向け商業施設アジアティーク
 午後は,タイの有名な寺院群を訪問した。最初に「王宮」と「エメラルド寺院(ワット・プラ・ケオ)」を訪れました。一昨年に国民から敬愛されていた前国王が亡くなり,昨年10月に喪があけたというタイミングでの訪問ということもあって,前国王の肖像が多く立ち並び,各所に設置された祭壇の前で,タイ国民が膝をついて深く祈りを捧げている姿を何度も目にしました。
 次に船で川を渡り対岸の「暁の寺院(ワット・アルン)」と「涅槃寺(ワット・ポー)」を訪問しました。特に涅槃寺の大仏は,訪問前から様々な情報源を通して目にしていただけに本物を目の前にした感動と,その大きさに生徒は圧倒されていました。
 3日目は,曇空から始まったものの,寺院群の訪問中には快晴となり気温は34度を超える暑さでした。初めて長時間タイの屋外を移動する中で,その暑さに生徒は圧倒されていました。また,土曜日ということもあって,外国人観光客でどの寺院も大変賑わっていたことに,前日のJETROバンコクで説明いただいた,外国人観光客が多いというデータを,身をもって体験することができました。
 寺院群訪問終了後,市内のタイ料理のレストランでトムヤムクンなどタイの本格的な料理を味わうことができました。その後,外国人観光客向けの商業施設である「アジアティーク」を訪問し,お土産の購入を中心に自由散策を1時間とりました。小さな店舗が軒を連ねる中で,食料品やタイの工芸品,アジア雑貨など様々なものが売られていました。お店がひしめき合う中で,店員は道行くお客さんに英語や中国語,日本語などを駆使して話しかけ,最後まで相手の言語で対応して商売をしていました。そんな姿に,午前中のホーコス・タイランド訪問時に後藤様が言われた「目的があれば,人は何でも『上達したい(身に付けたい)』と思うようになるもの。」ということを生徒は思い出していました。
 3日目は,これまでのJETROバンコクやホーコス・タイランドを訪問した時に聞いたことや学んだことを,実際に実感する場面に多く出会えた1日となりました。

<平成29年度>4年タイ研修 第4日 2018.01.07

 行程 バンコク発 → 台北経由 → 広島空港着・解団式
 4日目は,初日とは逆のルートで日本に戻る移動の1日でした。
 朝食をすませ,最後にホテルのロビーで集合写真を撮り,8時にホテルを出発しました。空港での登場手続きは順調に進みましだが,飛行機は定刻より20分遅れで台湾に向けて出発し,台湾には予定より5分遅れで到着しました。台北空港は快晴で早朝の気温が28℃だったバンコクから,雨で気温18℃の台北に降り立ち,広島行きの飛行機の出発を待ちました。行きとは違い,台北でのトランジットの時間は短く,空港内の移動も含めて搭乗手続きだけでもゆっくりしていられない中,添乗員の田中さんの誘導で素早く手続きを済ませることができ,40分ではありますが,台北での買い物事情の調査の時間を取ることができました。前日30℃を超える屋外を散策していたので,18℃の台北でも肌寒さを感じるくらいでした。
 台北から広島空港に向けた機内では,研修の疲れを癒しつつも,しおりの振り返りを記入する生徒や始業式を間近に控え,冬休みの課題に取り組む生徒の姿も見られました。広島空港に近づいたことを伝える機内でのアナウンスでは,「空港周辺の気温4度」という案内もあり,それには生徒も驚いた様子でした。
 広島空港には,ほぼ定刻通りに到着しました。空港には,保護者や家族の方や副校長先生が出迎えてくださり,その中で解団式を行いタイ研修の全日程を終了しました。
 帰国した生徒は,現地調査をもとに事後の活動も充実させ個人の研究をレポートの形にまとめていきます。また,研修全体の活動やそれぞれの研究成果を「SGH成果発表会」などの場で発表する役目があります。発表の場に向けて,10人で協力して準備を進めていきます。

<平成28年度>4年タイ研修 事前学習 2016.12.14

 事前学習は、全部で3回実施しました。1回目は旅行業者の方からの概要説明、2回目は12月14日(水)にセミナー室で行った「しおり学習」です。現地での研修をさらに深めるために、しおりや新聞などの資料を活用して学習しました。訪問する企業に関することはもちろん、事前に調べておくべきことと、現地で調べたり、質疑したりすべきことなどに触れ、見通してもって研修に臨むことを確認していきました。タイに関する共通の知識を持つことはもちろん、個人の課題研究が深まるように、現地で知り得たことをしおりに書きためていけるように確認しました。3回目は出発直前の12月19日(月)に行い、現地で気を付けるべきこと、文化に関すること、危機管理に関することを確認しました。特に、前国王の死去にともなって、例年とは違う自粛の行動が求められる場面が増えることが予想されたので、観光客(外国人)だからという立場ではなく、現地の方に寄り添える行動や服装などに気を付け、安全安心に研修が進められるように意識統一をしました。

<平成28年度>4年タイ研修 第1日 2017.01.05

 広島空港2階国際線ロビーに集合。出発式を行い,出国手続き後広島空港を出発しました。 台北でトランジットの手続きののち飛行機に搭乗しましたが機内で待機となり,バンコクには1時間半遅れでの到着となりました。 入国手続き後は現地ガイドさんと合流し,バス内で両替。また現地ガイドさんよりタイのようすや注意事項を聞きました。 夕食は中華料理。その後ホテルにチェックインして荷物を部屋に入れたあと,全員でタイの買い物事情の調査を行いました。

<平成28年度>4年タイ研修 第2日午前 2017.01.06

 2日目の午前はジムトンプソンの家に行き,タイの歴史,産業と生活を実地調査しました。ジムトンプソンはタイのシルク王と呼ばれ,古美術の収集家としても有名であったアメリカ人です。彼の住居が博物館として公開されていて,英語での説明を受けながら館内のツアーに参加しました。ここには昔のタイの生活様式がそのまま残っています。彼はタイの家内産業であったシルクの手織りに興味を持ち,その普及に尽力しました。デザイナーとしても,染色家としても才能を発揮し,プリント模様のシルクを生み出して,タイシルクの名を世界的に広めました。彼が収集した調度品やチーク材を使用した建物を見学しながら,タイの気候風土の特徴,タイシルクの歴史や他国との関わりなど多くのことを学ぶことができました。家の前には川が流れており,家の建築に使った木材や家の前の工場で生産されていたタイシルクも船で運ばれていたそうです。今でもバンコクでは船がタクシー代わりであると説明を受けた通り,目の前を船がかなりのスピートで通り過ぎるのを目の当たりにしました。その後プノンペン地区へ移動して日系の商業施設を見学し,日系の企業がバンコク市内に多く点在している現状を視察しました。タイ国王崩御の影響で,デパート内には記帳台が設けられており,そこには海外からの旅行者の記帳もあり,国際色豊かな一面を垣間見ることができました。

<平成28年度>4年タイ研修 第2日午後(1) 2017.01.06

 2日目の午後からは,日本とタイとをつなぐ目的で設置された機関の訪問です。最初に国際交流基金を訪問しました。国際交流基金は,外務省所管の特殊法人として設立された独立行政法人で,日本の友人をふやし,世界との絆をはぐくむため,「文化」と「言語」と「対話」を通じて日本と世界をつなぐ場をつくり,人々の間に共感や信頼,好意を育んでいくことを目的として,世界各地で活動しておられます。今回の研修では,国際交流基金バンコク日本文化センター主任講師・松浦とも子様からの国際交流基金の概要と活動内容の説明,タイにおける日本語教育の現状の説明を受けました。国際交流基金バンコク文化センターに併設されている図書館では,自由に施設を見学させていただきました。その後,図書館の担当者である坪井紀子(つぼいのりこ)様から施設の説明をしていただき,質問にも答えていただき,研修を深めることができました。

<平成28年度>4年タイ研修 第2日午後(2) 2017.01.06

 次に日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所を訪問しました。JETROは経済産業省所管の独立行政法人で,各地の海外事務所ならびに本部(東京)等の国内拠点から成るネットワークをフルに活用し,対日投資の促進,農林水産物・食品の輸出や中堅・中小企業等の海外展開支援に取り組んでいます。JETROでは菅野明(かんのあきら)様が対応してくださり,「タイの概況とアセアン経済」と題して,タイを取り巻く様々な事柄について資料をもとに説明してくださいました。それだけでなく,生徒たちの「グローバル人材に必要な力は何だと思いますか」「滞在中に感じたことで,タイの水道水が飲めない原因は何ですか」などの質問に次々と真摯に答えて下さいました。菅野様は丁寧に的確にご自身の思いや考えを述べていただくだけでなく,「海外に出て働くことを躊躇せずに,まずは挑戦すること,やってみることから始めること」など,生徒へ向けての力強いメッセージもくださり,生徒たちにとって研修の励みとなりました。

<平成28年度>4年タイ研修 第3日午前 2017.01.07

 3日目の午前は,体験グローカルで講話をいただいたホーコスの,ホーコス・マニュファクチャー・タイランドに企業訪問しました。ホーコスでは門田様,後藤様,タイ人スタッフの方の3名が担当してくださいました。会議室で概要の説明をしていただいた後,実際に工場を見学させていただきました。見学の最中にも生徒から質問があれば,丁寧に対応してくださいました。会議室に戻ってからも,引き続き生徒からの質問に答えてくださいました。その中で,福山からタイへ進出するための準備やその際の苦労話も印象に残りましたが,タイ人のスタッフの方から見たタイの現在の状況や日本企業に対する思いなども率直にうかがうことができたことは,生徒にとって大きな収穫でした。スタッフの方々は,バスが見えなくなるまで手を振って見送ってくださいました。

<平成28年度>4年タイ研修 第3日午後 2017.01.07

 3日目の午後からは,タイの大学生3名と合流して,バンコク市内を巡るB&Sプログラムを行いました。王宮やエメラルド寺院は国王の崩御を悼んだタイ人の方々や,世界各国の観光客で大変な人出でした。タイの大学生3人や現地のガイドの方が「王宮は普段から人が多いけれど,こんな人出は初めて見る。持ち物がなくならないように,はぐれないように気を付けて。」と危機管理にも気を配ってくれました。短い時間でしたが,英語や日本語を交えながら笑顔でコミュニケーションをとっていました。

<平成28年度>4年タイ研修 第4日 2017.01.08

 4日目は最終日でした。チェックアウトを済ませ,ロビーにて集合写真をとり,4日間お世話になった現地ガイドさんに感謝の気持ちを伝えました。行きと同じように台北を経由して広島空港に到着し,到着ロビーにて解団式を行いました。4日間広島空港から添乗してくださった田中さんからも一言お話をしていただき,全員でお礼の気持ちを伝えました。 今回のタイ研修は10月にプミポン国王が崩御された影響でバンコク市内は渋滞がひどく,移動の時間が読みにくいところもありました。しかし,現地ガイドと日本旅行添乗員の方々の臨機応変なサポートのおかげで,3か所の企業訪問は滞りなく行うことができただけでなく,タイの文化に関してより一層理解が深まる経験もすることができました。今後は,4日間の研修および現地調査をもとに,各自が研究したテーマにもとづく内容を深め,2月下旬と3月8日の成果発表会の場で発表する予定です。

<平成28年度>4年タイ研修 校内報告会 2017.02.23

 1月5日~8日にかけて行われた「タイ研修」に関する校内報告会を行いました。研修に参加した4年生の代表生徒10名(報告会当日1名欠席)が,同学年の生徒全員を対象に,4日間の日程と,現地でそれぞれが学んだ概略を報告しました。
 日本語教育や日本文化を紹介する公的機関(国際交流基金)を訪問したことを報告した生徒からは,タイにおける日本語教育の現状や,屋台街でも日本語を耳にするくらいのタイの親日の様子の報告がありました。また,福山市に本社がありタイに工場を進出したホーコス株式会社を訪問した報告では,現地で活躍する卒業生から話を聞くことができ,海外で働くことについて学んだことの報告もありました。
 今年度のタイ研修では,「観光」「仏教」「交通」などをテーマに生徒は,事前学習も含めて調査活動を進めており,現地で調査したことについての報告もありました。「観光」をテーマに取り組んでいる生徒からは,食に中心に研修中に口にしたトムヤムクンやグリーンカレーなどのタイ料理の紹介と,その背景にあるパクチーやナンプラーといった作物や伝統的な調味料についての考察が報告されました。
 「仏教」の生徒からは,日本とは宗派の異なる仏教に由来する僧に対するタイの人々の尊敬の念についてや,東南アジアの風土や文化の影響を受けた寺院に関する報告がありました。「交通」の生徒からは,自動車の急激な普及によって渋滞が常態化していることや大気汚染が懸念されていること,経済発展が著しい一方で,格差が広がっているタイの現状の報告がありました。また,日本でも大きなニュースとして報道されたプミポン国王の死去についてもタイ国内の状況を目の当たりにした生徒からは,タイの人々にとっての国王の存在の大きさを感じた報告がありました。そして,実際に接したからこそ分かるタイ人のおおらかさについての報告もあり「想像と大きく違うタイを学ぶことができた」や「文化が違えば価値観が変わる」といった言葉も報告の中でみられました。
 研修に参加した10名は,今後もそれぞれのテーマに関する追加の調査・研究を進めていきます。また,3月8日の「SGH成果発表会」では改めて研修の報告を行います。

<平成27年度>事前学習1 2015.12.01

 セミナー室に集まりタイ研修に向けた事前学習と12月8日提出のレポート課題の提示を行いました。
レポート課題は
1.①ホーコス株式会社についてまとめること。体験グローカルでのホーコス・唐木俊夫専務取締役の講演や下前先生の講演から学んだことをもとにしたり,さらに自分でインターネット等を利用して調査を行ったりしてまとめる。
  ②ホーコス・タイランドで,どのような質問や調査を行いたいかを書きなさい。
2.①タイという国について調べること。(文化や習慣,教育,交通,宗教,国民性など,様々な観点から)
  ②タイで実地調査を通して調べてみたいことを書きなさい。
というものでした。

<平成27年度>事前学習2 2015.12.08

 前回のレポート提出に追加して次のような新たなレポートを課しました。
1.①バンコク市内にある「国際交流基金(The Japan Foundation,Bangkok)」も訪問するように現在調整を進めています。どのようなことを行っている機関であるのかを調べなさい。
  ②国際交流基金(The Japan Foundation,Bangkok)で行いたい質問や調査があれば書きなさい。」
2.①同じく,バンコク市内の「ジェトロ(Jetro:日本貿易振興機構)バンコク事務所」も訪問するように調整しています。どのようなことを行っている機関であるのかを調べなさい。
  ②ジェトロ・バンコク事務所で行いたい質問や調査があれば書きなさい。

<平成27年度>事前学習3 2015.12.15

 セミナー室に集まり事前学習会3を開きました。12月8日に提出されたレポートに朱をいれたものを相互に読むことでタイについて共通の知識を持ち見識を深めるとともに, 事前に調べるべきこと,現地で実地に調べるべきことを整理して「追加調査の内容」としてレポートにまとめることを次回への課題としました。

<平成27年度>4年タイ研修 第1日 2016.01.04

 広島空港2階国際線平山郁夫絵画前に集合。広島空港を離陸し,台北を経て,タイ・バンコクには17時に着陸。18時30分ホテルに無事到着。

<平成27年度>4年タイ研修 第2日 2016.01.05

 「タイの生活を学ぶ」をテーマに,椰子の実工場を訪れ,椰子の実からココナッツオイルや砂糖を作る過程を学習しました。また,縦横無尽に張り巡らされている運河をボートで見学し,水上マーケットについて研修しました。
また,備後の名産府中家具とのつながりも視点に入れ,ハンディクラフトショップ(家具工場)を見学し,木を手彫りで彫っている様子や彫られた装飾が施された家具などを実地調査しました。
 午後からは,B&Sプログラム。タイの大学生サンくん,プロイさんが合流し,大学生1人につき5名ずつに分かれ,まずはバス内でアイスブレイク。準備していた自己紹介や,質問をさっそく披露しました。
その後は,暁の寺と涅槃寺をタイの大学生の案内で見学しました。年代の近い大学生のお二人に,お互いに十分でない?英語を駆使しながら,身振り手振りも交えて,コミュニケーションを取ることができました。

<平成27年度>4年タイ研修 第3日 2016.01.06

 午前中は,タイ研修で一番楽しみにしていた実地調査地である,ホーコスタイランドへの訪問です。ホーコスからは門田憲尚様,後藤壮一郎様,宮田隆徳様,タイ人スタッフ2名が出席くださいました。
会議室にて,門田様,後藤様からホーコス・タイランドの沿革・タイへの進出の理由や経過・スタッフ・タイにおける活動内容などについて説明を受けました。その後2グループに分かれ,それぞれ門田様,後藤様から工場の見学と諸設備の説明を受けて回りました。
会議室に戻っての質疑応答では,この日のために準備してきた生徒からの様々な質問に対して丁寧に答えてくださり,あっという間に時間が過ぎていきました。
後藤さんはタイ語を独学で勉強され,現地での工場用地探しから,さまざまな手続きまで,一般の会社であれば,仲介業者や他の人を頼りにするところを,自らの手で開拓されたとのお話には,たいへん感銘を受けました。

 午後からの実地調査は,国際交流基金バンコク日本文化センターと,JETROバンコクの訪問です。
 国際交流基金バンコク日本文化センターでは,日本語部部長・玄田悠大様の司会のもと,まずは国際交流基金所長・福田和弘様から国際交流基金のバンコクでの活動についての概要の説明がありました。
次にタイ国内で日本語教育を実践・サポートしていらっしゃる日本語教師・松浦様(他3名)の方々からタイ及び近隣諸国での日本語教育の実態の紹介がありました。さらにはここに併設されている図書館の見学と図書館スタッフからの説明が行われました。
 午後の2つ目の実地調査は,JETROバンコクを訪問しました。
会議室にて,JETRO代表・岡部研一郎様から「タイの概況とアセアン経済」について説明を受けました。80ページを優に超える資料を用いて,
○ タイの一般情報
○ タイの経済情勢
○ タイの政治情勢
○ タイへの投資状況・環境
○ アセアン経済概況
○ アセアン経済共同体
 を分かりやすく解説・説明していただきました。その後の質疑応答でも生徒の質問に丁寧にわかりやすく応答していただきました。
 この日の実地調査で,ホーコスがタイランドに進出したこと,そしてそれが経済的にあるいは社会とのつながりの中でどのような意味があり,現在の状況がどのようになっているか,おぼろげながらも理解ができてきたようです。

<平成27年度>4年タイ研修 第4日 2016.01.07

 4日間お世話になった現地ガイドのキッティさんにお礼を述べて,バンコクを離れました。台北を経て広島空港に到着し,解散式を行いました。