4・5・6年合同進路講演会
2019.10.24
本日は4・5年生全員と,6年生の希望者を対象に,合同の進路講演会が行われました。講演者はミャンマーにあるワッチェ慈善病院で長期ボランティアドクターとして働いていらっしゃる54回生の大江将史先生です。
最初に救命率の話になり、救助が必要な人がいた場合に①救急車を呼ぶ、②AEDを持ってくる③人をたくさん呼ぶ、④呼吸・脈拍の確認をする、⑤マッサージを行うなど、実際にどのような手順で行うのかをステージ上でわかりやすく実演していただきました。いざそのような事態に遭遇した時にとにかくすぐに身体が動くかどうか、人命救助のために日頃からの心がけとイメージトレーニングが大切なことです。先生ご自身の貴重な体験談も紹介いただきました。
ご活躍は日本に留まらず、クラウドファンディングでAEDや人形の模型の購入費用を集め、また新聞で報道された折には卒業生からの支援もあり、すぐに目標額を上回りました。
先生はご自身の恵まれた環境に対して、世界に目を向ければ貧困や格差が依然としてあること、そしてそのことに対する矛盾や葛藤や、言葉に表現できない思いを抱かれ、自分は何をすればいいのか、本当にこれが自分のやりたかったことなのかと自問自答され、自らの進路について考え続けてきました。
今では日に20~25回、年間では1500回にわたる手術をチームとして請け負っておられます。成人までは無償で行っています。病気や怪我によって、そしてそれらを治すための費用がないことによって自らの容姿をさらすことができずに学校に行けない子がいたとしたら、その子は教育を受けることができず、将来的に生活することができなくなるなど、学校に当たり前に通えることがいかに幸せなことかを述べられました。
先生はミャンマーでの経験や先生が師と仰ぐ方の言葉を引用しながら、一方的にもらい続けることではなく、与え続ける人が幸せになる、それは短期的な時間軸ではなく、長期的に他者との関係性を考えていく、そのことの尊さを語られました。また、自身に対する「ありがとう」という言葉も、決して自分だけの力ではなく、自分が手術をすること自体に様々な人たちの営みの連鎖の中にいるということも印象的な言葉でした。
自分がどのように動けば、自分だけではなく自分を含むこの社会を良くすることができるのか、そしてそれは一人だけの力仕事では難しいので続けていくためにみんなに広げていくこと、輪を大きくしてダイナミックな環境を作っていくことなども述べられました。
わずか一時間というご講演でしたが、語られた言葉の端々に先生ご自身が揺れながら悩まれながらも、その時その時に判断して選択してきた軌跡が垣間見られ、私たちが安易に触れることのできない凝縮された知と経験と心を感じることができ、生徒は自分の進路への向き合い方の参考になったと思います。